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(2001年7月5日)

* 警察見張番だより第4号
***** もくじ *****

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● 第3回「警察見張番」定例会       (鈴木 健 )

● 投稿
     1)総会に参加して(藤田 庫雄)
     2)警察改革には労働組合を    (いだ・むつつぎ)

● レジメに代えて               (寺澤 有)

● 事務局より            

● 編集後記            

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● 第3回「警察見張番」定例会      (鈴木 健 )
 第3回の「警察見張番」定例会が、去る2001年5月10日Lプラザに於いて、25名が参加
して行われた。
 この日の主たる出し物は、@当会代表でもある犀川博正による暴走族取締の実体につい
ての話と、A同じく当会代表の工藤昇弁護士による「危険な時差式信号機」についての解
説であった。
 今回は両名とも内輪からの講師ということで、司会を仰せつかることの多い生田及び私
としては、講師にあまり気を使わずによくて大変楽であった(←この二人は、外部講師で
もあまり気を使っているように見えないではないか、との皆さんの突っ込みが聞こえてき
そうだ)。

 @は、過去に「ザ・ワイド」でも放映された映像のビデオを見ながら、犀川が元現職警
察管として関わった実状について報告したもの。何といっても内部者からの報告であるの
で、信憑性が高い。第2回定例会の岩村弁護士のお話を聞いたときにも思ったことだが、
いかにこの国の警察が、住民のニーズに答える形での活動をしていないか、よく分かった
(「たかが交通違反だろ」と上司に言われていたという話)。またそのような組織の中で、
犀川のように、気概のある警察官だからこそやりがいを感じられず早期退職してしまうこ
とを残念に感じた。
 Aは、「警察見張番だより」第3号3頁に解説を掲載した「時差式信号機」の危険性に
ついての解説を、コンピュータグラフィックを使ってビジュアル的に見やすく解説したも
の。私は、「たより」の原稿を読んで一応分かったつもりにはなっていたが、やはり映像
を見るとより分かりやすい。工藤弁護士がコンピューターに造詣が深いことを知ったのも
収穫。
 講師の話をただ聞いているだけでなく、こういう「視覚に訴える」企画ものもなかなか
よいものだと思った。今後も、皆さんに分かりやすい企画を考えていきたいと思いますの
でご期待下さい。



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● 投  稿

◆総会に参加して

 はじめて参加した「警察見張番」 (藤田 庫雄)

<警察の「暴走族取締り」を聞いて>
元警官の話によれば、警察は、暴走族に対する住民の苦情を聞かなかったそうだ。そのた
め、その元警官が中心になって部下を集め、計画を立てて暴走族の取締をしたという。ど
ういうことなのかと思った。毎夜、騒音で眠れない日が続けば苦痛の連続ではないか。警
察自身が毅然とした取締りをすれば暴走族は来なくなるのではないか。上司の警官は「た
かが暴走族」だと言っていたという。その考え方に驚いた。

<時差式信号について>
今回、時差式信号というものが始めて理解でき、事故の要因になっているのを知った。免
許取得及び更新時の講習でも聞いたことがない。また教本にも載っていない。警察は、時
差式信号の恐さを市民に教える義務があるのではないか。さらに、神奈川県警は、警察庁
の通達を25年以上無視しているという。あきれたし、驚いたぁ。

<情報公開について>
 最近、警察官による刑事事件が新聞等マスコミに出ているが、こういうことは、昔から
相当数あったのではないかと思う。マスコミに取り上げられるようになったのは、情報が
外に出るようになったということか。詳しく知りたいと、情報公開請求をしたとき、どこ
まで公開してくれるのか、関心がある。

 それにしても、警察は何のためにあるのか、だれを守るのか。警察組織を維持するお金
はどこから出ているのか。税金ではないのか。その税金を出している市民の安全を守ると
いうことを警察はどう考えているのか。また、安全な社会とはどういうことか。私たち個
人も、警察組織も、今まさに一から問い直すべき時ではないだろうか。現在の警察組織の
一番の悪い点は、検挙主義である。仕事は、取締まりだけではないはずだ。警察組織自身
の論理で仕事が遂行されていることが問題なのだ。犯罪及び事故を未然に防ぐことが重要
な仕事ではないか。事件が起きてからでは遅いのだ。市民の安全をまもってこそ、市民に
愛され信頼される警察組織になると思う。しかし、現状では、警察は相変わらず変わりそ
うもない。やはり、警察の行動を監視する市民の目が必要である。自分で浄化できない組
織は、他から浄化するしかない。市民の苦情を聞いてくれない警察、頼りにならない警察
は、一市民として不安である。
今回、はじめて「警察見張番」に参加して、その重要性をしっかり受け止めた。私もこの
会の会員として、警察の動きに目を光らせよう!

  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◆ 2)警察改革には労働組合を   (いだ・むつつぎ)

 はばひろい市民が参加した盗聴法に反対する神奈川市民の会(久保博夫氏・石下直子氏)
より依頼があり、私は今年も神奈川県警に抗議する集会に参加した。去年は県警玄関で
「代表2名にしろ」と強気な警察だったが、今年は広報課長補佐ほか2名が私たちを出迎
えた。

 警察刷新会議が設置され、警察法も一部改正されたが、警察の犯罪は頻繁に起きている。
市民が治安も考え、抗議するのは当然である。
 
 私は、盗聴裁判で体験した主な点を発言した。出廷命令された盗聴警官が「たとえ不利
になっても出廷しない」と言ったことは問題だ。国連人権委員会で警察庁小野管理官が盗
聴関与を認めている。横浜地裁、東京高裁で県警の組織犯罪と認定されているのだ。緒方
さんの国賠で警察は敗訴した。警察は600万円余の賠償金を緒方靖夫さんに支払った。
・・・などなど。私は目の前にいる三人の警察官に「これでも盗聴を知らんと言うのですか。
答えてください」と詰め寄った。三人は困惑した表情で沈黙。本来なら実刑になる盗聴警
察官が、現職のまま。そんな役所がどこにある?市民が警察不信になるのは当然ではない
か。盗聴警察官放置は、絶対に許されない!

 神奈川警察署発行の「ピッキング対策」用の
ビラの一部に、「中国系外国人が携帯電話で話している」「中国系外国人が運転する車が
駐車している」・・・上記を見かけた時はすぐ神奈川警察署へ電話をお願いします、とあ
った。私たちの抗議に対して警察は、「表現に問題ありビラは回収した」と説明。私は、
「表現の問題ではなく、盗聴事件と同じ憲法違反である」「憲法14条人種差別禁止」を
警察は破ったのだ、と主張。
私たちの抗議の声に、警察側は反論せず黙って聞いていた。

 集会が始まる前、私は警察側に「現在の県警は、万引き・暴行・覚せい剤・殺人など犯
罪のデパートだ」と言ったとき、当の警察官は「申し訳ない」と頭をさげた。正直複雑な
気持ちになったが、「日本の治安はどうなる?1963年、警察庁・新井裕次長は、警察
官労働組合の必要性を述べている。警察内部からの自覚、やる気は、労働組合の中から生
まれる」と私は強調した。先進国で日本だけが警察官労働組合がない。警察側は、うなず
いて聞いていた。
 
 弱体化した刑事警察。憲法違反の巨大公安警察。情報公開で真実をだすか? 市民不在
の公安委員会。フランス警察労組幹部が「日本の警察は100年おくれている」と私たち
に話した。
警察問題で、市民・マスコミは褌をしめなおす時。このままだと安心して夜道も歩けなく
なる。

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● レジメに代えて            (寺澤 有)

サイトマガジン『The Incidents』
編集長 寺澤 有

 本サイト開設から1年半。物凄い内部告発が寄せられた。インターネットが既存のメデ
ィアに取って代わりつつある現在、何はともあれ内部告発者・X氏の証言を聞いてほしい。
これが新聞やテレビで見られるだろうか!?
         ◇ 
 2001年1月、警視庁の経理に精通しているX氏から本サイトへ電子メールで内部告発が
届いた。
「警視庁のいわゆる裏金作りについて」と題されたその電子メールは、X氏の経歴がうか
がえる部分も散見され、軽々しく引用できない。しかし、我々、『The Incidents』編集
部は次の1文に注目した。

「ちまたで騒がれている不正経理については、かなりオーバーにかかれている部分や逆
に全くふれられていない部分など、不正確な認識がかなりあります」(原文ママ)

 いくつかのマスコミ(もちろん本サイトも含む)は警察の不正経理、すなわち「裏ガ
ネ作り」に関して、精力的な報道を続けている。その結果、「裏ガネ作り」の実態は白
日の下にさらされつつあると思っていた。
 ところが、X氏によれば、「全くふれられていない部分」が存在するという。
「それは何なのか?」と強い探求心がわき起こると同時に、「我々の取材もまだまだ甘
い」と反省せざるを得なかった。
 X氏は電子メールの中で、「私は、自分が正義漢ぶって組織を売るつもりは有りませ
ん」(原文ママ)としながらも、「これは許せないと思えるいくつかのことはお話でき
ます」(同)と書いている。だいぶ心中は揺れているようだ。
 ともかく、電子メールの末尾に「もし必要と思われたなら連絡ください」と書かれて
いることを頼み、X氏へ連絡してみた。
 以後、我々は何回もX氏と面談する。
 X氏の内部告発がまさしく"超弩級"と呼べることに気づくまでの時間は短かった。

機動隊員の旅費が年間12億円の裏ガネに化ける
 
警視庁には、第1機動隊から第9機動隊までと特科車両隊の合計10個の機動隊があり、
3000人以上が所属している。
 また、機動隊は国家的な治安の任務に就く性質上、経費は国でまかなわれている。
 X氏は「機動隊こそ、ケタ違いの裏ガネを生み出す源泉だ」と指摘する。以下がその
カラクリである。

「現場の機動隊員はおろか警察幹部でも知る者はわずかですが、『旅費法』(正式名称
は『国家公務員等の旅費に関する法律』)や『警察庁旅費取扱規則』などの規定により、
機動隊員は毎日、"出張扱い"となっています。つまり、旅費(交通費や宿泊費、日当な
ど)が国費から支出されているのです。ところが、警視庁は書類上だけ機動隊員へ旅費
を支払ったことにし、実際は裏ガネとしてプールしています」(X氏)
「旅費法」は『六法全書』(有斐閣)にも掲載されていない、耳慣れない法律だ。

その条文を見ても、直接、機動隊員が旅費の支給対象となるような文言はない。
 しかし、「警察庁旅費取扱規則」第16条によれば、機動隊員へ「日額旅費」(1日に一
定額を支給する旅費)が支払われている。「機動隊の隊員を命ぜられた職員」として、
「警視正又は警視375円」「警部又は警部補335円」「巡査部長又は巡査295円」という
規定がある。

『日額旅費』は出動がない(各機動隊の本部で勤務する)日や休日に支払われるもの
です。『機動隊員は常時、出動態勢にあるから、休日でも旅費が出る』と聞きます(X氏)

 お手盛りで税金のムダづかいをしているわけだが、この「日額旅費」も機動隊員の手元
へは届かない。
 一方、機動隊員が警備に出動すると、「出動旅費」と呼ばれるものが支払われる。
「各機動隊の本部から目的地までの距離に応じ、交通費や日当が支払われます。ほとんど
が都心の警備なので、第4機動隊(立川市)、第6機動隊(品川区)、第7機動隊(調布市)
は移動距離が長く、日当が高くなります(交通費は、機動隊のバスで移動する場合は支払
われない)。さらに、通常、バスの中に泊まりますが、それでも宿泊費が支払われます。
これらが『出動旅費』です」(X氏)
 こうして国費から支出される警視庁の機動隊の旅費はいくらになるのか。機動隊員1人、
1カ月あたりの金額を、X氏は「『出動旅費』が第4、第6、第7機動隊で約5万円。そのほか
の機動隊で約2万円となります。『日額旅費』は全機動隊共通で約3000円です」と言う。

 1個の機動隊の人数は約300人だから、次のような計算になる。
 約5万円×約900人=約4500万円(第4、第6、第7機動隊の「出動旅費」)【A】
 約2万円×約2100人=約4200万円(上記以外の7個の機動隊の「出動旅費」)【B】
 約3000円×約3000人=約900万円(全機動隊の「日額旅費」)【C】
【A】+【B】+【C】=約1億円
月間約1億円、年間約12億円が警視庁の機動隊の旅費であり、裏ガネに消えている金額だ。

▼機動隊の会計担当者が
刑事責任を追及される可能性も

 警視庁の機動隊に長く在籍する警察官は首をひねる。
「今まで、現金でも口座振り込みでも、旅費が支払われたことはありません。我々、警視
庁の警察官が都内の警備に出動し、旅費が出るとも思えないのですが」
 X氏は「誰もがそう考えるからこそ、このような『裏ガネ作り』が発覚せず、何十年も
続けてこられたのです」と苦笑する。
 しかし、醍醐聰(だいご・さとし)・東京大学大学院教授(会計学)が指摘するような
疑問は残る。
「機動隊員が警備に出動することが、本俸以外の日当などを支給される性格のものとは思
えません」
 堀敏明弁護士(「東京市民オンブズマン」代表)の説明では、「機動隊の会計担当者が
刑事責任を追及される可能性もあります」という。
「機動隊の警備が『旅費法』でいう『旅行』にあたらない場合、それを請求していれば詐
欺が成立します。仮に『旅行』だったとしても、旅費が機動隊員へ支払われていなければ、
業務上横領が成り立ちます。これらの犯罪に伴い、虚偽有印公文書作成、同行使なども犯
されているはずです」(堀弁護士)
 
もっと決定的な証言がある。X氏は「旅費の約3割は"カラ出張"です」と明かす。
「現実の機動隊の出動状況から計算すると、旅費の予算の7割程度しか消化できません。
そこで、警視庁警備部警備第1課が各機動隊の会計担当者へ細かく指示し、『旅行命令簿』
などの関係書類に架空の出動を上乗せさせます。予算が大部分、裏ガネへまわるよう操作
しているわけです」(X氏)
"カラ出張"は詐欺や業務上横領、虚偽有印公文書作成、同行使にあたる犯罪だ。X氏の内
部告発どおりなら、警備第1課や機動隊の会計担当者は刑事責任を免れない。


▼裏ガネは警察庁警備局と
警視庁会計課へ上納されている!

 機動隊員の旅費を原資とする年間12億円もの裏ガネはいったい何に使われているのか。
 X氏は「大きな警備で予算が足りないとき、補充して使うこともあります」と断りつつ、
私利私欲の使途に言及する。
「毎月、警備第1課、同2課、災害対策課、警衛課、警護課、10個の機動隊(いずれも警視
庁警備部)へ各々10〜50万円の『定例配分』が行われます。また、警備部幹部へ『研修費』
まれに機動隊員へ『特活』という名目で"ヤミ手当"が支払われます。これらは階級により
数千〜数万円です」(X氏)
 
裏ガネで「上が厚く、下が薄く」私腹を肥やすのは、警察組織の不文律だ。これに従えば、
次の証言は事実と思われる。
「裏ガネは警察庁警備局と警視庁総務部会計課へ上納されています。警察庁警備局からは
上納の催促が来ることすらあり、警視庁警備部警備第1課長(キャリアの警視正)など、
『あそこ(警察庁警備局)はカネがいるからなあ』とあきらめ顔です」(X氏)
 警察庁警備局は公安警察の総本山である。1986年11月発覚の緒方靖夫・日本共産党国際
部長(当時。現参議院議員)宅の電話盗聴事件をはじめ、数々の非合法な活動が警察庁警
備局の指導で行われてきた。そのような活動に裏ガネが使われていることは間違いない。
 そもそも年間12億円もの裏ガネが国費から捻出されているとなれば、「警察庁の指示に
基づき、警視庁が行っている」と考えるのが自然だ。国費の運用は警察庁が決定権を握っ
ているからである。

 1999年9月以来、全国の警察で不祥事が相次ぎ発覚した。そのため、2000年3月、
氏家齊一郎(うじいえ・せいいちろう)・日本テレビ放送網社長が座長を務める「警察刷
新会議」が設けられた。
 その「警察刷新会議」の議論の中で、「機動隊の人数を減らし、他部門へ振り分けるべ
きだ」との意見も出された。しかし、警察庁が難色を示し、2000年7月の最終的な提言に
盛り込まれなかった。
 東西冷戦が終結し、大規模な社会運動もない現在、「どうして警察庁が機動隊の減員に
反対するのか」といぶかしく思った国民も、「機動隊の減員イコール裏ガネの減額であり、
その裏ガネが警察庁警備局へ上納されている」という裏事情を知れば、得心するはずであ
る。

▼裏ガネの"金庫番"は
「警備第1課庶務担当管理官」

 X氏の生々しい証言を続けよう。
「警視庁警備部警備第1課の大部屋の奥に小部屋があり、そこでは数人の会計担当者が働
き、裏ガネ専用の大きな金庫も置かれています。この金庫に裏ガネを出し入れできるのは、
『警備第1課庶務担当管理官』(ノンキャリアの警視。以下、『庶務担当管理官』)だけ
です。『庶務担当管理官』が、億単位の現金が入った紙袋を運搬しているとき、ほかの警
察官らは小部屋から外へ出されてしまいます。実際、いくらの現金が金庫に入っているか、
『庶務担当管理官』しか直接確認できません」(X氏)
 まさに"金庫番"と呼ぶにふさわしい「庶務担当管理官」の直近5代の顔ぶれは以下のと
おりである。カッコ内に現在のポストを示したが、組織の"汚れ役"に対する口封じの意味
からか、それなりの出世コースを歩んでいる。

 1994年9月〜1995年9月 江口慎一郎氏(地域部理事官)
 1995年9月〜1997年9月 田茂務氏(月島署長)
 1997年9月〜1999年2月 村瀬美文氏(警察庁警備局警備課)
 1999年3月〜2001年3月 小城清二氏(愛宕署副署長)
 2001年3月〜現在 柳原敏男氏

「旅費法」などの規定を見ると、旅費は公務員個人が請求し、個人が受け取る原則になっ
ている。ところが、「長年、警視庁の機動隊の旅費は、『庶務担当管理官』が『受領代理
人』となり、大蔵省(現財務省)から小切手で一括して支払われていました」(X氏)
という。
「庶務担当管理官」1人が機動隊3000人分の旅費をまとめて受け取るのだから、事故が起
きてもおかしくない。
 大蔵省が改革に乗り出すのも当然だった。



▼警備第1課内に
「極秘プロジェクトチーム」が発足

「1996年度、大蔵省が警察庁を通じ、『今後、旅費は機動隊員個人の口座へ振り込む』と
通知してきました。もし、これが実施されたら、年間12億円もの裏ガネが捻出できなくな
るばかりか、機動隊員たちからも『今まで旅費はどこへ消えていたんだ』という不満が出
てきます。そこで、1997年2月、警備第1課内に『極秘プロジェクトチーム』が設置され、
対応策が検討されはじめました」(X氏)
 当初、「極秘プロジェクトチーム」は、亀井徹夫警部(現麹町署警備課長)をキャップ
に、警部補1人、副主査(警察職員)1人の3人体制だった。

 しかし、「上層部が『とても人数が足りない』と判断した」(X氏)ため、1997年3月、
江口慎一郎・警備部理事官(前出・「庶務担当管理官」経験者)をトップに迎え、
亀井警部と馬場克(ばば・かつ)警部(現在も警備第1課)がキャップ、それぞれの下に
警部補1人、副主査1人がつく、7人体制へ増強された。

 馬場警部は「機動隊の会計担当者を十数年間務め、『生き字引』とも呼ばれている」
(X氏)人物で、元"金庫番"の江口理事官と合わせ、うってつけの人事だった。

 江口理事官は次のような対応策の実現に腐心したという。
「『警視庁職員信用組合』(以下、『警信』)に機動隊全員の口座を内緒で作り、そこへ
旅費を振り込ませるというものです。こうすれば、個人名義の口座からカネを集める手間
はかかるものの、今までどおり、旅費は裏ガネへまわせます。当時、大阪府警でも、同様
の『極秘プロジェクトチーム』が発足し、このような方法を検討していると聞きました。
江口理事官は自ら『警信』へ出向き、折衝するほど、熱を入れていました」(X氏)
 ところが、結局、この方法は採用されなかった。X氏が言う。

「もともと機動隊員は『警信』に口座を持っています。それとは別に本人の知らない口座
を作るわけですから、管理が大変です。機動隊員が『警信』へ『預金残高が知りたい』と
問い合わせ、『警信』の職員が『口座が2つありますが、どちらのことですか』と対応す
れば、『えっ、自分は1つしか口座を作っていません』となり、裏口座の存在が発覚して
しまいます。一時、コンピュータのディスプレイに『本口座は名義人に秘密』みたいな表
示が出せないかということまで検討しましたが、いちおう金融機関である『警信』が『ウ
チは協力できない』と断ってきました」(X氏)

 その後、妙案もないまま時間は流れ、江口理事官は大蔵省の言いなりでコトを進める警
察庁に反発していたという。
「江口理事官が『旅費が機動隊員個人の口座へ振り込みとなれば、警察庁警備局へ上納す
るカネもなくなる。それでもいいのか』と警察庁に迫る場面もあったようです」(X氏)
 1999年2月、田茂務・警備部理事官が「極秘プロジェクトチーム」の2代目トップに就任
した。田茂氏は前述のとおり、江口氏の次の"金庫番"でもあった。
 最終的に、警察庁と大蔵省の妥協が成り立ち、「各機動隊の会計責任者が『受領代理人』
となり、その口座へ旅費が振り込まれる制度に改められた」(X氏)という。
 しかし、「裏ガネ作り」の実態は何も変わっていない。
「警備第1課の会計担当者が各機動隊の最寄りの『警信』へ出向き、それぞれの会計責任
者の口座から旅費を引き出し、裏ガネへまわしています。このような手が込んだことをす
るのも、実際に機動隊員へ旅費が支払われているよう見せかけるためです」(X氏)
 2000年9月、田茂理事官が月島署長へ転出する際、「極秘プロジェクトチーム」は所期
の目的を達成し、解散したという。

▼何も具体的な反論ができない
警視庁と当事者たち

 筆者らは、直近5代の"金庫番"の取材を試みた。
 江口慎一郎・地域部理事官の職場へ電話し、「機動隊の旅費のことで調べている」と告
げると、「ご苦労さんですね」と余裕のある発言だった。しかし、こちらが「裏ガネ作り」
の詳細や「極秘プロジェクトチーム」の存在について質問すると、だんだん声色が変わり、
最後は「あなたにお答えする義務はありません」と言って電話を切った。
 小城清二・愛宕署副署長は自宅の玄関のドア越しに「帰ってください」と言ったきり、
何の応答もなかった。
 田茂務・月島署長、村瀬美文警視(警察庁警備局警備課)、そして現在の"金庫番"、
柳原敏男・警備第1課庶務担当管理官は、何度自宅を訪ねても、家人が「不在」と言うだ
け。職場へ電話しても、本人は出なかった。
「極秘プロジェクトチーム」のキャップを務めた亀井徹夫、馬場克・両警部の自宅も訪ね
た。両警部とも「取材は(警視庁)広報課を通してください」とくり返した。
 その警視庁広報課は、こちらの具体的な質問には一切答えず、「旅費は適正に執行して
います」とだけコメントした。
 一方、警察庁広報室は「ご指摘のような(裏ガネが警察庁へ上納されているという)
事実はない」としている。
 X氏の内部告発は「年間12億円もの裏ガネが警察庁、警視庁の組織ぐるみで捻出されて
いる」という大変なものである。田中節夫(たなか・せつお)・警察庁長官、野田健
(のだ・たけし)・警視総監のクビがかかる問題だ。
 だからこそ、本サイトはいっそう精力的な取材を進め、「税金ドロボウ」のクビは飛ば
してやるつもりである。

『FRIDAY』(講談社)
2001年4月20日号、
6月15日号、6月22日号に加筆

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● 事務局より
 
 	
★第2回「警察見張番」総会

日時:7月31日 6:30より
場所: 県民サポートセンター301号室
(横浜駅西口より徒歩約3分)

1.ゲストスピーカー 寺澤 有 氏
(寺澤氏の添付文章を参照)

2.活動報告&会計報告

3.新年度に向けて

4.その他

 <私も、ひとこと>
未だに、警察には住民を守る意識がないという声が聞こえてくる。かつては、「おまわ
りさん」と呼ばれて人々に愛されていたはずの警官が、覚せい剤をやったり、交通事故
を起こしたり、セクハラをやったりする。これじゃあ、まだまだ信頼できる警察とは言
えない。警察の仕事は、「住民を守ること」だということも分かってない。(K)


 わたしは、毎日いろいろな新聞を読む。そして、必要と思う記事をコピーする。警察
関係のコピーが一番多い。三日に一度は、警察の不祥事(わたしに言わせれば犯罪)の
記事がある。「警察刷新会議」だの、民間人を参加させた「警察ナントカ協議会」だの
作ってるけど、ダメだね。モトが腐ってるんだから。腐ったモトからは、腐ったモノし
か出て来やしないよ。綱紀粛正なんて言っても、菜っぱの肥やしにもなりゃしない。絶
望的だね。でも、わたしは、やるよ。負けないよ。(F)

1999年の秋に発覚した一連の警察不祥事から、何かが変わっただろうか。あまり変
わってないような気もしますが、「渡邊元県警本部長の刑事確定記録」の閲覧が許可さ
れたことは、ほんの一歩かもしれませんが、「見張番」の活動の成果であると思います。
あせらず、長い目で活動を続けて行きたいと思います。(T)

警察の「不祥事」が日常化しつつある。でも、感覚が鈍ってしまったのか、あまり驚か
なくなってしまっている。これは、ヤバイのだ。私だけでなく、世の中の人々もそうな
のかもしれない。2年前の秋の「不祥事」発覚時のような怒りの熱を私の周りでも感じ
られなくなっている。広報「見張番だより」は、忘れがちな私に、「めざめよ」と刺激
してくれる。感謝・感謝。次の定例会には参加しようかな。(K)

目次へ :
     
● 編集後記
 
<編集後記> 
蒸し暑い日が続いています。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
昨年の7月21日に発足した「警察見張番」も間もなく一年を過ぎようとしております。
発足時に計画した活動のうち、実際に活動できたこと、できなかったことの総括もしな
ければなりません。ただ今、第2回「警察見張番」総会の準備を進めているところです。
という次第で、今回の「見張番だより」は、第3回定例会の報告と投稿のみにさせてい
ただきました。少し軽い「たより」になるところでしたが、ゲストスピーカーの寺澤氏
から密度の濃い原稿が届き、ぐっと重みが加わりました。有難うございました。
なお、みなさまの投稿はいつでも歓迎しております。折々の思いを綴ったものでも結構
です。お待ちしております。
(生田典子)


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