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(2003年2月27日発行)

* 警察見張番だより 第10号
***** もくじ *****

お読みになりたい項目をクリックしてください。

     ● 警察署の個性は      (弁護士  佐久間哲雄)

     ● 情報公開について     (事務局長  山田  泰)

     ● 大内 顕氏の講演を聴いて
        その@           集会一般参加者 星川 勝
        そのA  やまと市民オンブズマン代表幹事 杉内 一成
        そのB              事務局 生田 典子

     ● やはり今も変わらない警察
       ――ここまで嘘とは、これこそ不祥事――
       (日本国民救援会神奈川県本部:石川 利夫)

     ● ホームページ作成担当者からのひとこと (柿坂 寛之)

     ● ここで、ちょっとブレーク!ーー立ち喰いそば屋にて
                        (弁護士 鈴木 健)

     ● 事務局より

     ● 編集後記

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● 警察署の個性は      (弁護士  佐久間哲雄)
 弁護士は、被疑者・被告人との接見のためによく警察署に出向く。私も、神奈川県内
のみでなく、東京、埼玉などの警察署に出掛けている。東京の警察署は、都会風でそつ
がない。刑事課で話し込んでいるとお茶を出してくれるのは東京だけである。神奈川県
警の警察署は、率直で偏見がない。適度な洗練、国民からお巡りさんと親しまれていた
頃の素朴な気質が残っている。年の瀬が迫った折の夕刻、たまたま赴いた某署刑事課で、
一杯やっていた刑事さんたちの仲間に入れてもらったことがある。また先日は、当番弁
護士として横浜市内の某警察署に行った。午前8時半前後のことであった。

 どこの警察署でも、1階入口付近は、交通課、総務課など 配置は似たり寄ったりで
あるが、受ける印象は、署によってかなり違いがある。弁護士が赴く接見室は、例外な
く署の2階か3階にあり、1階のカウンターのところで、私は必ず一言声をかける。警
察署の応答と、入口を入った時受けた印象とほぼ一致する。雑然とした印象のときは、
応答もかんばしくない。きちんとした印象のときは、応答は適格である。

 話は戻るが、朝8時半ころ出向いた警察署では、土曜日にもかかわらず、既に勤務態
勢に入っているのが一見して判った。パソコンを打っている署員、電話をしている署員、
上司の机の前で指示を受けていると思われる署員、一生懸命仕事に取り組んでいる空気
が充ちていた。

 私は例によって、接見に来た旨一声掛けた。若い署員がすぐ立って、「管理係は何処
にあるかご存知ですか」と聞いてきた。久しぶりに行った警察署だったので、ちょっと
返答が遅れたところ、立ち上がって 「ご案内しましょう」と言い、2階へ案内してく
れた。大いに恐縮した。

 警察署ごとに受ける印象が違うのは、多分、署ごとの気風、伝統などの違い、管轄地
域の実情の反映などいろいろな要素がもたらすところが大きいのだろうと思う。

 然しながら、平凡な話で申し訳ないが、そこで働く人たちの仕事に対する気構えが、
仕事場の雰囲気を作る決め手であろう。やる気に充ちた職場は、傍から見ても気持ちが
いい。

 実に気持ちの良い警察署があることは、警察の刷新を願う私にとって大変勇気づけら
れることである。

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● 情報公開について       (事務局長  山田  泰)
 昨年10月、公安委員会や県警が情報公開実施機関となって1年経ったことから、県警庁
舎ツアーを兼ねて公開請求を行いました(前号既報)。このうち「規律違反台帳」といわれ
るもの、また公安委員会議事録を見ていたところ、情報公開請求状況を平成14年4月まで
7か月間分までとりまとめた資料があることがわかりました。次に、第2次請求した県警総
務部作成の「情報公開請求状況について」という文書につき報告します。

◇◇◇ 

「規律違反台帳」は、処分を一覧にしたものですが、2001年1月から12月までの1年
間に144件あったことがわかります(資料は01年4月から02年3月までのものです)。
同じ事件でも監督責任を問われたものもあります。事案は「公用品の紛失」、「交番バイク
等盗難被害」から職務関連犯罪まで多様です。

 また「情報公開請求状況について」では7か月間で、公安委員会に7件、県警に114件
の請求があり、両者あわせて、公開13件、一部公開127件となっていますが、存否応答
拒否が2件あります(不存在は22件)。不服申し立ては2件です。

 私たちも、状況に応じ、不服申し立てや訴訟を検討して行く必要があるでしょう。いずれ
にしても、警察を見張るためには、情報公開請求は重要な柱ですから、会員の方の積極的な
活用をお願いしたいと思います。 
 (添付資料を参照してください。――編集子) 



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● 大内 顕氏の講演を聴いて
その@         集会一般参加者 星川 勝 

 警視庁の「裏金」づくりを直接担当した方の具体的な手口におよぶ話で、分かり易く
興味深い内容でした。多くの納税者にぜひ聴いて欲しいと思いました。会員外の参加者
が少なく残念でした。インターネットや新聞でPRをなさったのでしょうか。
(はい、ネット上でもお知らせをしていました。チラシもくばりました。月曜日の夕方
という理由もあるかもしれません。――編集子)
  
 大内さんが、内部告発を決意する経緯も伺えて、大変考えさせられました。病気で死
線をさまよいながら、「(職務を通して体験した秘密を)このままあの世に持っていっ
て闇に葬ってよいものか・・・?」と悩んだことを伺い、いわば一種の回心
(conversion)に至ったのかと、私は解釈しました。内部告発者の保護法の整備が急が
れます。

 さすがの大内さんも、外務省の裏金づくりについては信じられない、と言われたこと
が気になりました。警視庁以上のウルトラ手法があったのでしょうか。防衛庁には、裏
金づくりはなかったのでしょうか。それよりも、今はなくなったのでしょうか。労働組
合でさえも裏金スキャンダルがありました。これ以上述べると、「警察見張番」の枠を
超えてしまいそうなので、ここで終わりにします。「警察見張番」としては神奈川県警
の裏金に目を光らせてください。

                    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

そのA   やまと市民オンブズマン代表幹事 杉内 一成 

 まず、最初に申しあげたいことは、「公金(=国民が汗水垂らして稼いだ貴重な財価
から、国家・社会を維持するために拠出している税金だ)という認識が全く欠如してい
る」ことに驚きました。自分達(=警察官)は、「社会の安寧を護るために国民から委
託を受けているのだから」という意識が過剰にありすぎるためなのか、また「警察権と
いう権力を誰もチェック出来ないだろう」という自惚れからか、「事務処理面で取り繕
ってさえいれば、何をしてもお咎めはないだろう」という過信に支えられて常軌を逸し
た処理を平気でしていることに唖然としました。ただ一つ言えることは、「こういう処
理の仕方」は、警視庁に限ったことではなく、他の官庁でも底に流れる考え方や処理方
法は、大同小異で、戦後50数年の間に、政治家・官僚に溜まった澱のようなもので、
我々がオンブズマン活動を通して徹底的に糺して行かなければならない当面の課題であ
ると再認識しました。

          〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

そのB         事務局 生田 典子 

「私は、元警官ではなく、警視庁の元一般職員でした。事務屋でした」と、大内 顕さん
は静かに話し始めました。1月20日、今年最初の「警察見張番」定例会に、ゲストス
ピーカーとしてお願いした日のことです。けれども、話がだんだん具体的になるにつれ
て、その口調は強く激しくなっていきました。

 大内さんは、会計事務に関わる中で裏ガネの存在を知り、やがて極秘任務の特別プロ
ジェクトチームに入ってからは、実際に裏ガネを作っていく作業に参加していきます。
しかも、このことは、外部に漏れないようにするため、家族にも友人にも決して仕事の
内容を話してはならないという「保秘」が義務づけられたそうです。その「仕事内容」
とは、機動隊の個人に支払われるべき旅費を、プールして裏ガネにするというものです。
特別プロジェクトが出来る前から裏ガネ作りは行われていたそうですが、大蔵省からの
支払い方法が、小切手から口座振り込みに変更するということから、機動隊員にそのこ
とがバレるのを防ぐための「仕事」であったそうです。「こうしてプールされる金額は
、一カ月に約1億円、年間約12億円にもなった」と、その裏ガネの金額の大きさに最
初は驚きながらも、やがてそうした大きなプロジェクトに関わっていることが「妙に自
分のプライドをくすぐった」と、率直に述べていらっしゃいました。

「やがて、上納金との関係もあるのか、大蔵省からくる国費旅費は、個人の口座に振り
込まれなくて済むようになった」「それでも、この秘密がもれるのを一番恐れたのは情
報公開請求だった」そうです。「そこで、考え出されたのは、ニセ領収書を作ることだ
った」「様々な方法で領収書を作り、その受取人氏名は電話帳から選んで書いた。印鑑
はいろいろ準備してあった」などと、新たなノウハウを披露されました。監査にも、事
前監査と本番監査があるということで、バレないためのあらゆる方法を考えたそうです。

「現在、これらの裏ガネを告発し批判しているが、実際の警察官の活動を考えると、同
情すべきところがある。上司は、部下を慰労したり励ましたりするために飲食代を使う
場合が多く、必要悪とも言えなくもない」と述べるあたりは、実際に現場を知っている
人間の言葉だと感じましたが、この「必要悪」という表現が、あとの質疑応答の時間に、
会場から厳しい質問となりました。裏ガネ作りのノウハウを聞いているうちに、会場の
人々は、だんだん腹がたってきてしまったのです。そのため、現在、大内さんが裏ガネ
を作っているかのような錯覚に陥ってしまって、するどい質問が続出しました。

 講演の後の「なぜ告発する気になったのか」という会場からの質問に対して、大内さ
んは「脳出血で入院し自分の死を考えたとき、このまま何事もなかったように闇に葬っ
ていいのか」という疑問が生じたからだと述べられていました。

 最後に、「裏ガネは、なんらかの形で警察内部のみんなに渡されているため、内部告
発は難しく、組織ぐるみであるので内部自浄はムリだ。やはり市民が情報公開請求をし
ていくのが一番だと思う」と、締めくくられました。

(なお、もっと詳しくお知りになりたい方は、大内 顕氏著書「警視庁裏ガネ担当」講談
社刊 \1500を読んでください。)  

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● やはり今も変わらない警察
――ここまで嘘とは、これこそ不祥事――
(日本国民救援会神奈川県本部    石川 利夫)
 
 今、私たちは、神奈川県警の「不祥事」で、国家賠償請求裁判の支援をしています。
その一つが、「保土ヶ谷事件」です。
 1997年7月18日深夜、住民の通報で駆けつけた保土ヶ谷署の警察官は、交通事
故でジープ型車中に倒れていた運転者を、「泥酔者」として放置しました。その翌日
19日の昼前に、別の住民からの119番通報で、その男性は救急車で病院に運ばれま
したが、既に死亡していました。警察は、「運転免許証」がないという理由で、氏名不
詳で受付けています。その後、司法解剖した伊藤監察医は、死因を心筋梗塞とする「死
体検案書」を書きました。

 今、私たちは、以下の2点に対して、警察の責任を追及中です。
1)午前0時過ぎに、110番で駆けつけた警察官が、事故で倒れていた運転者の危険
状態を当然知りえたのに、「酒酔い酩酊状態」と道路脇に移動しただけで放置して死な
せた責任
2)伊藤監察医および立ち会い警察官2人は、司法解剖しないで、解剖したと称して
「死体検案書」を書いたことは、「虚偽公文書作成」であること。
男性の遺族が「死亡したのは現場を警ら中だった保土ヶ谷署員二人が男性を発見しなが
ら放置したため」などとして告訴しましたが、不起訴処分となりました。その件に対し
て、さる1月23日に横浜検察審査会は、2000年(平成12年)2月に検察官が出
した「2放置警察官の不起訴処分は『不当』と議決、横浜地検は再捜査を開始した」と、
マスコミは大きく報道しました。

 監察医が法廷に提出した「司法解剖時の被害者の臓器」が、果たして被害者のものか
否かも、近く出されるDNA鑑定結果で明らかになり、警察の嘘が明らかになります。

 そうした折りも折り、「97年1月16日朝、路上酩酊者がいるとの通報で、京都九
条署の警察官が駆けつけ、泥酔者を保護。容態急変で、病院に運んだが、死亡した」と
いう事件が報道されました。保護したという場所が、シャッターもない風吹きさらしの
駐車場であったにもかかわらず、「保護場所」を「パトカー」の中と書き、これを自殺
や病死の場合に作る「変死体取扱報告書」に記入して、府警本部に提出していたと報道
されていました。この問題は、内部告発で表面化し、府警が捜査に入り露顕したのだと、
さる1月25日の新聞記事で知り、「保土ヶ谷事件」とよく似ている、と感じました。

 泥酔者を寒風の吹き込む駐車場にほったらかした九条署が、「保護した」「パトカー
の後部座席に寝かせて、署員2名が監視していた」とは、恐れ入った話です。「保土ヶ
谷事件」でも、深夜に警察官が行った時には、車を移動しただけで、その翌日の昼前に、
身元不明で送り、遺族には別の警察官から「運転免許証」が渡されたそうです。深夜、
車を移動してから、翌日病院に行くまでの約10時間の間が謎の時間です。九条署の事
件でも、厳冬の朝8時55分に泥粋状態で発見されてから、夕方発表がされるまでの間、
警察の中で何があったのか、その間のことが疑問です。その疑問は、いつか明らかにさ
れることでしょう。

「保土ヶ谷事件」で法廷に提出された「被害者の臓器」なるものの「真贋」は、DNA
鑑定で近く明らかになります。いくら何でも、法廷に偽物を証拠として持ち込む警察が
あるだろうか。私たちの想像を絶します。
「一国は一家也 政府は父母也 警察は保傳也」
という明治警察発足以来の悪しき伝統――国は絶対、官は正義――は、今も生きていま
す。故戒能通孝先生は、新憲法施行まもなく、著書「市民の自由」の序文で、「憲法よ
りも法律が上、法律よりも規則が上、規則よりも・・・・・・」という戦前の考えが「公共の
福祉」を梃子に、生き返りかねないと警告していました。今、この警告を痛感している
者です。
(上記の原稿を寄せていただいた直後(2/14)に、「保護男性凍死 組織的に不正」「現
場急行もうそ」という見出しの横で、深々とアタマを下げている京都府警石川威一郎警
務部長の写真が新聞に載りました。添付資料を参照してください。――編集子)
 
◇◇◇ 

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