警察見張番だより21号の2
(2006.07.24.)

*

***** もくじ *****

お読みになりたい項目をクリックしてください。

● 証言台初体験の記

● 横浜地裁を傍聴して


 <21の1>   <21の2>   <21の3> 
目次へ
● 証言台初体験の記
                             元警視庁職員 大内 顕 
  
 今回、警視庁出身である私が、神奈川県警の不正経理について説得力ある証言をするため
には、「警察の不正経理は、警察庁が絡む全国共通の問題だ」という事実を裁判所に理解し
てもらわなければならないという点がポイントだった。

 主尋問はスムーズに進んだ。警視庁勤務当時に私が受けた警視庁や警察庁の内部監査の実
態が不正隠しのための指導だったこと、そして複数の県で、まったく同じ手口による捜査報
償費の不正経理が行われている事実を重ね合わせれば、これは警視庁だけの問題ではなく、
当然神奈川も同じであろうと考えられることなどが、理論的に証言できたと思う。
 反対尋問では、まさにその点を突いてきた。私が、自分自身が勤務していない部署の話や、
警視庁退職後に元同僚から聞いた話などを証言したことについて「それは伝聞ですよね」と、
何度も繰り返した。「伝聞」というのは文字どおり伝え聞くことであり、「偽造領収書を書
かされている本人が『俺は今でも書いている』と私に言った」という証言は、「伝聞」では
ないと思うのだが・・・・・・。

 さらに相手側代理人は、私の証人としての適格性にも疑問を投げた。私が警視庁を退職し
た理由を「不倫」と報じた週刊誌の記事(誤報)を見つけ、「これは使える」と勇躍したの
だろう。「この記事は事実か」「不倫で処分されたことはあるか」などと、しつこく聞いて
きた。
 この質問は、私自身がある程度予測していたことであり、「こんな質問が出るようだった
ら、相手もネタ切れだな」などと考えていたため、さほどの動揺はなかった。

 傍聴席から見れば、私の証言よりも、むしろ次に証言した県警幹部の姿の方が、はるかに
興味深かっただろう。今回開示を求めている帳簿や証拠書類の一部を直接記帳・管理してい
た人物で、実直そうな警視である。
 彼は、反対尋問でボロボロになった。鈴木弁護士の鋭い質問に、現職警視は、ときには硬
直し、ときには言葉を詰まらせ、最後には「その点については証言を控えさせていただきま
す」を連発し、裁判長にも「それは答えられるでしょう」と苦笑いされてしまった。

 結論として、手前味噌で恐縮ではあるが、経験と取材だけに基づいた私の証言と、組織の
しがらみから不本意なウソをつかざるを得ない現職警視の証言には、おのずから差が出てし
まったというところだろう。
 複数の県で捜査報償費の支出書類が内部から流出し、不正経理が発覚するのはなぜか。
 それは何も発見できない監査・検査のあり方や、裏ガネにしがみつく警察幹部の姿に対す
る現場の怒りにほかならない。そのことを、ぜひ裁判所に理解してほしいものだ。

 神奈川県警では捜査報償費を裏ガネにしていない(現実にはあり得ないが)としても、だ
から支出書類を公開しなくてもいいという理屈にはならないのも当然である。「支出書類」
は単なる経理上の書類であり、「公開すると捜査の進捗状況がわかってしまう」などと警察
が騒ぐような代物ではないからだ。
 その意味で、「全面開示」に一歩でも近づくよう、司法の英断に期待したい。
 


目次へ :
     
● 横浜地裁を傍聴して
                                         
        前参議院議員 畑野君枝
 「警察見張番」が訴えた裁判で、6月16日、ついに証人尋問が行われることをうかがい、
初めての傍聴に私も駆けつけました。

 横浜地裁502号法廷には、元警視庁会計担当の大内顕氏、平成15年度、交通指導課課
長代理の森藤秀之氏が、証人として立ちました。それぞれに対して1時間余の証人尋問が行
われました。緊迫したやりとりには、傍聴している方も時間が短く感じられるほどでした。
 「警察見張番」の佐久間哲雄弁護士、鈴木健弁護士が、この日の証人尋問の実現のために
いろいろご苦労なさったことと、頭が下がる思いです。

 警察本部の報償費の一部は県費です。つまり県民の税金によるものです。警察見張番は、
平成12年度・15年度の交通指導課と少年課における捜査報償費支出について、「現金出
納簿と支払い証拠書類」の情報開示を求めてきました(04年11月)。しかし、「文書非
開示処分」とされたため、この「処分」の取消請求を提訴し(05年2月)、たたかってき
たのです。
 
 最近になって、県警は「平成15年度の月別の収支について開示範囲を広げてきた」と変
化が生まれたということですが、これは見張番の皆さんの取り組みの成果だと思います。

 県議会で、県警の捜査報償費(県費)について取り上げた質問もあります。昨年末の決算
審議で、その前年度のものについて、藤田智恵子県会議員が質問したものです。県警の説明
では、「報償費」は、各々の署長と副署長がもっている、ということが明らかになりました。
 つまり、経理の担当者は、「報償費」が使われる際に関与出来ない、ということです。

 藤田議員には、公安委員会の報償費のうち、「激励のため」に使われたという領収書も示
されました。署長と副署長に「報償費」を任せきりにしているということは、担当者のチェ
ックもきかない仕組みであることの証左ではないでしょうか。

 私は、かつて住民訴訟の原告として、県警の「電話盗聴事件」に使われた公金を県に返金
するように求めましたが、その際、裁判の最大のネックになったのが、情報が公開されない
ということでした。ですから、信頼される警察を求めて奮闘されている「見張番」の皆さん
に、心から敬意を表するものです。そして、今回の証人尋問の傍聴を力に、裁判への支援と
運動を広げていきたいと思っています。  以上


〜〜〜〜 次ページへ 〜〜〜〜
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送