警察見張番だより21号の3
(2006.07.24.)

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● 傍聴者それぞれの感想を!

● 事務局より

● 編集後記


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● 傍聴者、それぞれの感想を!
その@

<県警側証人の証言を聞いて>

・法律、判例、規範
 哲学の死が言われて久しい。40年前までは法哲学という学問があった。当然、そこでの
 テーマは法律とは何かである。これには、裁判規範説と行為規範説の対立があり、裁判規
 範説が通説であった。法律とは裁判所の行為を規律するものである。人々が法律・判例に
 沿って行動するのは、裁判の予測が人の行為を規律するという結果にすぎないというよう
 な理屈だったと記憶する。

・捜査報償費帳簿の開示の判例
 正確ではないかもしれないが、この問題の判例は「開示しても支障がない事項は開示を拒
 むことは出来ない」という当然のことであったと記憶する。
・県警側証人の証言の核心
 我が鈴木弁護士は、その線に沿って尋問を行なったと理解している。証人はシナリオ通り
 のように最終的尋問までは極めて明快、端的な証言をしていた。ところが、大詰めで「黒
 塗りの箇所には、事件のアウトラインが分かる事とか個人情報がありますか」(要約で、
 このとおりではない)という尋問に対し「証言を差し控えさしていただきます」と答えた。
 この場合、答えは@ありますAありません、の2つしかない。答えが@の場合、もし無け
 れば偽証になる。Aの場合、県警の非開示処分の違法を認めることになる。そうすると、
 答えられないという証言は、論理的にはAありません、を意味することになる。何故なら、
 非開示理由があるから非開示にしたのに、何故@あります、と答えないのかという矛盾が
 生じるからである。
 証人は、自己に著しい利害関係がある場合は答えなくてもよいという権利があるが、この
 場合証人個人としては開示しても不利になるわけではない。もっとも、巷間言われるよう
 な自己が刑事訴追を受けるおそれあるのなら証言拒否もありうるが・・・。
        
・他人には守らせるが、自分は守らない
 最初に、法律・判例・規範等ということを述べたのは、普通の人々は、法律・判例がそう
 なっているなら裁判になれば負けるので、そのように行動しているということを言いたか
 ったからである。ところが、県警は法律・判例がそうなっていても、そのように行動しな
 い。他人に法律を守らせるのは仕事だからするが、自分のことは別だということなのだろ
 うか。(M・T)                
   
そのA

<神奈川県警の隠蔽体質が見えた>

 神奈川県警本部交通指導課と少年課、それぞれの捜査報償費(県費)支出に関する資料の
 「文書非開示処分取り消し請求」裁判を傍聴した。開示文書の墨塗りを剥がす訴訟である。
 元警視庁勤務の大内氏と現職神奈川県警森藤氏の証人尋問で、警察の内情を聞けるなかなか
 得られない機会、と期待して傍聴席についた。

・大内氏証言
 情報公開制度が始まると同時に、全国で予算執行の額が大幅に下がった。会計監査の前には
 事前監査あり、つじつま合わせが行われていた。
 警察庁より全国へ出向のキャリアは、共通問題の裏金をスンナリ受け取っている。

・森藤氏証言
 個別の内容は捜査活動に支障があるので「証言を控えさせていただく」の言葉がめだった。
 原告「警察見張番」側弁護士の鋭く歯切れのよい尋問に比べて、被告側代理人弁護士の時々
 途切れる尋問ぶりに、お粗末さが目についた。
 被告側は、大内氏の証言は「伝聞によるもの」であり、「神奈川県警」の場合は違うという
 尋問に中心を置いていた。
 だが、宮城・北海道・福岡・高知・愛媛等の警察で、ほとんど全国にまたがり捜査協力費が
 不正に使われていることが発覚しているのである。「神奈川の場合は違う」というのを聞き
 ながら、神奈川県警の元警察本部長の「覚せい剤もみ消し」にみられた隠蔽体質が、いまだ
 に続いている気がしてならなかった。(K・K)

そのB

<傍聴雑記>

 去る6月26日、横浜地裁法廷で情報公開訴訟の原告・被告双方の証人尋問が行われました。
 私は、その一部始終を自分の目で、耳で確かめるために傍聴しました。

  証言に先立って、両者共に宣誓をしましたが、尋問の進展にともない、被告側の証人森藤氏
 の答えを聞きながら、あの宣誓は本当に良心に誓ったものかな、と疑問が生じました。また、
 証人尋問の限界をも感じました。被告側代理人が原告側証人大内氏に対して、その人間関係
 や退職理由など、しつこく質問追及を続ける様は、担当裁判官に、原告側証人の人間的に不
 適正を印象づける作戦であろうと思いますが、「捜査報償費の情報公開」を求める裁判とは
 直接関係のないことであり、証人の人権侵害と感じられる質問でした。これを、裁判官はど
 う受け止めたであろうかと思い、また原告側証人大内氏は、プライバシイーを冒された精神
 的苦痛の損害賠償請求をするべきではないか、と感じています。

 被告側証人森藤氏は現職でもあり、あまり期待はしていなかったのですが、それにしても予
 想以上に酷いものでした。「職務内容に関する事柄なので、証言を控えさせていただきます」
 を連発し、殆どまともに答えない状態は、証人の義務を放棄した如く受け取れました。

 また、被告代理人による原告側証人大内氏に対しての尋問は、「貴方が直接聞いた話ではな
 いですね」「それは伝聞ですね」「また聞きですね」と切って捨てるような表現で押しまく
 り、神奈川県警こそ天下の警察、捜査の秘密事項は手の内を明かすような公開は出来ない。
 協力者の身の安全を考えるのも警察の仕事。と大見得をきった感じでしたが、これは、原告
 側証人大内氏が元警視庁に勤めていた、ということに対しての大見得であるようにさえ感じ
 られました。だから、情報公開請求があっても開示はしない、ということを言いたいのかも
 しれませんが、非公開になっている部分は、本当に捜査の秘密事項や、協力者の身分が危う
 くなるような内容なのだろうか、神奈川県警は、そんなに大見得きれるほど清廉潔白な組織
 だっただろうか、と言いたくなりました。
 
 平成11年11月に発覚した神奈川県警の「覚せい剤もみ消し事件」は、今でも強く記憶に
 残っている警察トップも絡んだ大スキャンダル事件でした。警察の体質はそんなに急に変わ
 るだろうか。表向きは「市民の警察」を標榜していますが、内実は国家警察の体質が温存さ
 れ、「由らしむべし」「知らしむべからず」の閉鎖性を確固として持っているのではないだ
 ろうか。
 過去の諸々の事件をみても、身内の犯罪を庇い、ばれそうになるとトカゲの尻尾切りをして、
 上層部に及ばないようにしている感があります。覚せい剤事件でも、県警本部長の指示、キ
 ャリア組が関与していたことが、検察調書から明らかになっています。
 昇進のための自己保身・事なかれ主義・秘密主義、この体質は変わるであろうか。

 それでも、私達市民は、日々の生活の安全を「警察官」に頼っています。標語通りに、真に
 「市民を護る警察官」であることを願い、法廷で感じたこととのズレが、今後無くなってい
 くことを願って止みません。この件の法廷はまだ続きます。今後にも注視していきたいと思
 っています。 (Y・K)

そのC

<信頼出来る明るい警察を願って!>

 警察の裏ガネ作りがなぜ(?)行われ、いまだに無くならないのか。この行為を自らも反省
 し告発した警察職員を、なぜ解雇するのだろうか? 警察庁長官をはじめ、各県の警察本部
 長に直接聞いてみたいものだ。そして、彼らに明るい警察改革の先頭に立ってもらいたい、
 という望みは、夢のまた夢であろうか。

 私は、かつて「神奈川県警による緒方宅の電話盗聴事件」の神奈川住民訴訟の支援に関わっ
 て以来、警察の裏ガネ問題(赤坂警察署、北海道警察、愛媛県警など)も知る機会があった。
 また、遠くは、元警視監の松橋忠光さん(故人「わが罪は常にわが前にあり」の著者)から
 も知った。

 「警察見張番」が、神奈川県警の捜査報償費に関する文書の開示請求をした結果、墨塗りで
 出てきたため、現在その全面開示を求める裁判が続いている。最近、その9回目(証人尋問)
 の法廷を傍聴した。原告側の証人は、分かりやすい言葉で尋問に答えていたが、被告側の証
 人は、口止めされているのか、尋問にまともに答えていなかった。殆ど「証言を控えさせて
 いただきます」ばかりが耳に残った。その答え方に、返って「やっぱり、やましい所がある
 から答えられないのだな」と思ってしまった。

 その法廷傍聴をした20日前のことだった。
 不正経理の内部告発をしたために、一週間後に職場異動を命じられた愛媛県警の仙波敏郎巡
 査部長に対して、愛媛県人事委員会が、「異動処分は告発との間に強い関連性が認められ、
 社会通念に照らし妥当性を欠く。異動後、正当な扱いを受けているとは言えず、処分は裁量
 権を逸脱している」と、その決裁書で述べていること、さらに間もなく仙波さんが元の職場
 に復帰することが出来たことを新聞で読み、益々「明るい警察をめざす全国ネットワーク」
 と連帯し、運動を進めていくことの重要さを痛感している。
             (N・T)

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☆★☆事務局より☆★☆
◎警察見張番総会
第一部 
とき:06年7月28日PM6:30〜7:30 
場所:かながわ県民サポートセンター403号室
報 告:事務局より、捜査報償費の情報公開訴訟(証人尋問等)について。
その他、会計報告。事務所の引っ越し。等 
会場より:質問&意見交換

       ◇◆◆◇
第二部  講 PM7:40〜8:40
@講 師:仙波敏郎氏(愛媛県警巡査部長・・・現職警官、初の内部告発者)
演 題:「私はなぜ告発を選んだか? 
事委員会の配転とりけしまでの1年5ケ月」

A講 師:東 怜治氏(仙波さんを支える会)
演 題:「形骸化した民主主義 
      裏ガネ問題はなぜ解決をみないのか」
             
              
◎カンパに感謝!
今回の訴訟に対して、Yさんより1万円の
カンパをいただきました。ありがとうござい
ます。         



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● 編集後記 

<編集後記>
 最近、新聞等では、太平洋戦争に関して問い直しがされています。残された記録を付き
合わせながら、何が真実か探り始められています。

 記録を残すことの意味を私達は時々忘れがちですが、歴史は、記録によって史実となっ
ていきます。それ故に権力者は常に自分の都合の良い記録を残してきています。
 それ(his story)が、歴史(history)となっています。歴史がhis ではなく、ourのもの
であるためには、私達市民サイドの記録をキチンと残さなければなりません。
 そんな気持ちから、特別号を出すことにしました。傍聴した市民の感想を、それぞれの
立場から書いていただきました。今回傍聴できなかった方は、是非、次回(9・20)は
傍聴して、ご意見をお寄せください。(生田典子)



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