警察見張番だより24号の2
(2007.02.11.)

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● 今こそ聴こう「心の声」を!………………………………杉山寅次郎

● 事務局より&編集後記………………………………………生田 典子


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● 今こそ聴こう「心の声」を!

「明るい警察を実現する全国ネットワーク」「恵庭冤罪支援会・東京」:                             会員 杉山 寅次郎

その日、神奈川県民活動(サポート)センターに辿り着いたとき既に7時半を回っていた。会議室 におそるおそるすべりこむ。片岡元警部のおつれあいらしい方が話をしている。途中から伺った このお話の中で印象に残った二つのことについて報告してみたい。なお、片岡元警部がでっち 上げられた冤罪事件については「見張番だより22号・23号」「明るい警察を実現する全国ネット ワーク」のサイトでも詳細を知ることができるので念のため。

「『辞めてきたで』『何を?』って思わず聞いちゃいました。真面目に仕事一筋だったこの人がな ぜ?それこそ融通がきかないくらい真面目一徹に組織にも尽くしてきたこの人がなぜ辞めなくち ゃならないの?組織ってこんなことするんだ、と思ったら腹が立って…。歯がゆい。ここまでやられ て黙っていていいのか。そこで、裁判を起こした。そしたら、周囲の態度が一変。同業の奥様たち、 目があうと逃げるように行ってしまう。年賀状もピタッと止まりましたね。面白いことにお付き合いが 今でもあるのはどちらかと言うと階級の低い人の奥様たちでした…。」(片岡夫人)

警察に限らず日本では組織に盾突く者、歯向かう者、ことに不正の告発を行う者には手厳しいし っぺ返しが待っている。告発の口封じにこの恐怖をどれだけ利用しているのかが伺える。これは 何も警察に限ったことではなく今の日本の組織一般に言えることなのだろうが、特に警察組織で はこの恐怖政治が有効に機能しているのであろう。

組織内部の「部分最適」のみに固執するので はなく、社会全体の「全体最適」を今こそよりいっそう目指すべきこの時代にあって、ひたすら「部 分最適」に執着しているのはおそらく警察、そして検察組織ではなかろうか。

もっとも、自分達の 裏ガネなどの不正は一種の役得であり、真犯人を捕まえる必要もなく“多少の冤罪”は社会秩序 維持のためには必要であると警察幹部は考えている節がある、その警察組織にとって自己保身 こそ「全体最適」への近道、と考えているのかもしれない、というのは下衆の勘ぐりだろうか。社会 全体が最適化するために「部分最適」ではなく「全体最適」の思考が求められる今、組織の不正 を追及する者たちを孤立させてはならない。

小異は捨てて大同につかねばならない。にもかかわ らず、この世はあれこれ打算や思惑が働き、なかなか難しいのが現実だ。せめて、警察や検察と いう巨大組織に立ち向かっている者には暖かく強い連帯のエールを送りたいものである。

そこで、ボクは、ミュージカル『マリーアントワネット』から「心の声」を、片岡ご夫妻にお贈りしたい。 昨秋から都合5回、先日の千秋楽を含め『マリーアントワネット』に通った。その劇中、心の汗が 出るほど勇気づけられたのがこの「心の声」である。♪         ♪♪  


どんなに泣いても      ♪
涙じゃ 変えられない
この世は ひどいままさ 
だけど 涙より
強いものが 一つある。
誰にも 奪えないもの
それは希望 希望だけさ
                 ♪
聞こえるだろ 心の声が
叫んでる 強くなるんだと
闇を照らす 遠い明かりのように
導くよ きっと心の声が

と歌い、「自分で自分を信じるんだ」と教え導いてくれたラバン婦人が殺された時、貧民の娘
マルグリットアルノーは、マリーアントワネット打倒に市民を目覚めさせ立ち上がらせて行く。
その時の絶唱「心の声」

いつも そうだった いつも苦しむのは
名もない あたしたち 

貧しく 自由もない そんな生まれを恨んだ
でも今やっと気づいた 間違ってるのは
この世界よ
        ♪
今 聞こえる 心の声が
叫んでる 強くなるんだと
何もせずに 惨めに生きるより
信じる道 選ぶのよ 今こそ

たとえ傷ついても たとえ 勝ち目はなくても
でも それでもいい 闘いたい
それがあたしの「自由」だから
               ♪
今 聞こえる こころの声が
わきあがる 今 希望の声が
闇を照らす 明かりをともすのよ
立ち上がれ 立ち向かえ今こそ
もう泣かない もう負けない
つかむのよ自由を

今聞こえる 心の声が 
湧きあがる 今 希望の声が
闇を照らす 明かりをともすまで
立ち上がれ 立ち向かえ今こそ
い・ま・こ・そ! 
♪
「無知でした。裁判所では正義が通ると思っていた。100パーセント裁判所を信じていた。 ところが、結果はビックリ仰天。思えば、警察に不利な証人の証言を止めに入った裁判官が いたくらいですから…。裁判所はどうしてわからないのでしょう。どれだけの抵抗を乗り越えて 裁判を起こしているのか。わからないんですねぇ〜。

『自分から辞任したんでしょ。にもかかわ らずなぜ裁判起こすの?』っていう感覚です。それにしてもこんな状態になってる裁判所なの に、友人たちもまだまだ完全に裁判所を信じていますから…」(片岡夫人)

同じような話を何度聞いたことだろうか。現代日本、一応、政治経済的に世界的に発展して いると思われるこの社会にあって、司法はちゃんと機能していると考えるのが自然ではあろう。 しかし、それがまちがいの素。初めて裁判に巻き込まれ、初めてそのひどさに愕然とするとい うのも稀ではない。

かく言うボクは自ら裁判に直接関与したことはない。が、過去いくつかの事 件関係者の言葉を聴いてきた。「裁判所がこんなにひどいとは思なかった」と。だからこそボク は「一度、日本国中全員ひどい目に遭ってみろ」と言い放ちたい衝動に駆られることがある。 しかし、完全にパラドクスだ。究極的に幸福を目指してやってるはずなのに、ひどい目に遭わ なくてはならないというのでは、背理であろう。 

         ???   今まで真っ当に生きてきた人ほど裁判所を信じている。自然の流れ、当然のことだろう。 しかし、ひとたび紛争に初めて巻き込まれ裁判ざたになってみると、刑事・民事にかかわらず、 誰もが驚くことになっているらしい。もっとも、刑事事件における「格差社会」ということなのか、 驚くなかれ、痴漢冤罪事件の被告人ですら、「自分達は痴漢という軽微事件なのでいい加減 に扱われている。強盗殺人事件と同様に丁寧にキッチリと捜査裁判してほしい」と言い出すほ ど、裁判所は信用されているらしいのだ。

この点、日本の警察、検察、そして司法について、 『それでもボクはやってない』がこの冬わかりやすく示してくれた。去年の今頃、『それボク』の 撮影にエキストラとして参加していた。「寅次郎が真犯人役に抜擢か」という噂が流れたのは 錯覚か(笑)。

「恵庭冤罪事件」ボクが今、支援している事件である。ここだけの話、周防監督も大いに関心 を持ってくれ、数年前より会合に通ってくださっていた。ということは、『それボク』には「恵庭冤 罪事件」についてのメッセージも含まれている、ということだ。役所広司演じる荒川弁護士が語 る。

 「裁判官はね。被告人にだけは騙されまいと思ってる。恥だからね。頭のよさに自信のある人 間ほど目の前にいる人の言葉が、万が一ウソだったらどうしよう。それに乗せられたら恥だとい う心理が働くものなんだ。無罪を出すには無罪の確信がほしい。だから疑問に思ったらストレート にぶつける。それで、納得のいく返答が返ってくるか」

もっともこれは、恵庭冤罪事件に限られない。刑事事件における裁判官多数の一般的態度で あろう。かくして、片岡ご夫妻を始めとする不正告発警察官の皆さんを皆で暖かく応援する必 要がある。今月、愛媛県警巡査部長仙波敏郎さんの国賠、その最終弁論に駆けつける予定 だ。昨年7月、仙波さんらのお話をこの「警察見張番」で聞いて以来、松山地裁に通い続けて いるが、それもいよいよ最終局面だ。冤罪事件と表裏一体をなす「警察の裏ガネ」を告発する 警察官たちを応援し続ける必要があると強く思う。


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● 事務局より&編集後記…

☆★☆事務局より☆★☆ 

◎07年5月17日(木)
「警察・検察の不法・横暴を許さない連帯運動」 が東京で開催され、生田が参加。原田さん(明るい警察を実現する全国ネットワーク)代表がスピーチ の中で、神奈川の「警察見張番」を紹介してくださいました。
◎5月21日例会(県民サポートセンター305号室)
はじめに鈴木弁護士より06年11月22日(横浜地裁判決結果・原告の請求は棄却)について、 また、東京高裁判決は07年5月30日予定であり、予想等の説明がありました。 (詳細は「見張番だより」23号及び24号参照)
◎その後、
元警部片岡壮起氏夫人・片岡昌子さんに、「元警察官の妻として悩んだこと・思うこと」を語って いただきました。ただ一方的にお話して頂くのではなく、司会からの質問、会場からの質問をはさみ ながらのお話で、非常に立体的な場となりました。しかも片岡壮起さんご自身も参加してくださいまし たので、臨場感もありました。裁判に期待をし、がっかりなさった奥様のお話から、しばらく会場は「現 在の裁判」についての話し合いとなりました。
<編集後記>

2007年も半分が過ぎました。毎日、殺人や自殺のニュ−スが流れ、年金加入記録が5千万件以上 も「宙に浮いた」とか、社会が壊れてしまったのではないかと思うような事件が続きます。それを利用 して自分たちの都合の良い方向へ持っていこうとする政治家もいます。気分が沈みそうになります が、否、こんな時だからこそ私たちは、情報に惑わされないように、確かな目を持ち続け、さまざまな ことをWatchingし、声を上げていかなければなりません。

そうした力を満載した「見張番だより」24号をお届けいたします。警察をWatchingしているうちに、 裁判のあり方、裁判官の意識の有り様などの問題がクローズアップしてきました。結果的に今号で は、「裁判」に関しての疑問が多く出されました。

なお、残念ながら地裁・高裁と控訴棄却の判決でした。その内容の説明につきましては総会及び 次回の「見張番だより」25号で、鈴木弁護士に報告していただく予定です。 では私たちの提訴は、ムダだったのでしょうか。

その事に関して、「明るい警察を実現する全国ネット ワーク」代表の原田宏二氏は、「見張番だより」23号で下記のように述べていらっしゃいます。

「では警察見張番の提訴は無駄だったのだろうか。私は決してそうではないと思う。市民団体が、 警察の監視を続けて訴訟を繰り返し提起することによって、警察は今までのようなやり方はできな くなるであろうことは間違いない。」と。

諦めず、着実に運動を続けて参りましょう。そして、裁判の傍聴もし続けましょう。

(生田典子)


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