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(2007.09.20.)

* 警察見張番だより 25号の1
 <25の1>   <25の2>   <25の3> 
***** もくじ *****

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<25の1>
● 警察現場は厳し過ぎるのではないか?     (佐久間哲雄)

● こうして我々は負かされた          (鈴木 健)

● 今の警察に、市民の安全は守れるのか     (間瀬 辰男)

<25の2>
● 第7回警察見張り番総会 参加者の感想
   ◆ 警察見張り番総会・傍聴記    (横須賀市民: 新倉 泰雄)
   ◆ ちかごろ思うこと        (市民: 竹中 芳枝)
   ◆ 市民の警察になるには      (見張り番会員: 新井 孝昭)
   ◆ 警察内部を知る貴重な講演    (見張り番会員: 木村 幸造)
   ◆ 講演を聴いて感じたこと     (市民: 杉内 一成)
   ◆ 願望で終わらせてはならない「信頼できる警察」   (市民: 石下 直子)
   ◆ 警察を知っていますか (「さむかわ市民オンブズマン」立ち上げ準備会代表:山蔦 紀一)

<25の3>
●世の中、まだ捨てたものではない<特別寄稿>    (見張り番会員:間瀬 辰男)

● 事務局より        (事務局)

●編集後記          (生田典子)

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● 警察現場は厳し過ぎるのではないか?

弁護士 佐久間 哲雄

最近、神奈川県警のさる警察署に勤務する警察官の弁護をした。やったことは、スカートの下から の盗撮。県迷惑行為防止条例の違反行為である。現行犯逮捕だった。

 聞けば、学生時代に交通事故を起こした時の取調官に感銘を受け、警察官を生涯の仕事に決めた という。採用試験では苦労を嘗め、数年前、念願の警察官になった若い人だった。

 弁護人として当然のことだが、犯行の動機を語って貰った。生活歴、家庭或いは職場での人間関 係、仕事の内容や重圧感、経済的問題など質問を繰り返した。本人は、真面目過ぎる位の人柄で、 真摯に答えてくれるのだが、今ひとつ得心がいかなかった。

当然懲役処分に付されるので、県警本部の関係部局に面談を申し入れたが、取りつく島もない応答 で、申入れは拒絶された。 極く最近、警視庁の交番に配属されていた中年警察官が、女性につきまとい、勤務時間中に女性宅 に赴き女性を射殺し、自分も死んだ事件が報道された。警察官が交番を出たまま10時間程経過し て、異常を知ったという。

警察官は、職務執行中に生命の危険にさらされることもある。10時間程もの間、動向が判らなか ったとは、どうしたことなのか。

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10年位前になるだろうか。消費者金融についてあまり情報もなく、利用の仕方も庶民には判らな かった頃、業者の強烈な取立てから救済するため、勤務先の企業や労働組合まで動いたことがある。 当時、警察署の幹部も金融業者から借入れしている署員がいないか神経を使ったという。

近頃は、サラ金に追われていることが勤務先に知られたりすれば、下手をすると職場に留まれなく なった。「40才、50才代の男性に『キレル』現象が多くなった。職場のストレスが大きな原因 と考えられる」とテレビで放映していた。

各企業の職場の管理は、ここ数年洗練され厳しくなっている。警察官の職場は、どうなっているの か。ここは、昔から管理の徹底している職場である。人間が耐えられる限界を超えたような厳しさ はないのか。

若い警察官の盗撮、中年警察官のストーカー行為も、厳しい管理から生じた病理現象のように思わ れてならない。又厳し過ぎる管理は、主体性を失わせ、マニュアルに従っていれば安心という人間 を生む。適正な懲戒処分に落ちつけたいと願う弁護士の申入れに対する拒絶、ストーカーにまつわ る射殺事件で警察官が所在不明のまま10時間も経過したことにもマニュアル人間が存在する片鱗 を見る思いがする。

警察官に対する管理体制が現在どうなっているのか、見張番の手にあまる問題ではあるが、一市民 の立場から気を配って行きたい。


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● こうして我々は負かされた

弁護士 鈴木 健

 ――東京高裁判決の、恐るべき主体性のなさ、行政追随の実態――

<はじめに>  1 警察見張番が神奈川県警察本部長を相手取って起こした文書非開示処分取消請求訴訟について、 横浜地裁1審判決が出した不当な全面敗訴判決を不服として東京高裁に控訴しましたが、東京高裁は、 平成19年5月30日(水)午後1時10分に、控訴棄却の判決を言い渡しました。

 2 判決文を改めて検討すると、驚くべき事実が見えてきます。
 警察見張番でも大変お世話になっている原田宏二さんが、見張番だより第23号に投稿して下さり、 その中で、「元高裁の裁判官で香川県の弁護士の生田暉雄氏がある雑誌の対談『日本の裁判はこんな ことになってしまった』で、裁判所について『警察・検察といった行政機関の行為を裁判によって追 認している』と述べている」ことを引用して下さいました。

 今回の判決は、行政機関(神奈川県警)の「行為」を裁判で追認しただけでなく、判決書そのもの が、神奈川県警の主張のほぼ丸写しであることが見て取れるのです。このことを明らかにするには、 私が「警察見張番だより」第24号に、「見張番側」が出した控訴理由書の内容に対し「県警側」が 提出した反論書面のポイントを解説した原稿を掲載しましたが、それと比較してお読みいただけると 大変分かりやすいので、以下にその両者の内容を下記に載せますので比較をしてください。

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<個人情報性に関する部分>(比較資料1)

 注:☆ 見張番側
   ★ 警察側 

☆【見張番だより第24号の原稿】

 まず、我々が、本件各文書に記載された警部補以下の警察官の氏名等が、本件条例5条1項ただし 書きイに該当し、非公開とされてはならないと主張した根拠として提出した「平成17年8月3日付 情報公開に関する連絡会議申合せ」によれば、

 各行政機関は、その所属する職員(補助的業務に従事する非常勤職員を除く。)の職務遂行に係る 情報に含まれる当該職員の氏名については、情報公開法に基づく開示請求がされた場合には「慣行と して公にされ、又は公にすることが予定されている情報」「情報公開法5上1号但し書きイ)に該当 するものとして、特段の支障の生ずるおそれがある場合を除き、公にするものとする。なお、特段の 支障の生ずるおそれがある場合とは、

@氏名を公にすることにより、情報公開法第5条第2号から第6号までに掲げる不開示情報を公にす ることとなるような場合、A氏名を公にすることにより、個人の権利利益を害することとな るような場合、とされており、この申し合わせがなされた経緯については、「総務省は、総務副大臣 主催による「情報公開法の制度運営に関する検討会」を開催し、法施行後4年を目途とした見直しに ついて有識者による専門的な検討を行い、その結果を「情報公開法の制度運営に関する検討会報告 (平成17年3月29日)として公表しました。」と記載されていて、このような検討会において議 論され一定の申合せがなされるということは、すでに検討会の開催に先立つ時期において、ある問題 状況が認識され、それが検討会において問題提起され、検討会委員や申合せ当事者にとっても認識が 一致しているからこそ具体的な申合せ事項として公表されるに至るのが通常であり、むしろ、本件各 処分のされた同年3月24日時点において、職員の職務遂行にかかる情報に含まれる当該職員の氏名 については公にすべきだとの解釈が既に一般的なものであったと見るべきである。

そして、警察庁は 国家公安委員会に属し、同委員会は上記申し合わせの当時者たる内閣府に属するから、本件条例の実 施機関たる神奈川県警本部長も上記の公式解釈に従うべきである、と控訴理由書において主張しまし た。

これに対しては、「連絡会議申合せ」は本件各処分がされた平成17年3月24日から4か月余 りを経た同年8月3日に国の各府省間で情報公開法に係る事務処理上の取扱方針として行われたもの であり、時期的にみても、また組織が異なることからしても、上記申合せが本件各処分についても一 定の拘束力を有すると解することはできない。
と、1審判決内容と同じく、全くの形式論的な反論を述べています。

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★【東京高裁判決「当裁判所の判断」該当部分】

 控訴人は、連絡会議申合せがされたのは、総務省が総務副大臣主催による検討会を開催し、その結 果を報告として平成17年3月29日に公表していたことによるものであって、このように検討会で 議論され、一定の申合せがされるということは、事前に関係者の認識が一致しているからこそ具体的 な申合せ事項として公表されるに至るのが通常であり、本件各処分がされた同月24日の時点におい て、職員の職務執行に係る情報に含まれる当該職員の氏名については公にするべきであるとの解釈が 既に一般的なものであったとみるべきである旨主張する。

 しかしながら、証拠によれば、検討会は、情報公開法施行後4年を目途とした見直しについての有 識者による専門的な検討として行われ、また、連絡会議申合せは、各府省間で情報公開法に係る事務 処理の取扱方針に関して行われたものであって、いずれも情報公開法を対象としており、その制度の 対象となる期間は国の行政機関であるのに対し、本件各処分の根拠法令は神奈川県情報公開条例(本 件条例)であり、対象となる実施機関は警察本部長であるから、検討会及び連絡会議申合せの対象と された法令、組織とは異なっていることが明らかである。

また、上記証拠によれば、検討会は、本件 各処分がされた平成17年3月24日の後の同月29日にその報告が公表され、連絡会議申合せは、 本件各処分から4か月余りを経た同年8月3日に行われたものであるから、いずれも本件各処分がさ れた当時には存在しなかったものである。

したがって、検討会及び連絡会議申合せが直接被控訴人(=神奈川県警)に対して拘束力を有すると いうことはできない。

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<捜査情報性に関する部分>(比較資料2)

☆【見張番だより第24号の原稿】

 次に、我々が、県警側証人である森藤証人(元交通指導課課長代理)が証人調べの中で、現金出納 帳の摘要欄には、捜査員の氏名と事件名が記載されるだけで、被疑者の名前は記載されず、事件名も 「暴走族の事件」「死亡ひき逃げ事件」といった、概括的な事件の性質が記載されるのみであること を認めたことを受け、このように、捜査員の氏名と概括的な事件名が記載されるだけであれば、一つ の課で扱う概括的事件名などそうたくさん種類があるわけではないから、ある支出情報を開示したと しても具体的にどの事件関係の支出か特定することはできず、捜査活動の状況が推察されるおそれは ないし、また、現金出納帳には捜査協力者の具体的情報は記載されないのであるから、現金出納帳を 開示したとしても「捜査の進捗状況や捜査方法を推測したり、捜査員や協力者へのはたらきかけを行 ったりする可能性」はないはずなのに、1審判決がこの点につき何も触れていない点を控訴理由書に おいて批判したのに対しては、次のように反論しています。

「現金出納帳には、捜査費の受入状況、個別執行状況等が記載されている。
このうち事件名は、概括的な内容ではなく、具体的な名称の場合もあり、ニュースの標題になるよう な程度の事件名もあるのであるから、事件によっては、その名称のみで、どの事件か特定される場合 も有り得るし、それ自体はニュースの標題となるような事件名でなくとも、警察署名など地域との関 連で、少なくとも事件関係者にとっては、事件が特定されることは十分有り得るのである。」

「事件名が分かるだけで前述のとおり個別の事件が判明する場合もあるし、更に現金出納帳には支出 日、支出額等が記載されているところから、新聞、雑誌等から得られる情報と照合することなどによ って、具体的事件が特定される場合もあるのである。

そして、具体的事件が特定されれば、捜査体制や捜査活動の活発さなど捜査状 況が推測でき、被疑者等の事件関係者において逃亡、証拠隠滅等の対抗措置を講じるおそれがあるほ か、情報提供者等捜査協力者が特定または推測され、これらの者に対する被疑者等の報復のおそれや、 今後の協力が得られなくなるなどの、犯罪の予防、捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及 ぼすおそれが、十分認められるのである。」

「風が吹けば桶屋が儲かる」可能性のレベルでも事件が特定されることを防ぎたい、と言っているよ うに聞こえます。
とにかく警察情報は何が何でも隠し通すのだという強い意志が見て取れます。
ここには、行政が透明性を持って行われなければならないという発送は、微塵も見受けられません。

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★【東京高裁判決「当裁判所の判断」該当部分】

 控訴人は、現金出納帳等の摘要欄には、捜査員の氏名と事件名が記載されるだけであって、被疑者 の名前は記載されず、事件名も「暴走族の事件」、「死亡ひき逃げ事件」といった概括的な事件の性 質が記載されるのみであり、一つの課で扱う概括的な事件などそう多くの種類があるわけではないか ら、ある支出情報を公開したとしても具体的にどの事件の支出かを特定することはできず、捜査活動 の状況が推察されるおそれはなく、また、現金出納帳等には捜査協力者の具体的情報は記載されない から、現金出納簿等を公開したとしても、捜査の進捗状況や捜査方法を推測したり、捜査員や協力者 への働きかけを行ったりする可能性はないはずである旨主張する。

 しかしながら、…現金出納帳等における事件名としては、概括的な事件の性質が記載されるものの、 ニュースの標題になるような程度の事件名もある(証人森藤)から、事件によってはその名称のみで どの事件かが特定される場合もあり得るし、そうでない場合でも、警察署名など地域との関連で事件 関係者にとって事件が特定されることや、現金出納帳に記載されている支出日、支出額等と、新聞、 雑誌等から得られる情報とを照合することなどによって具体的事件が特定される場合もあり得ること は想定され、具体的事件が特定されれば、捜査体制や捜査活動の活発さなど捜査状況が推測でき、被 疑者等の事件関係者において逃亡、証拠隠滅等の対抗措置を講じるおそれがあるほか、情報提供者等 捜査協力者が特定又は推測され、これらの者に対する被疑者等による報復のおそれや、今後の協力が 得られなくなるなど、犯罪の予防、捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあ ることも否定することはできない。

そして、以上のような捜査への支障等が生じないとするだけの具体的な根拠を見出すことはできない。

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<捜査費の収入額と支出額がほぼ一致している>ことについて(比較資料3)

☆【見張番だより第24号の原稿】

 最後に、我々が、捜査費の支出は月毎の事件の数や規模によって変動するはずであるが、本件公開 請求により公開された平成12年度の交通指導課及び少年課の捜査費総括表(県費)によると、同年 度の交通指導課及び少年課の捜査費(県費)は各月の受入額と支出額がほぼ一致しており、捜査費が 本来の用途に支出されていないことがうかがわれること、一口に捜査費といっても起こる事件の内容 や規模によって必要となる捜査費の多寡に違いが出るはずであることは誰が考えても分かることであ り、捜査費が正しい目的に使用されているという前提で考えたとき、森藤証人のいう「転用」であら ゆる捜査費が賄えるということは到底考えにくいし、また、そもそも捜査費は、緊急を要する場合や 秘密を要する場合で、通常の支出手続を経ていたのでは支障がある場合に現金経理が認められている ものであるとすると、仮に秘密を要する場合の捜査費は転用可能だとしても、緊急を要する場合の捜 査費は転用できないはずであり、「転用」によって捜査費の帳尻が合 わせられるようなものであれば、 逆に「緊急を要する」ことはなかったのではないかとの疑いが出てくる、と控訴理由書において主張 したのに対しては、次のように反論しています。

「控訴人は、捜査費の執行に関し殊更『緊急性』の要件にこだわっているが、捜査費は、『経費の性 質上、特に、緊急を要し、正規の支出手続を経ては事務に支障を来たし、又は、秘密を要するため、 通常の支出手続を経ることができない場合に使用できる経費』であり、『緊急性又は秘匿性』がその 要件とされているのであって、緊急性のみがその要件になるものではない。

すなわち、緊急性という面では、捜査に当たっては、被疑者の動きにあわせた機動的な対応が必要と なるため、直ちに対応をしなければ捜査が停止してしまうなど、時間的な猶予がない場合に捜査費を 執行しているが、他方、秘匿性という面では、一般的に、捜査を行う上での捜査手法や体制、捜査状 況等が明らかとなれば、被疑者等において逃亡又は証拠隠滅のおそれがあるほか、捜査協力者等が 特定又は推測され、被疑者等による報復や今後の協力が得られなくなるおそれがあるなどの観点から、 捜査費として執行する必要性が生じるのである。

こうしたおそれがあるにもかかわらず、仮に、捜査協力者に対する謝礼を通 常の予算執行で対応するとなれば、その時期、場所、目的等の使途や、捜査協力者の氏名等の情報を 明らかにした書類が、捜査と無関係な警察職員はもとより、神奈川県会計事務担当者等の目にも触れ ることとなり、本来秘匿性の高い捜査情報が流出するおそれが十分認められ、結果として捜査に大き な支障を及ぼす可能性が有り得るのである。

このため、捜査費は、緊急性を要する場合に加え、秘匿性を要するため通常の予算執行を経ることが できない場合にも使用できる経費として認められているものであって、緊急性を要する場合のみのも のではない。」

我々の主張する「仮に秘密を要する場合の捜査費は転用可能だとしても、緊急を要する場合の捜査費 は転用できないはずである」という指摘に対する答えに全くなっていないことがお分かりいただける と思います。
この点は、県警側としてもどう考えても合理的説明がつけられないので、適当なことを言って裁判所 の目をはぐらかそうと企図したものと推察されます。

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★【東京高裁判決「当裁判所の判断」該当部分】

 控訴人は、一口に捜査費といっても起こる事件の内容や規模によって必要となる捜査費の多寡に違 いが出るはずであり、証人森藤のいう「転用」であらゆる捜査費が賄えるということは到底考えにく く、意識して平準化を行わないのであればなおさらであり、捜査費の性質を考慮すれば、秘密を要す る場合の捜査費は転用が可能だとしても、緊急を要する場合の捜査費は転用できないはずであり、転 用によって捜査費の帳尻が合わせられるようなものであれば、逆に緊急を要するものではなかったの ではないかとの疑いが出てくる旨主張する。

 しかしながら、…証拠によれば、捜査費は、「経費の性質上、特に、緊急を要し、正規の支出手続 を経ては業務に支障を来し又は、秘密を要するため、通常の支出手続を経ることができない場合に使 用できる経費」であることが認められ、緊急性又は秘匿性がその要件とされており、緊急性のみがそ の要件となるものではないから、この点でも控訴人(=警察見張番)の上記主張は理由がない。

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<おわりに>

 東京高裁の裁判官は、いずれも10年以上のキャリアがある人であり、そのような人が3人も集ま って出した判決がこのようなものだというのが、今の日本の裁判所の実態だということです。

しかし判決結果はともかく、このような訴訟が係属していること自体、当該行政機関に対するプレッ シャーになることは間違いありません。

役員の生田さんが「警察見張番だより」第24号の編集後記でも引用してくれましたが、第23号の 投稿中で原田さんに指摘していただいた「では警察見張番の提訴は無駄だったのだろうか。私は決し てそうではないと思う。市民団体が、警察の監視を続けて訴訟を繰り返し提起することによって、 警察は今までのようなやり方はできなくなるであろうことは間違いない。」との言葉を信じ、次なる 情報公開請求・訴訟に取り組んでいきたいと考えています。

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● 今の警察に、市民の安全は守れるのか

元長崎県警暴力団対策課兼銃器対策室係長: 大宅 武彦

統一地方選挙戦の最中の本年4月17日の夜8時ごろ、遊説を終えて、JR長崎駅前の選挙事務所 に帰所中の伊藤一長市長が指定暴力団山口組系水心会会長代行、城尾哲弥に拳銃で射殺される事件 が起きた。
 選挙運動期間中に現職の市長が暴力団に襲われる。これは法治国家、日本での出来事かと耳を疑 った。これは民主主義に対する重大な挑戦だと大きく報道された。私自身も、まさか、と思ってテ レビに写っている画像を見ると、紛れもなく顔見知りの城尾哲弥に間違いなかった。

この事件後、地元の新聞、テレビ、週刊誌の記者らが私のところに押し掛けて来た。「何故、いま さら!!」という感じがしないでもない。

報道関係の記者が「大宅さんの事件後、全国的にも、けん銃押収が極端に減少し長崎県でも押収実 績がない」と言う。
その原因を現職の暴力特捜員とか他の捜査員に聞くと、異口同音に「県警はベテランの大宅先輩に 責任を取らせて組織から追い出した。
それを恐れて暴力団の組事務所にも行かないし情報収集にも影響している。退職警察官も「あの事 件は大宅より責任を取らなければならない男が、何人もいる。それを県警は大宅だけに責任を取ら せた。これはトカゲのしっぽ切りだ」と述べたそうだ。また、ある記者は「拳銃押収の件数が大幅 に減少したことが現職の長崎市長が射殺された原因のひとつであると思うが、大宅さんは、どう思 いますか」と質問してきた。

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□長崎県警在職中に何があったか

<けん銃の違法捜査>

 私が処分を受けた大宅事件というのは、今から11年前の平成7年9月「全国一斉のけん銃等銃器 及び薬物の押収、暴力団構成員の検挙取締り強化月間」中の出来事だった。

※この事件の詳細については「市民の目フォーラム北海道と明るい警察を実現する全国ネットワーク」 代表、原田宏二氏の著書「警察VS警察官」(講談社 2006.8.2 発刊)の第二章で、警察が私一人に 責任を押しつけたものであることが、特に詳しく紹介されていますので、是非参考にしていただきた いと思います。

<事案の概要及び経過>

私は、取締り月間中に暴力特捜班長(警部)の命により巡査部長1名と共に早岐署に応援派遣され、 捜査主任官である刑事課長の指揮下に入った。事件は恐喝事件の取調べで、私の担当は執行猶予付の 「T男」。部下の巡査部長と早岐署の巡査部長も共犯被疑者の取調べで、総括責任者の係長は「事件 のまとめ」であった。

私の仕事は取調べと、毎朝特異な事があれば、その都度直属の上司である特捜班長に報告する事であ った。捜査主任官は署長名で暴力団対策課長宛に「捜査経過情況報告−書」を作成して送っていた。

その後、早岐署の巡査部長が共犯被疑者から「T男と一緒に壱岐の島に、けん銃を取りに行く予定だ った」という情報を得たことで、捜査主任官からの指示でT男を追及すると、情報の通りであった。 私達は検事に相談し「自首減免」規定を適用して、けん銃を出させることにした。

その後、上層部の指示により、違法捜査をして
・自首減免の効かない「散弾銃」 一丁
・「けん銃」一丁と「実包」9発
を手に入れた。一応、けん銃一丁と実包9発は自首減免を適用し、結局「T男」が神社に隠し持って いたように偽装工作して写真撮影の上、押収した。散弾銃は後日、係長らが分解して海に投棄したと いう。

この偽装工作で現金が動いたという事に関しては、次のような次第である。
私達は、毎日早岐署までの距離60キロ位を捜査用車で通勤するのが原則だった。私達が帰宅した後 に、総括責任者で早岐署の係長らが「T男」を留置場から出しT男の姉に電話を掛け、けん銃等の代 金を振込ませていた、ということが後で分かったのだ。

この「けん銃偽装押収」が発覚したのは、報道機関に対する現職「警視」の投書によってであった。 今回の「けん銃偽装押収」は、県警の組織的なものであることが明らかになった。

それにも関わらず、 S警視の「いじめ」に合い、私だけが刑事責任を迫及され、懲戒免職処分を受 け警察から追放されたのである。

□裁判(公判)は、公平か・・・。

<刑事事件に於ける弁護士選任の重要性(一審)>

私は、弁護士をつけなくても裁判官が公平な判断をしてくれるなら負けることはないと判断して、 知人の会社の顧問弁護士をしていた民事事件に詳しい人を選任した。が、これが間違いだった。 検察官から、難しい質問や道を外れた質問を受けた時も反論ひとつしない。結局、証人尋問が終わ った後、「刑事事件より人事委員会の懲戒免職処分の取消しに力を入れましよう」と言う始末だっ た。

こんな次第で「一審」の裁判結果は、懲役1年、執行猶予3年の判決を受けて私が敗訴した。 「二審」の高裁からベテランの弁護士の先生2名を増員して裁判に臨んだが、「二審」も「一審」 の判決を支持し控訴棄却となった。更に、この「けん銃押収偽装事件」は県警の組織的関与があっ たとして「三審」の最高裁まで上告したが、平成14年3月に「二審」のとおり棄却され、私の全 面敗訴となった。

地裁の裁判官も報道関係者との雑談の中で、「あの弁護士ではこの判決が妥当だ」と言ったという。 裁判所は真実を究明するところであると思っていたが、「二審」(高裁)「三審」(最高裁)も波風 を立てない「右へならいの主義」だった。つまり、日本の司法のあり方がよくわかった。要するに 「警察官個人は不祥事を起こす者がいても、警察組織は間違ったことはしない」という思い込みがある。

<警察にも「いじめ」がある>

現在、全国的に中学生や高校生などが、いじめにあい自殺するなど大きな社会問題になっているが、 いじめは、警察の中にもあった。

私は「まる暴」刑事を30年位していて恐ろしい者はいないと思っていた。
警察には階級制度があり、特に縦社会の組織で一階級違うと、「月とスッポン」の違いがある。特に 警部補と警部の差が大きく、警部と警視の差も大きい。また県警本部長となると人事権もあり、どの 階級からしても「神様的な存在」である。これに加えて「地公法」「国公法」には服務規定があり、 公務員は「上司の命令に従う義務」がある。こんな訳で、いくら「まる暴」刑事であっても警察の 上司には年令に関係なく頭が上がらない、という現実があった。

私の場合は、仕事をして実績を上げたことにたいする妬みからの「いじめ」があった。それは、私の 今回の事件にも大きく係わっている。

<陸上自衛隊、大野原演習場で発生した「自動小銃」の紛失事件>

平成3年7月、長崎県内にある大野原演習場で訓練中に自動小銃が紛失する事件が発生し新聞等に大 きく報道された。警察もこの捜査に従事し、当時、県警本部捜査一課、S特捜班長(警部)も班員を 連れて捜査に従事していた。

この事件発生から半月ほど経った頃の深夜、佐世保署刑事二課暴力犯係長だった私に、顔見知りの県 外のヤクザから「大宅さんに手柄を立てさせたい。会ってくれ」という電話があり、佐世保市内で会 った。
そのヤクザは「大野原演習場の自動小銃が手に入る。係長がいらないなら永久に出て来ないところに 処分する」と言う。私は「この男に迷惑をかけられない。しかし処分されて事件が迷宮入りにでもな ったら困るな」と思い「よし分かった。夜が明けたら電話する」と言って別れた。

私は上司である刑事二課長の自宅に行き、事情を説明して作戦を練った結果「物だけでも押収する。」 という結論に達し夜明けとともに行動を開始した。
弓張岳の頂上で自動小銃を受け取り、刑事二課長に連絡して「自動小銃1丁」を押収した。

自動小銃1丁を発見した翌日、「S特捜班長」から、(皮肉にも「大宅事件」の際、けん銃を受取った) レストランに呼び出され、「自動小銃の提出者の名前を教えろ」等と迫られた。(私としても「まる暴」 担当の刑事で「ヤクザ」つまり協力者との約束は口が裂けても言えません。これが暴力団担当の宿命 です。)S特捜班長の気持ちも分かるが、名前を言わなかったため、彼は腹を立てて帰った。が、私は 悪い事をしたとは今でも思っていない。

これが「大宅事件」の始まりだった。「暴力特捜班長、捜査主任官」を飛び越えて私がけん銃偽装押収 を主導したとして、「S警視」のシナリオ通り、暴力特捜班長を外し、私が100%、係長は99%懲戒免職、 捜査主任官は論旨免職ということで取調べが始まった。これは最初から「S警視」が仕組んだことも ハッキリしている。

要するに、私に恩を着せる意味で退職願を書かせて論旨免職にする。そして暴力特捜班長、捜査主任官、 総括責任者の係長らを外すことを想定していたことは間違ない。2月1日に県警本部警務部、監察課が 一斉に関係者の取調べを実施し、その結果「けん銃偽装押収は嫌疑なし」という結論に達し警察庁にそ の旨、報告したという事も聞いている。

S警視は、警務部警務課の管理官で監察官も兼ねていたが、とにかく地元新聞の報道部長と同じ高校の 卒業生で、よく飲みに行ったり食事をしたり、親しく交際していたのを見かけたことがある。また、投 書をした「警視」、シナリオを書いた「S警視」、記事にした「報道部長」の3人は、特に仲が良い。 この3人で話し合いをして報道部長の顔を立てて新聞記事にしたものと思われる。

しかし、あの手・この手を使って私や家族まで説得して来たが、私が「退職願」を書かなかったことは 「想定外」だったのだろう。その後、懲戒免職処分になり検察庁が起訴、裁判所で有罪の判決を受けた。

「想定外」というのは当時の暴力特捜班長(すでに退職している)も、私の知人が同人に会い、「大宅 より、貴方とか当時の捜査主任官が責任を取るのが本当じゃなかったか」と言うと、「私達は大宅の為 に退職金を貰えるように頑張ったが大宅が言うことを聞かず退職願を書かなかっただけだ」と言ったそ うだ。それを聞いて私は、警察の上層部の幹部とか暴力特捜班長達も「S警視」が書いたシナリオの通 りに最初から動いたことが判った。私は警察と闘い、日本の司法に負けはしたが、悔いはない。

<暴力団捜査の実態及び激減するけん銃摘発>

●暴力団とは暴力あるいは暴力的な脅迫によって自己の私的な目的ために行動する反社会的な集団で ある。(広辞苑)

資金源は千差万別で、とにかく利益をもたらすものは何でも資金源になる。
特に暴力団の資金源は:
金貸し(暴利)・債権取り立て・ノミ行為(私設舟、車券)・覚醒剤(麻薬)売買・けん銃等の密売 ・みかじめ料・女の紐・砂、砂利の利権など数多くある。

暴力団の対立抗争事件、内部抗争事件が多発し、一般市民も巻き添えを受けて射殺されている。
このような不法行為を封じる為、平成3年5月「暴力団対策法」が公布され、翌4年3月1日から施 行された。
警察庁は、同法律の成立に伴い「山口組、稲川会、住吉会」の3団体を「指定暴力団等」と指定した。
長崎県警は同年 4月1日付で「暴力団対策課」が新設された。
暴力団取締りも強化された。また防犯部も「銃器対策室」が設置され、銃器薬物の捜査が強化された。

暴力団に対する警察の取締体制も強化された。
平成5年には銃刀法も改正され、けん銃の「自首減免」の規定が新設された。この規定は「けん銃を 所持する者が、けん銃を提出して自首した時は刑を軽減し、又は免除する」ことだ。これはヤクザが、 けん銃を片手に自首することを期待してのことだが、そんなことはあり得ない。しかし全国の警察で 自首減免の規定を拡張適用し「首無しけん銃」や「やらせ捜査」による、けん銃押収が始まり、実績 も上がり警察庁の方針も、一時成功したかに見えた。

暴力団の武装解除を目的とした「平成の刀狩り」は、反面けん銃の不法所持者を見逃し、また暴力団 対策課の課長自身も「うちの特捜班員には暴力団からけん銃一丁も出させ得る者は、まだ一人もいな い」などと違法捜査をしてでも、けん銃を出させるように煽り、ハッパを掛けることもあった。

要するに現場の捜査員は摘発情報を得るため、「暴力団との取引や安易なヤラセ捜査」 に頼るよう になり、違法捜査が発覚すると警察は、「現場の捜査員が個人的にやったこと、組織は関係ない」 と組織防衛に走り、挙げ句の果ては「トカゲの尻尾切り」で警察から追放する。結局「自首減免」 の規定を全国の警察が拡張適用し実績を上げるため、安易な捜査、つまり違法捜査をすることが多く なり、全般的に捜査能力が低下し、「平成の刀狩り」は失敗に終わった。

今後の課題として、暴力団から、けん銃を摘発する為には、長期展望に立った暴力団の視察内定、 協力者の獲得、捜索の繰り返し、地道な捜査に従事する能力と技術を持った捜査員や捜査幹部の育 成が急務である。

<捜査指揮に責任を負わない幹部>

警察の捜査は、個人ではなく、組織捜査が原則である。その為に警察は強固な階級制度によって 成り立っており、あらゆる事件は、本部長、あるいは署長の指揮の下、捜査主任官が指揮を取っ て事件を解決していくのが原則である。
しかし、各県の警察本部長はキャリア官僚で、地域の安全を守るのではなく、「上」 つまり警察庁 を見て仕事しているのが現実である。しかも上層部とか捜査主任官は「自分の身が一番可愛い」組織 で捜査し、間違った指揮をしても自分で責任を取ろうとはせず、組織をあげて隠蔽工作を図り、最後 は「トカゲの尻尾切り」をして逃げているのが現状である。

<暴力団のけん銃発砲事件が頻発するのは何故か>

昔は暴力団の武器は、日本刀などの刃物であった。これは持ち運びの際、人の目に付きやすいこと、 また、けん銃の数も少なかったということもある。ところが20〜30年前頃には、暴力団組員「一人 に一丁」は持っていると言われ、平成7年には捜索で「機関銃」も発見したことがあった。

けん銃は持運びに便利で人目にも付きにくい。また暴力団組員も、たまには裏切る組員もいる。 しかし、けん銃は狙いをつけて引き金を引くと「御主人様」の命令通り絶対に裏切らない。

けん銃発砲事件が、毎年全国で200件前後発生しているが、最近の一連の暴力団員等による 「けん銃発砲事件」は、末端の暴力団員等によって行なわれた事件にすぎない。巨大な指定暴力 団山口組などにとっては痛くも痒くもない。指定暴力団の武器庫は健在であるし、けん銃等の入 手が容易に出来るようになった。以上のことなどが、暴力団によるけん銃発砲事件の頻発の原因 と思われる。

<最後に、「警察を変えるためには」>

このような警察で果たして市民の安全は守れるでしょうか?
テレビドラマの「水戸黄門」に出てくる賄賂を要求するような悪得代官は、「長崎県警」の悪徳 警視(週刊誌FLASH[平成19年7月17日発売]に掲載)ばかりでなく、各県警にも必ず2〜3名は いるはずです。そういう観点からも、日本の中心地、いわゆる首都圏で活躍されている「警察見 張番」の存在は大きいと思います。裏金追及だけではなく、市民がもっと警察の実態を知るよう に、いわゆる悪得代官を懲らしめる「水戸黄門」になっていただきたいと思います。また同じ目 的を持っている「市民の目フォーラム北海道」と連携していったら、更に大きな力になると思い ます。ホームページもありますからみなさんも、是非見てください。

 「市民の目フォーラム北海道」HP; www.geocities.jp/shimin_me/index.htm

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@参考として

< 拳銃押収> 私は警察歴34年7ケ月内、30年は「まる暴」担当で、この30年間で、けん銃押収は

  • 私の情報で逮捕状を請求し身柄を逮捕する際
  • 私の情報で捜索差押許可状で捜索する際拳銃20丁位
  • 銃刀法の改正の「自首減免」規定で、拳銃2丁(大宅事件1丁)
  • 銃刀法の改正前に自衛隊大野原演習場の分、自動小銃1丁で、この押収のうち私は取引をして 出させた事は一度もない。

<在職中の表彰>

  • 本部長賞
  • 賞詞2回
  • 賞与30回

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