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(2008.07.20.)

* 警察見張番だより 27号

***** もくじ *****

● 裁判員制度に関しての雑感

(佐久間哲雄)

● 神原弁護士の講演を聞いて                 
  • 神原弁護士取得無罪事件の報告

  • あまりにもお粗末な事件

  • もはや無関心ではいられない

  • 講演を聞いて、思うこと

  • 脅迫罪が無罪になった”顛末”

  • 市民の目線で、反省、信頼される警察に

  • 警察見張り番の例会に参加して

  • 検察官も警察官も同じ? 

(鈴木 健 )

(石川 利夫)

(中村 攻)

(星川 勝)

(近藤 栄子)

(木村 幸造)

(住吉 誠司)

(矢島 慎豊)

● 編集後記

(生田典子)

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目次へ :
● 裁判員制度に関しての雑感

弁護士 佐久間哲雄

 来年の5月、裁判員制度が動き出す。新潟県弁護士会を始めとしていくつかの弁護士会で 実施延期の決議がなされたり、新聞雑誌などでも危惧する記事が多い。  日本弁護士連合会は、数十年にわたり陪審制もしくは参審制実現の運動を続けてきた。

 他方最高裁判所では、もう30年近くなろうか、数名の裁判官を海外に派遣し、陪審制と 参審制の調査にあたらせ、膨大な調査報告書を作った。  私は、日本の従来の刑事裁判では、数十パーセントに上る誤判があると考えている。無罪 を言い渡すべき事件で有罪を言渡せば、これは誰でも誤判であるというが、本来5年の量刑 であるべき事案に8年の刑を言渡すのも立派な誤判である。

 現在の刑事裁判では、検察官の手元にある証拠が全て法廷に出されるわけではない。法廷 に出される証拠は、検察官が有罪を立証するのに必要だと考える証拠、そして量刑を考える ときに必要だと検察官が考える証拠だけが法廷に出される。検察官の手元に残されたままに なる証拠は、膨大である。

 弁護人が、検察官の手元に残された証拠を見せろと要求しても、検察官にはこれに応ずる 義務はない。弁護人の求めに応じて検察官の手元にある証拠を弁護人に見せ、証拠として使 わせるよう裁判官の訴訟指揮がなされても、検察官は裁判官の訴訟指揮に応じる義務はない。

 かつて白鳥事件とか松川事件とかと呼ばれる重大な誤審事件があったが、検察官の手元に 無罪を立証する証拠が残されていた事件であった。
 法廷に出された被告人の自白調書を巡って、弁護人と検察官の間で長期間にわたる闘いが 展開されている。

 裁判員制度では、審理に参加する裁判員の負担を考えると、通常の事件ならば3日程度、 複雑な事件の場合でも、多くて10日が限度と思われる。そのため、審理の争点を絞り込む ことが必要となる。

 事件の全容を検察官の手元にある全証拠を含めて弁護人において検討する必要が生じる。 その結果、検察官は、手持ちの証拠をほぼ全部弁護人に開示することとなった。その結果、 検察官が犯罪の立証及び量刑のために集めた全資料が白日の下にさらされることとなった。

 更に被告人の自白調書が捜査官の脅迫とか利益誘導によってなされたものでないことを裁 判員に短期間に理解して貰うことの証拠も必要となった。この問題が新聞などでしばしば取 り上げられる取調べ状況の録画の問題である。現段階では、警察及び検察は、取調べ状況の 一部の録画を認めるに過ぎないが、いずれは、取り調べ過程の全てが録画されることになる に違いない。以上の2点が裁判員制度に、私が最も期待する点である。

 裁判員制度が動き出すことによって、無実の人が有罪に泣く事案は必ず減少すると考える。 また不当な量刑が言渡される事案も激減するに違いない。
 裁判員に量刑まで決めさせるのは負担が重過ぎるという批判があるが、最高裁判所では毎 年司法統計としてどの程度の量刑分布となっているか調査しており、裁判員にもその統計資 料は渡されるはずである。世間で云う程、量刑が裁判員の負担になるとは思われない。

 司法官僚による現行の刑事裁判は、実は、国民には公開されない裁判である。裁判は、国 民の前に公開されて行われるのが大原則であって、裁判員制度の実施により日本で初めて国 民の手に刑事裁判が取り戻されると考える。


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● 神原弁護士の講演を聞いて
◆ ◎神原弁護士取得無罪事件の報告 (弁護士 鈴木 健 )

 ◎神原弁護士取得無罪事件の報告
             5月22日に行われた例会のメインイベントは、久しぶりに弁護士講師による刑事事件無罪判決 取得報告。講師は、川崎合同法律事務所の若手新進気鋭弁護士である神原元(はじめ)弁護士。

 私が最初にこの題材での講師をお願いしたところ、「事案としてはチンケな事案なんで、45 分や1時間も話す材料がない」などとうそぶいていたのだが、実際に話が始まるや、聞く者を引 きつける非常にテンポのよい喋りで、しかも分かりやすい構成で、あっという間に持ち時間は過 ぎ去った。実はこの人、裁判の書面を書くよりもビラを書いて配る方が好きで、法廷で喋るより も街頭でハンドマイク片手に喋っている時間の方が長いのではないかと言われている豪傑。いろ いろな集会等で話す機会も多い人なので、憶えておいて損はないはず。

 話は、2006年11月3日、Aさんが現住建造物放火罪で現行犯逮捕されるところから始ま る。

 現住建造物放火罪という罪は重罪であり、近時、法定刑が一定以上重い罪について弁護士が派 遣される「被疑者国選」という制度により、担当日に当たっていた神原弁護士がAさんに接見に 行く。被疑事実は、大要、居酒屋甲店の経営者から「2度と来るな、出入り禁止だ。」等と罵声 を浴びせられたことに憤慨し、同店に放火することを決意して付近にあった段ボールにライター で点火し店のドアに燃え移らせ、上の階に住居もあるマンションを焼損しようとしたが、通行人 が発見して消火したので目的を遂げなかった、というもの。

 神原弁護士が事情を聞いたところ、Aさんは当時泥酔していて詳しいことは憶えていなかった が、段ボールを燃やした事実自体は認めていた。ただ、段ボールの火は通行人がすぐ消し、シャ ッターが焼損する可能性も全くないという状況だった。

 そのこと自体は検察官も認めざるを得なかったのか、フタを開けてみると、Aさんは別罪の 「脅迫罪」で11月22日に起訴された。起訴事実は、「居酒屋甲店経営者から入店を断られた と思い込み、腹いせに同人を脅迫しようと企て、段ボール箱にライターで点火して燃え上がらせ 、同人の身体財産等に危害を加えかねない気勢を暗に示して脅迫した、というもの。

 被疑者国選に続いて神原弁護士が被告人国選(刑事裁判における弁護人)を担当。初公判で、 Aさんは「段ボールに火をつけたことは事実だが、居酒屋の店主を脅迫する意図はなかった」と して無罪を主張した。

 その後、警察官2名、目撃者1人の証言が終わった後、検察官は被害者とされる居酒屋甲店店 主の女性Bさんを証人申請した。法廷で女性は「Aさんとは仲良くやっている。」「脅迫された という覚えはない。」「Aさんは、二度と同じことはやらないと思う」と証言した。

 実はAさんは居酒屋甲店の常連客で、Bさんとの仲もよかった。そして、Bさんは、Aさんの 刑事裁判で証人として出頭することをためらったのか、最初に呼び出されていた2007年5月 24日の期日には裁判所に現れなかった。

 実際にBさんが証言した7月12日の期日に先立って、神原弁護士はBさんに会って事情を聞 いていた。そこでBさんから出た話は、「Aさんに脅されたとは思っていません。Aさんがまた 火をつけるだろうとは思っていません。Aさんは優しい方で、とてもいい人です。人を脅すよう な人ではありません。私がAさんに恨みを買うこともありません。早くAさんを解放してあげて 下さい」といった内容。神原弁護士は、法廷で証言していただいた方がAさんの裁判に有利にな ることを告げて説得。結果、Bさんは7月12日の期日には出頭し、同内容の証言をしていただ くこととなる。

 その期日の直後なした勾留取消請求が認められ、Aさんは7月17日に釈放された。それまで の勾留期間約10ヶ月。

 そして、Bさんの法廷証言から、Bさんは「脅迫」現場にいなかったことが明らかになった。 Aさんが居酒屋への入店を断られたのは夜8時、店が閉まってBさんが帰宅したのは夜10時、 事件発生は深夜零時、Aさんは直後に逮捕されている。そうすると、Aさんは無人の居酒屋の前 で段ボールを燃やした事実で「脅迫」とされたことになる。神原弁護士は弁護側冒頭陳述で、被 害者が「脅迫」を了知していないと指摘、脅迫罪は既遂に達していないと主張した(つまり、 「脅迫」というのは相手がそれを聞いてはじめて怖がるはずなのであり、「脅迫」した時点でい なかったのであるから、「脅迫」は成立しないのではないかということ)。  

ところが、検察官は、朝7時頃、警察官がBさんにAさんの逮捕を告げた時点で、Bさんが「害 悪の告知」を了知したと主張し、訴因を変更した(起訴内容を一部変更したということ)。「犯 人を逮捕しました。御安心下さい。」などと告げる警察官の言葉で脅迫罪が成立する(!)とい う、実に不自然でいびつで非常識な訴因となった。しかも、訴因変更は起訴から1年経った 2007年10月29日)。神原弁護士の弁論は、主に、この非常識さを指摘するものとなった。

           2008年1月25日、裁判所は被告人(Aさん)に対し、無罪を言い渡した。判決の中で裁 判官は、「脅迫」とは未然の害悪の通知であることを要し、過去の加害行為の通知であるのみで は犯罪は成立しないと述べた上で、Aさんの行為(火のついた段ボールを店の前に置く行為)が 将来の加害行為の告知なのか、単に過去の行為の通告に止まるのか、明らかにされていないと述 べ、犯罪の証明が不十分であるとした。

 判決言い渡し後、裁判官は、「なお、付言する」として、検察官に対し、検面調書の作成を怠 ったことについて苦言を呈した。翌日の毎日新聞は、この裁判官の言葉を捉え、「被害者調書ず さん」というタイトルで、無罪判決を報道した。

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◆ ◎あまりにもお粗末な事件       (石川 利夫)

 6月22日、県政サポートセンターで、神原元弁護士が関わった、今年(2008年)1月に無罪と なったおかしな事件の話をうかがった。

 被害者とされた女性店主が「脅迫を受けたとは思っていないと」と言っており、被害者調書も 作らずに、検察官はなぜ起訴をしたのか分からない。また、「脅迫された」とされている女性が 「私は脅迫されたと思っていない」と言っているのに、10回も公判を行い、後になって刑事補 償金282万円なにがしを支払って終わった事件だが、「裁判員制度」施行が1年前にしては、 余りにもお粗末だ。

 まず、刑事補償金は、この程度なのが実態なんだろうか。加害者として被告にされた人の立場 で思うと、「気の毒だ」だけでは済まない。恐ろしい事件である。

 警察や検察のこんなやり方でやられると、本当にコワイ。少し前に、鹿児島県警の志布志の事 件があったし、富山県警の事件もあった。あの場合は、「無実」と県警も検事も知っていたらし い。無実の証拠を隠して、警察は起訴事件とした。そうしたことを思うと、この事件でもそのよ うな冤罪事件になりかねなかった。被害者の誰かが、警察側に有利な証言をしたとすれば、どう なっていただろうか。そう思うと、この事件も・・・、と慄然とする。

 1年後に始まる「裁判員制度」で扱うのは重大事件だということだから、この事件は懸からな いだろう。としても、日本の刑事裁判の危険な事態を見た思いであった。

 だから、取り調べの「可視化」が必要で、それは一部でなくて、全取り調べ過程の可視化が必 要になるわけだ。そうでなければ、警察の都合で取捨選択されかねないからだ。

 今、法務省や最高裁の効率化ばかりが強調されていて、「無辜の人を一人も罰してはならない」 という観点がみられない点に危機感をもつ。おまけに、相変わらず「冤罪」しきりであり、それ に法務大臣は、厳罰主義で臨んでいる。これでいいのだろうか。
 神原弁護士が指摘するように、警察・検察の能力が落ちているのではないだろうか。 

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◆ ◎もはや無関心ではいられない    (中村 攻)

各地で発生する冤罪事件や誤認逮捕、警察の怠慢による事件発生などのニュースを耳にした時は、 一般の人々も裁判や警察に注意と関心が向くが、日常的には特に関心をもたずに過している。し かし、来年から裁判員制度がしかれ、我々一般の人間もいやおうなしに裁判とかかわらざるをえ ない、ということになると、今までの様に無関心でいるわけにはいかない。神原先生の話を聞い ていっそうその思いを強くした。

酒に酔っていてダンボールに火をつけ、焚き火しようとした男性が、死刑か無期懲役に該当する 「現住建造物放火罪」で逮捕された。しかし審理が進む中で、罪名が「脅迫罪」に変わった。 ところが脅迫されたはずの「被害者」の女性は「脅迫を受けたと思っていない」と証言した。 となると犯罪そのものが存在しないということだ。

この件は最終的に無罪になったとはいえ、男性は10ヶ月にわたり拘留されたのだ。自分が住 む市内でこんなことが起きていたことに強い衝撃を受けた。 警察、検察などの権力機関を市民が監視することの大切さを学んだ。

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◆ ◎講演を聞いて思うこと    (星川 勝)

5月、「警察見張番」が開催した講演会に参加しました。案内のハガキにあった演題は「こう して無罪を勝ち取った」でしたので、どんな事件なのだろうと興味をもって出かけました。 最近、冤罪事件を耳にすることがしばしばありましたので、 尚更、関心が高まっていました。

 講師の神原弁護士さんは、冒頭で「些細な事件です」と始められ、国選弁護人として活動さ れた経過を、楽屋の裏話的なことまで含め、詳しく報告してくださいました。事件(?)が単 純なだけに現在の司法――この事例では警察と検察――の問題点が明瞭にわかりました。 ささやかな感想を述べて、お礼とさせていただきます。 

「 感想 」 1.世間では、「危険を感じて警察に相談に行っても親身になって聞いて貰えず、被害を受け てしまった」という報道もあります。他方、講演で報告されたこの事件の場合は、現行犯逮捕 ですが、「現住建物放火罪(最高死刑か、無期懲役とのこと)」ということで逮捕されました。 しかし、神原弁護士さんの活躍により、次々と警官の取り調べの杜撰さが明らかになります。

 訴因も「脅迫罪」に変更されますが、それすら被害者(警察により仕立て上げられた)である 飲み屋の女将さんから、「脅迫された」との訴えはなかったのです。被疑者はホームレスの生 活者でした。被疑者がホームレスの生活者であったことも、警察の対応の背景にあったので は・・・、と私は思いました。

2.私が更に「司法の危機」を感じたのは、この事件をめぐって検察の姿が全く見えないこと です。起訴した以上は、検察の正義が示されるはずですが、警察調書の不備を正すこともなく 公判に臨んでいることです。このような検察の有り様で、日本は法治国家と言えるのでしょう か。

3.ついでながら、被疑者が257日も拘留されたことに疑問があります。逃亡の恐れがあっ たからでしょうか?長期の勾留を認めた裁判所の判断も納得できません。この間の勾留費用、 ほぼ1年を費やし、計10回にわたる公判が行われた裁判費用、そして長期拘留に対して被疑 者に支払われた282万7千円の刑事補償費、そのすべてが私たちの税金であることに釈然と しませんでした。その間、国選弁護士として1年3ヶ月尽力された弁護士さんの報酬が約20 万円と漏れ聞くと、こちらは安すぎるのではと思い、釈然としない気持ちの連続でした。

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◆ ◎脅迫罪が無罪になった“顛末“      (近藤 栄子)

――人権を守った国選弁護士と、ずぼらな検察官の裁判物語――

     ☆公判法廷で、当事者・関係者による立証の大切さを知る

この事件では、神原弁護士が、選任弁護士となられた直後に被告人と接見し、起訴事実の確認 を行い公判廷に望んでいる。法廷で、被告人男性と被害者の女性店主の証言、更に現場の目撃 者2人の警察官の証言などからも、検察官の起訴理由が次々と崩れ、被告人が逮捕・勾留から 10ヶ月後に勾留取消となった。その後、検察側の訴因変更の請求がなされた。

講演を聞いていて、私が一番驚いたのは、検察官が被告人、被害者、事件関係者に接見、調査 もせずに、自らの想像で調書を作り、罪名をつけ無実の市民を10ヶ月も勾留したことだ。 人権無視も甚だしい。

それに比べ、居酒屋の女性店主が尋問された際、常連客である被告の男性に関して「脅迫され たことはない。彼は人柄も良い。恨みもない。一日も早い釈放を」と述べている。店主の心の 広さ、暖かさに、感動した。

 一方、この検察官は反省しているのだろうか。刑事補償が、被告とされた男性と弁護人に支 払われたことは当然だが、結果は起訴する必要もなかったのだから、国税のムダ遣いにもなっ たのではないか。

 この裁判で無罪を勝ち取った人権弁護士・神原元さんの人権感覚と行動に乾杯!!我々も、 すごく励まされました。

 もう一つ、公判廷裁判の大切なことは、私も今まで何回か裁判傍聴に関わってきたが、裁判 官の都合から、法廷は開かれず、ただ調書のみで済ませる傾向があったように思う。今回の裁 判の検察官のような態度や不正確な調書では、とても信頼できない。裁判長が一番信頼するの は、検察官の調書や警察の書類とも言われているからである。

一般市民も参加しての裁判員制度が来年度から施行される時でもあり、今回の神原元弁護士の 報告は、非常に学ぶものがあった。

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◆ ◎市民の目線で、反省、信頼される警察に       (木村 幸造)

放火未遂罪で逮捕され、通算257日も拘留された市民が無罪になった! 被害者は、未明の事件発生時には帰宅していて、後に警察署で放火未遂を知ることになる。

しかし、検察官は、公判だけで立証したいため、放火未遂罪は無理と考え、起訴の訴因変更を 「脅迫罪」に変えた。

 被害者の「脅迫されたと思っていない」の公判証言で、この市民は無罪となった。が、警 察官の不当な取調べと検察官の勝手な調書で、10ヶ月も拘置され、労働者ならとっくに職 場から首になっていた。

 弁護士の奮闘・努力で、幸い無罪を勝ち取ったが、有罪になっていたら、警察官・検察官 が市民の人格の尊厳を無視した行為は表に出なかった。

 志布志事件後、「被疑者の尊厳を著しく害する言動を禁じる」と警察庁は取調べ指針で述 べているが、文言で終わらないことを注視したい。

 市民生活の安全を願い、市民の目線で、市民に信頼される警察官の姿勢こそ、市民の協力 を得ることが出来る。それが警察官の不祥事をなくし、若い警察官たちに、やる気を起こさ せるのではないだろうか。

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◆ ◎警察見張番の例会に参加して、      (住吉 誠司)

 私は、初めてこの例会に参加しました。どんな人達の集まりかな、と思って会場へ入りま した。

最初の印象は、「意外と年配の人が多いなぁ」ということでした。そして、「もしかしたら僕が 一番若いかな」とも思いました。

その日の講演は、弁護士がいかにして無罪判決を勝ち取ったか、という体験に基づく話でし た。弁護士は、その顛末をやさしい言葉で、具体的に語ってくれましたので、とても解りや すくホッとしました。事案の内容は、他の方が書くと思いますので省略させていただき、事 案を聞いて感じたことのみを次に二つ述べさせていただきます。

@ 警察側で、被疑者は取調の際に、警察官により何らかの強要があり、調書を作成さ れサインさせられたのではないか? A検察側で、現住建造物放火罪で起訴しておきながら、裁判でうまくいかなくなり、訴因変 更する等して被告をなんらかの罪で有罪にしようとする行為が感じられた。

警察官は、重大事件の犯人逮捕や事件解決により、県警本部長賞をもらい、昇進するなどし、 時には、「でっちあげ」などすることもあると私は思います。今回の事案も、小さなことを 大きくさせたのでしょう。検察官も立場や面子などを気にして、引くに引けなくなり、墓穴 を掘った状態になってしまったのではないでしょうか?

最初から、不起訴に出来なかった理由が知りたいものです・・・・・・。  

 最後に、今回の事案に関係した警察及び検察官の減給処分など、何かあったのかどうか知 りたい限りです。

 

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◆ ◎検察官も警察官も同じ?      (矢島 慎豊 )

5月22日、警察見張番の定例会に於いて、神原弁護士の講演がありました。神原弁護士が 実際に担当した「脅迫罪」とされた事件について、担当弁護士としてどう関わり、どう闘っ たかという生の話でしたのでとても分かりやすく、自分の身の回りにも起こりそうな事件だ と思いました。

 まず、酔った男の人が、酔った勢いかで段ボールに火をつけたことが、行きつけの飲み屋 の女性を「脅迫した」ことに検察官がして起訴したという事件です。私は、検察官という職 業は、全ての事件に対してキチンと、細かく調査をしているのだと思っていましたので、こ の事件のいい加減さに驚くと同時に、私の中での検察官のイメージが壊れていきました。

検察官という職業は、常に事件の先端にいて、弁護士と対峙し、事件の悪行を追及していく、 という印象を持っていましたので、今回のような杜撰な状態で「起訴」をしたことに驚くと 同時に恐ろしいとさえ思いました。

 最近、警察官の「杜撰さ」が社会的に問題になって、新聞をにぎわしていますが、こんな 風に検察官もいい加減だということは、誰を信じていいか分からなくなります。そして世の 中がそれを当たり前だと思うようになったら・・・と怖くなります。

 私たちは、たいした力をもっていませんが、 変だなと思うことがあったら、みんなで声に出して、一緒に考えていきたいと思います。こ の警察見張番も、みんなが変だなと思うことを言い合えるそんな場所だと思っています。

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◆ ◎初めて参加して        (匿名希望)

                 「警察見張番だより」という会報を偶然読みました。警察を見張っている会があることを 知り、びっくりしました。警察を見張るのだから、どんなすごい人達なのか興味があり、 集まりに参加させてもらいました。

意外にみんな、おとなしそうな人ばかりで、それに割合年配の人が多いのにもビックリし ました。

お話を聞いていて、ちょっと警察が身近な感じがしました。
神奈川の人ばかりでないと係の人が言っていましたが、いいことだと思いました。

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● 編集後記
中国の四川省で起きた大地震(5/12)、そして日本の岩手・宮城内陸地震(6/14) 、秋葉原で起きた無差別殺人事件、次々と世界で日本で大きな事故や事件が起きています。 自然も人間も狂ってしまったような状態です。

また、世界のあちこちで起きている残虐な事件、理不尽な殺戮などもテレビを通して居なが らにして知ることが出来る昨今です。地球規模で人間の傲慢さが問われているのだと思えて なりません。

私たちは便利さに慣れ、市場経済論理に振り回され、人として「生きる」という哲学を見失 っているとしか思えない状況にいます。教育に関わる責任ある人々までもが、「金」まみれ になっていることは、実に悲しい。

6月22日、神原弁護士に講演をしていただきました。当日、他の集会と重なって参加出来 なかった方々のためにも、参加者の皆さまにその感想をそれぞれ書いていただきました。 昨今の自己中心的社会の中にあって、こんなにマジメな人々がいるんだ、ということに皆 さまもホッとなさることでしょう。

私たちは、地道にコツコツと世直しのために汗をかいて参りましょう。

(生田典子)


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