警察見張番だより 第31号
(2009.10.05.)

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***31号 もくじ***

● 仙波さんの事件を考える            ・・・・・・・・・・・岡本 呻也 健

● 「群馬県警」の不正経理(裏金)について       ・・・・・・・・・大河原宗平

● 仙波さんの講演を聞いて

その(1)・・・・・・投稿者(A)

その(2)・・・・・・投稿者(B)

●2009夏休み日記                  ・・・・・・・・・・杉山寅次郎

● 警察問題に関する5つの提言            ・・・・・・・・・・原田 宏二

● 裁判員裁判への提言                 ・・・・・・・・・赤倉 昭男

●編集後記                         ・・・・・・・・・・生田典子


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 ● 仙波さんの事件を考える

(ジャーナリスト 岡本呻也)

 「仙波さんを支える会のインターネット上の掲示板を作ろう」と思い立ったのは、今年の5月、テレビ 朝日で仙波さんを取り上げた「ドキュメント宣言」が放送された後だった。もっと早く思いつけばよか った。

 生田さんに、「掲示板を作ったのでよろしく」とご連絡すると、「私はご勘弁」とのお返事。「掲示 板なんて、難しい話ではないのになぜだろう?」と不思議に思っていた私は、実際に運営を初めてすぐ、 生田さんがとても正しかったことを思い知ることになる。

 掲示板への書き込みは、いくつかに類型化することができる。一番迷惑なのは、掲示板を「困ってい る自分の事情を解決してくれる駆け込み寺だ」と勝手に思い込み、それがかなえられないと知ると、と たんに攻撃的になってしまうタイプの人だ。あまりに独善的で、他の人への攻撃書き込みばかりする人 を出入り禁止処分にしたら、その日から管理人である私宛に「卑怯者死ね死ね死ね」 と脅迫メールがどんどん届くようになった。果ては、「お前が私を無視するので、これから大量殺人を 行う。お前が私を大量殺人鬼にした」と、こうである。

 とんでもない「かまってちゃん」だ。結局この人については、他の参加者が警察に通報することにな ったが、警察としてもとんだ迷惑だったろう。

 その他の書き込みとしては、まず仙波さんたちの闘いを讃え共感する書き込み。警察OBを含めて自 分が知っている警察の不正や不適正な姿勢について怒りをあらわにし、指弾する書き込みなどが多く寄 せられている。自分の身の回りで起こった警察の不正や横暴により被害を被った実例を書き込む人も多 く、「こんなに警察に悩まされている人がたくさんいるのか」と改めて驚かされた。

 しばらくたって何人か固定的に書き込むメンバーが出てきて、次々に書き込みが始まったのが、警察 や司法を改善するための制度的な改革案である。これについては、現場を知っている人による書き込み もあり、警察を正常化するために非常に鋭いポイントをついていると思われるので、主要なものを整理 して以下にご紹介したい。

  • 警察組織改革(警察庁支配の廃止、市町村単位/都道府県単位の小さい組織に警察を分ける、機動隊を 都道府県警察から分離)
  • 都道府県警察本部長、署長等の選挙による選任・罷免制度
  • 警察利権の排除(パチンコ換金所の撤廃、風営業務、猟銃許可等行政業務、物品調達など)
  • 公安委員会を廃止。代わって、第三者による監視・監察組織を設立
  • キャリア・幹部への刑事責任を直接追求可にする
  • 警察による犯罪、上層部の管理者責任、警察による偽証罪の自動的刑罰化
  • 国賠請求訴訟は、陪審員制にする
  • 警察官の採用・昇進試験の第三者監視
  • 内部告発者の保護・擁護制度改革
  • 警察官に団結権を認める
  • 取調べの可視化、代用監獄の廃止、弁護士の接見交通権侵害時の刑罰・厳罰化、調書の改竄防止、保 釈が認められた後の検察による準抗告制限

 政権も交代したことであるし、与党議員に警察正常化の必要性を理解してもらって、こうした制度改 革を通して警察関係者全体の意識を変革していくように働きかけるのが、有効な警察正常化の道ではな いか。

 私のような、元々マスメディアにいた人間からすると、警察の改革に関心のある人や、冤罪事件を支 援している人たちは、ばらばらに存在していて日常的なつながりがやや希薄なように思われる。団結し つながることは大切だ。

 19世紀末にあったドレフュス事件の顰みにならいたい。フランスの陸軍内部でドイツに内通したとし てドレフュス大尉が逮捕された。しかしこれは冤罪であり、陸軍内部では冤罪の隠蔽と幹部の保身のた めに多くの工作が行われた。この構造は、日本の警察や行政が行っている不正と、それを隠そうとする 体質にぴったり当てはまると思う。

 しかし日本とフランスがまったく違ったのは、エミール・ゾラのような文豪が新聞紙面で陸軍に噛み つき、世論が喚起されて、単なる冤罪事件が自由と民主主義を巡る国論二分の思想闘争に昇華されたこ とだ。結果、ドレフュスは無罪を勝ち取るのだが、肝心なことは事件の当事者だけが闘うのでなくて、 闘いの本質をうまく抽出し、外野がその闘いに意味のある参加をするように誘導することだと思う。

 インターネットは、簡便でコストが安く、多くの人をうまく繋げられるネットワークである。これを 武器にして、もっともっと多くの人に的確に「このような社会的な問題があり、その本質は何なのか」 を広く知らせれば、一緒に闘ってくれる人や、味方になってくれる人を増やせるし、問題を外部化して 社会的に認知させる第一歩になるのではないのだろうか。わたし自身は、掲示板管理人の仕事を杉山寅 次郎さんに譲ったが、この掲示板がそのような機能を果たしてくれたらうれしいと思っている。 


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● 「群馬県警」の不正経理(裏金)について

大河原宗平

〜〜〜〜〜 その@ 〜〜〜〜〜

 群馬県警交通指導課の警部補であった私・大河原宗平は、1996(平成8年)年5月5日に 高崎警察署管内で行われた暴走族の集団暴走行為の捜査のため同じ交通指導課員2名(A警部補 と、T巡査部長(階級はいずれも当時))とともに高崎警察署に応援派遣を命じられていました。

 この捜査が大詰めを向かえた同年11月ころ、交通指導課へ帰ってくると会計担当の女性職員 (S係長)から、警察の捜査に情報を提供してくれた協力者に5000円から20000円の範囲の現金 でお礼をしたことにする「捜査情報提供謝礼支払い名目」の書類を約10枚書かされました。 このとき私は、ここに書いた人の住所も名前も全く知らない人だったので「今後、命令される 捜査でこの人のところへ現金の謝礼を持って聞き込み捜査に行くのかな?」と思い、その時は 指示されるままにこの書類を書いてS係長に提出しました。

 ところがこの現金も受け取らず、また捜査の命令も無いのに、また10日後くらいに同様なこ とがありました。私は、「この前書いた分の現金も預かっていないのにまた同じ書類を書かされ る。これはおかしい」と思いながらも、書類の書き込み作業を行いました。

 S係長に提出する段階で「この前書いた分の現金を見たことも預かったこともない。まして、 ここに名前を書いた人は全く知らない。この書類はおかしい(虚偽書類)のではないか?」と抗 議しました。

 その時、部屋にはH課長とS次席がいましたので、この2名の管理職に聞こえるように抗議し たつもりでしたが、この2名は聞こえない振りで何の説明もせず、抗議されて困ったS係長が 「ま〜いいから、いいから」とお茶を濁してしまい、私大河原以外の2名は何の抗議もせず、そ の書類を提出してしまったので、私も嫌々でしたがこのニセ書類を提出してしまいました。

         その後はそういう書類を書かされることはありませんでしたが、やってきたのは4ヵ月後の左 遷人事でした。県警本部交通指導課から単身赴任で交番(藤岡警察署 吉井町交番)勤務を命じ られました。

 吉井町から県警本部や前橋方面へ通勤している警察官も居るのですから、その逆に前橋から吉 井町への通勤が認められない筈がないのは常識的な考え方だと思います。しかし、私の場合は、 「交番裏に官舎があるからどうしてもここに転居せよ」との命令をされたのです。

当時、私は「子供たちの転校がないように」と考えて5年前に中古住宅を買って前橋市に居住し ていましたので、家族で転居することに無理がありました。そこで自宅からの通勤を申し出まし たが認められず、「単身でも転居せよ」と、嫌がらせとしか考えられない人事でした。

 これが「警察の裏金(不正経理)」を私が問題提起したきっかけとなる事件です。

〜〜〜〜〜 そのA 〜〜〜〜〜

  <懲戒免職取消訴訟>

群馬県警の不正経理(裏金作り)に抗議して、左遷人事を受けると同時に、有りもしない数々の 非違行為をでっち上げられて群馬県警を懲戒免職にされた大河原宗平を群馬県警に復職させる裁 判(懲戒免職取消訴訟)の口頭弁論が7月31日(金曜日)午後1時10分から、群馬県の前橋 地方裁判所21号法廷でありました。

この裁判には、本年3月愛媛県警を定年退職をした仙波敏郎さんが駆けつけて、裁判所隣の群馬 弁護士会館で大河原裁判応援の講演をしてくれました。 申すまでもなく仙波さんは、愛媛県警の現職警察官でありながら警察における裏金の存在を実名 ・顔出しで「内部告発記者会見」した方です。 仙波さんの退職記念祝賀会には神奈川県「警察見張番」の皆様にも大勢駆けつけていただいたこ とは既に紹介されているとおりです。そういう意味でも仙波さんのことは神奈川県においてもお 馴染みの元警察官であります。

<仙波さんの講演会を宣伝カーで事前に広報>

この大河原裁判と仙波さんの講演会には、一週間前から群馬県内を一巡する宣伝カーの応援があ りました。この応援者は、富山県でオンブズマンの理事を務める松永定夫さん(「謝れない県警」 桂書房の著者)です。松永さんは富山県から自分の宣伝カーを持ち込んで一週間、群馬県に泊り 込んで広報活動をしてくれました。その成果は多大で「宣伝カーで講演会を知った」と当日講演 会に駆けつけてくれた方も大勢おり、警察の裏金問題に対する県民の関心の高さを改めて知ると 共に、広報活動の重要性を認識しました。松永さんからは「今後も大河原裁判開廷前に一週間ほ どの宣伝活動を継続する」と心強い応援をいただいています。

<大河原裁判に大勢の傍聴者・・・>

大河原裁判には傍聴席に入り込めないほどの約60人の支援者が裁判所に詰めかけてくれました。 この支援者は群馬県内に限らず関東一円からきてくれました。神奈川「警察警見張番」の生田典子 さんも応援に駆けつけてくれました。生田さんは翌日、ご自分の神奈川「警察見張番」の例会があ る多忙の中で参加してくれました。生田さんには感謝の気持ちで一杯です。生田さんお忙しい中、 本当にありがとうございました。

裁判所は傍聴券発行が間に合わなかったのか、整理員を出して整理してくれました。また、入りき れなかった応援者の方々は、法廷前の廊下で裁判の経過を見守ってくれました。

<仙波さんの講演に大勢の聴衆が感激>

仙波さんの講演に先立って、大河原裁判の弁護団から裁判経過の説明・報告がありました。 その後、「日本警察の浄化をめざして」というテーマで仙波敏郎さんの講演が始まりました。この 講演会には、部屋のキャパシティを超える人々が集まり(大河原裁判を見守った方々の他に100 人を超える聴衆)、椅子席が足りず後ろで立って聞いている方も沢山出るほどの盛況でした。さら に、仙波さんの講演に涙を流す聴衆もいて、参加者の心を揺さぶった仙波さんに私も感銘を受けま した。

<まだまだ続く大河原裁判への仙波さんの応援>

この日の大河原裁判は、次回・次々回に行う予定の証人尋問を誰にするか申請する大切な裁判でし た。その結果、次回期日(10月2日・金曜日10: 30〜15:00)には、原告本人である大河原と被告の県警側が共に申請しました。 原告本人の大河原と、公務執行妨害をでっち上げて怪我をしたと全くウソの主張をしている群馬県 警の現職警視伊藤孝順(いとうたかよりと読むそうです)の二人が採用されました。次回期日はこ の2人の証人尋問が行われます。

また、次々回期日(11月13日・金曜日)には、大河原側が申請している当時の県警本部長、警部部 長、高崎警察署長など県警の元幹部面々や、公務執行妨害がウソだと知りながら大河原を勾留請求 しその結果を不起訴(起訴猶予だそうです)にした関係検察官2名などが証人採用される見込みで す。裁判所も丸々一日(10:30〜17:00まで)を期日に入れました。大河原をでっち上げの公務執 行妨害罪で現行犯逮捕し勾留した上、出鱈目のマスコミ発表をしたことなどが暴かれる重要な裁判 です。

仙波さんは、「大河原さんの裁判を支えてくれている皆さんに警察の先輩としてお礼を言いに来た。 大河原さんが復職しなかったら日本の警察に明日はありません」と大河原に対する心強い応援のメ ッセージを発信してくれています。仙波さんは大河原の裁判を引続き応援するとも言ってくれてい ます。皆様にも前回同様、大河原裁判に大勢の応援をお願いいたします。

<大河原宗平を支える会の発足?>

仙波さんの講演が行われた後、会場内から支援者などの意見発表も有り、有志から「大河原さんを 支える会を発足させよう」との意見が出され、満場一致で採用されました。これを受けて、現在、 会則や役員についての話合いが始まりました。また、会場内から「応援のホームページを作る」と の支援もあり、その後「群馬県警の裏金問題を究明する大河原宗平さんを支える会(略称「大河原 宗平さんを支える会」)」のホームページも立ち上げていただきました。このページは仙波さんを 支える会のホームページから入れるようになっています。多くの皆様に「大河原を支える会」に加 盟していただくと共にホームページにもアクセスしていただきたいと思います。

<おわりに>

この度の大河原裁判には、愛媛県から仙波さんに応援に駆けつけていただくと共に神奈川県「警察 見張番」からも生田さんに応援に参加していただき、改めて御礼申し上げると共に神奈川県「警察 見張番」の益々のご活躍を祈念申し上げます。仙波さんも愛媛県警を退職と同時に、神奈川県「警 察見張番」を見習って「警察見張番愛媛・代表」を名乗りました。群馬県における今回の講演会で も「群馬でも警察見張番を立ち上げましょう」との呼びかけがありました。「警察見張番」は全国 共通の「合言葉」となりつつあります。神奈川県「警察見張番」の活動がますます活発化すること が、日本警察の浄化に繋がる大きな力になります。どうか末永い活動が行われますことを祈念申し 上げます。今後ともご指導ご鞭撻をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

以上


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 ● 仙波さんの講演を聞いて

〜〜〜〜〜〜〜〜 その(1) 〜〜〜〜〜〜〜〜

投稿者Aさん

『現職警察官「裏金」内部告発』を読んでいましたので、たった一人でも、巨大な警察組織に 「是は是、非は非」と言えた人がいたのだなあ、と感心していました。なかなかできることで はありません。内容を読んで、その直接的な報復人事の、異動になった場所の激しさに、地図 をたどりながら、びっくりするばかりでした。

 その仙波敏郎さんが、大河原宗平さんの支援に前橋に来られること、前橋地方裁判所の傍聴 席に姿が見えた時、「あぁ、あのテレビの人だ」と思いました。

 そして、仙波さんは弁護士会館で、大河原宗平さん復職支援の講演をなさったわけですが、 「数々の冤罪をはらす要請がこんなにもたくさん来ていますが、私のまず第一の使命は、大河 原さんの復職です。」と言ったことが、いちばん印象に残っています。実は、その言葉が  じ〜んと胸に残り、あとの講演の内容は、ほとんど憶えていないくらいです。

 さいわい「日本インターネット新聞」に、講演内容のほとんどが記事になっていました。 読み返しますと、そうそう、そうだったと思うのですが、私にとっては、あの日、弁護士会館 のホールが溢れるほどに、大河原宗平さんを支援する人々が来て、その方々が、仙波敏郎さん と志を同じくしていることに、熱く、そして力強いものを感じていました。

 仙波敏郎さんが、数々の嫌がらせを受けながらも その「天職を全うできた陰に大河原さん の不当な解雇があった」から、というふうに、お話なさったように憶えております。

会場に、中学の1年後輩であった鈴木庸さんが、オンブズマンをやっていて、席を譲ってくだ さり、優しい人は、どこまでも優しく、しなやかで そして強い。ここにいる大勢の大河原宗 平さんを支援する人たちは、仙波敏郎さんのように、清らかなものを持っていて、同じ波動で 大河原宗平さんを支援する姿勢を、講演に参加することで表しているんだ、と深く思いまし た。

時に、苦いユーモアを挟みながらも面白くてためになった講演でしたが、大河原宗平さんの復 職を願う仙波敏郎さんの氣持ちが いちばん心に沁み入りました。 

〜〜〜〜〜〜〜〜 その(2) 〜〜〜〜〜〜〜〜

<フレーフレー大河原さん>

投稿者Bさん

私は、平成14年当時、伊勢崎警察署交通課の警察官であった大河原宗平さんを鮮明に記憶し ています。 その当時、失業者対策として民間の方々を「駐車違反の監視員」として交通監視のパトロール 隊に期間限定で採用する制度が導入され、伊勢崎交通安全協会管内にも10数名が配置されま した。

 この方々の活動は伊勢崎警察署の指示を受けて活 動するものであり、この方々 の指導員が大河原さんであったのです。この方々の活動拠点は私が勤務する伊勢崎警察署隣の 交通安全協会2階会議室であったことから、大河原さんが時々警察署から交通安全協会の会議 室に見えており、その際には必ず交通安全協会の事務室に挨拶に見えておりました。

礼儀正しく、颯爽と、かっこよく、パトロール隊の方々からも多大な信頼を受けておりました。 その理由は、パトロール隊の活動範囲には暴力団に関係が深い地域も含まれており、素人の民間人だ けではその職務に重大な圧力があり恐怖におののいており、パトロール隊の方々の安全確保の ために大河原さんが1人で対応しサポートをしておりました。

民間パトロール隊の方々の活動は夜間にも及ぶため大河原さんは勤務時間外でもこの方々が安 全に活動できるようにパトロールに同行して指導員として大変信頼を受けておりました。とて も頼もしい警察官だと感じておりました。

また、その当時、自動車の車庫証明を担当していたために、伊勢崎警察署内の交通課窓口に派 遣されていた交通安全協会の職員からも「今度交通課に転勤してきた大河原という係長は正義 感が強く、行動力があって署内の環境整備なども率先して行っている。禁煙運動もやってくれ てタバコ臭さの問題も解決してくれて本当に助かっている」と聞いていました。

 ところが、私はつい最近まで、その立派な警察官であった大河原さんは「不倫が原因で警察 を追われた」と認識していたのでした。真実を知らなかったとは言え、大河原さんには本当に 失礼な話で、今でも申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 私と同様、多くの群馬県民は、警察の事情を知らずにいます。大河原さんの事件は、広く県 民の皆さんに知っていただき、県民の総意で大河原さんに県警に復職してもらうべきだと考え ます。 もっと早くから、県民にむけて運動を進めていくことができていたら、と考えると少 し残念です。

私は大河原さんの事件について、正しく理解しはじめた昨年、「街宣や署名活動などで、どん どん運動を広めていくのが、警察が嫌がる闘い方だと思う」と、大河原さんにお伝えしたこと がありました。今回の仙波さん来県の街宣車に、私は2度、遭遇しましたが、県民には反響があ ったと思うのです。車中の大河原さん、松永さんも手応えを感じたのではないでしょうか。

仙波さんをはじめ、警察見張り番の方たちに支援をお願いして、もっともっと多くの人に真実を 伝えて、県内にも見張り番として大河原さんを支援する会を組織していくことが大事だと思い ます。もちろん、私もできる限りの協力はさせていただきたいと思っています。

大河原さんには、仙波さんの場合の東さんのような立場の方がいないのが少し気の毒な気がし ます。でも、大河原さんには仙波さんがいらっしゃいます。仙波さんにはこれからもどんどん 群馬においでいただき、大河原さんの応援をお願いしたいと思います。大河原さんがあの強大 な組織に立ち向かっていくには、仙波さん達の強力なサポートが必要不可欠だと思うのです。

 31日の仙波さんの講演はたいへん興味深く、話に聞き入ってしまいました。魅力のあるお人 柄で、話術も巧みで聞いている人をまったく飽きさせず素晴らしい講演でした。何度でもお話 を伺いたくなります。群馬での大河原さんの応援のための第2回講演も計画しては、いかがでし ょうか?もっと多くの人に聞いていただきたいお話ばかりでしたから。

以上


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●2009夏休み日記

(杉山寅次郎)

  7月21日(水)霞ヶ関の裁判所合同庁舎、東京第3検察審査会。いわゆる「西松建設事件」の自民党 サイド。その審査会議に出席!ウソのようなホントの話♪

審査会の議決は「不起訴不当」。その意味は「捜査が尽くされているとは到底言えないとの印象が 強い。強い政治不信がみられるという政治状況を踏まえると、さらに踏み込んだ捜査が期待される」 (産経新聞7/22)ということ。

「皆さんの口コミだけが頼りです。ぜひ、『検察審査会』のことを宣伝してください。ただし会議 の内容は絶対秘密ですよ!」と事務局スタッフ。 ・・・よく言うよ。

アクロバット的バランス感覚が要求されるこの依頼。とある女性審査員はこう述べた。「王様の耳 はロバの耳…と繰り返し言ってます。こういう場があったんだってみんなに知らせてあげたい思い でいっぱい♪」・・・全く同感!

では、ということで、私にとっては至福のひとときだったとだけ言っておこう。特捜検事にイヤミ を言い放てる機会なんてそうそうあるもんじゃない。「『巨悪を剔抉し、悪い奴を眠らせず、被害 者とともに泣く特捜検察』だったハズ、じゃないんですかぁ〜?(中略・後略♪)」

職場で、耐えがたきを耐え、忍び難きを忍んでいると、時々プレゼントを神様・仏様・アラー様が くださるもんなんだな〜、ありがたいことだ、とだけ日記には書いておこう♪

7月29日(水)職場での会話。

先輩:「寅次郎さん、31日夏休みですね?みんなの休みが集中してるんで、他の日に、できたら振 り替えてもらえないかなぁ…」

寅次郎:「え〜と31日ですか?…あ、すみませ〜ん、 その日、ダメなんですよ〜。ちょっと、 ボランティアがありまして…」

先輩:「ボランティア、ですか?何のボランティアなんですか〜♪」 寅次郎:「『日本最大の暴力団』を相手に処分の取消を求めてる、組織犯罪対策の裁判を起こして る人の応援ボランティアなんですよ〜♪」

先輩:「なんですか、それ〜???」

大河原さんも、これには驚いたと言う。でも、ウソでもマチガイでもないハズ。えへへ♪

7月30日(木)午後7時まえ、高崎駅西口。宣伝カーの、スピーカーからウグイス嬢の声が聞こ える。「愛媛県警の…」ここは高崎のハズ。何ゆえ「愛媛県警」なのか?

 ナゾが解けた。市民オンブズ富山の松永定夫さんが自前の広報車を準備。富山から、大河原さん の応援のため街宣活動に来ていたのだ。

午後7時、某ホテル1階の居酒屋。大河原さんを囲む飲み会。「交通安全協会」で解雇取消を勝ち取 った方ら、多くの大河原さん応援団で盛り上がる。女将さんが、「テレビで見ました♪」と言い、 元愛媛県警の仙波さんを激励。

※群馬県警元警部補の大河原宗平さんは、懲戒免職の取消を求め裁判所に提訴している。大河原さ んは、「警察の裏ガネ」をテレビ朝日『ザ・スクープ』に告発。その後、群馬県警による「転び公 妨」によりでっち上げ逮捕され、冤罪被害を蒙っている。「大河原さんの逮捕がなければ、自分が やられていただろう」とは仙波さんの弁。

7月31日(金) 午後1時 大河原事件「懲戒免職取消訴訟」の口頭弁論。前橋地裁21号法廷は、 大入り満員。入りきれない傍聴人が廊下にあふれた。裁判所には不測の事態。記者席の準備もして いなかった。既に着席していた一般傍聴人を“どけて”記者席を確保するはめに。どかされたご夫 婦は、「そのかわり、ちゃんと報道してくださいよ♪」と快く応じていた。大人の対応ぶりか♪

午後2時 群馬弁護士会館で報告集会。仙波さんのゲスト講演「日本警察の浄化を目指して」は圧巻 だった。より磨きのかかったカリスマ的講演。会場は爆笑と拍手の渦!感激の大河原さん、思わず 涙がチョチョギレル。さらなる共鳴共感、会場は興奮のるつぼ。

ウソでない証拠に、「仙波さんを 支える会・掲示板」管理人の岡本さんともどもボクは、3時間ぶっ続けの立ち見。なのに疲れをこ のとき全然感じなかった。その私たちの後ろでカメラをまわす人あり。大河原さんのHP作成を買 って出てくれた記者氏。「これはなんとかしないと…」と思ったとのこと。皆さん、「大河原さん を支える会」で検索を。

集会の最後、この4月「警察見張番・愛媛」を、暖簾わけしてもらい立ち上げたという仙波さん。 元祖「警察見張番・神奈川」の生田典子さんを紹介。生田さん、大いに照れる♪司会から「警察見 張番・群馬」の立ち上げが呼びかけられると、喝采で承認。

8月1日(土) 生田典子さん司会進行で「神奈川警察見張番」の総会。「ドキュメンタリ宣言」仙 波さんの特集の上映。僕はこれで10回はみていることになりそうだ♪ 映画『ポチの告白』(高橋玄/監督、寺澤有/原案)は、ついつい5回みた。『ポチの告白』「さら ば警察」が、ぐるぐる渦巻く。

地域課の交番巡査から「組織犯罪対策課」のデカに抜擢され、日日 勇躍のタケハチ。その姿が仙波さんに重なる。仙波さん若かりし頃、「警備公安」「暴力団対策課」 から誘いがあったという。もしも、「良心の人」原田宏二さんのような上司が仙波さんの周りにい たとして、百万が一まちがって、仙波さんが「サイン」しちゃっていたとしたら…。

そうなっていたら、仙波さんはタケハチのように勇躍。犯罪摘発に疾駆し、出世街道を驀進してい ただろう。しかし、そうなっていたとしたら、僕たちは、今日仙波さんとお会いすることはなかっ たに違いない。

続く報告集会。今回は、市民オンブズ仙台のN弁護士。宮城県警への捜査費関連書類の開示請求に 関する画期的な最高裁判例を判り易く解説してくれた。驚いたことに、N弁護士、北陵クリニック 事件で弁護団長阿部泰雄弁護士が訴えられている名誉毀損訴訟の弁護団に入っている、とのこと。 N弁護士とは後述、岡山大学でも行き会うことになる。

8月 7日(金) 高松高裁、仙波さんの「警乗手当&ウィニー住民訴訟」弁論。去年9月30日「国賠勝訴 判決」から10ヶ月、つい最近のような気もすれば、もっともっと昔だったようにも思える不思議。 ??? 弁論は、今後の進行について、原告仙波・被告愛媛県警側の意見を裁判長が確認。「弁論準備手続 き」という非公開の日程が9月15日に。訴訟の中身を云々するのではない。あくまで民事訴訟法など、 法律上の見地から、請求の趣旨を確定させるため、と40歳にもなっていなさそうな若い右陪席裁判 官が力んでいた。印象的。

それにしても、県警が妨害している警察官4人の証人尋問を行わず、仙波側の立証は不十分、と切り 捨てた一審裁判所。絶対「審理不尽」のハズ。にもかかわらず、まかり通っちゃうこの不思議。刑 事裁判のみならず民事裁判も参っちゃいますね。民事・行政事件にこそ「裁判員制度」を導入すべ きだったのでは…。

8月19日(水)富山地裁。「富山冤罪国賠」の第1回弁論。「富山『誤認』逮捕事件」と新聞には出 ている、その国賠訴訟。浅野健一同志社大学教授に導かれ、抽選締め切り間際に駆け込んだが、あ えなく落選。仙波さんの裁判ではハズレたことはないのだが…。

日ごろ検察官はこう言っている。 「われわれは法律家なので、何でもかんでも起訴するわけではない。法律と証拠に照らして客観的 に判断し、有罪ならば起訴。無罪ならば不起訴。裁判所が有罪判決にするかどうかわからない五分 五分の場合は起訴することはない」と。

では、富山事件ではどうだったか。新聞は「誤認」逮捕という。「誤り=過失」をこえ、「故意= でっち上げ」による逮捕起訴だったのではないかと強く疑われる。真犯人が現れ、柳原さんの再審 無罪が確定しているこの状況下、逮捕または起訴の時点の判断材料としてどんな証拠があったとい うのだろうか。柳原さんを犯人と疑う証拠がどれだけあったと言えるのか。興味津々。

「なぜ私が犯人と決めつけられたのか。本当のことを知りたい」と柳原さんは法廷で訴えたという。 今後、捜査状況に関し、どこまで捜査資料の提出がなされるのか、裁判所の訴訟指揮が注目される。

午後、弁護士会館内で記者会見。その時、浅野健一同志社大学教授が周囲の記者たちに迫るひとコマ。 「被告の警察官、副検事2名についてなぜ『実名』で出さないのか?」もっとも、同氏は知ってて 質問したに違いない(笑)。記者と警察との関係は、映画『ポチの告白』のとおり♪ 夕方、富山大学構内のレストラン。柳原さんの「『ごめん』で済むなら警察はいらない」(桂書房) の出版記念パーティー。

その後の2次会、支援会のみんなとカラオケの柳原さん。リラックス。それにしても柳原さん、聞か せてくれるなぁ〜♪その1曲目がこれ。「手紙/拝啓 十五の君へ」(アンジェラ・アキ)。これは 去年のNHK中学校合唱コンクール課題曲。中高生に熱く支持されている。だが、ボクにはこう聞こえ るのだ。「手紙/拝啓 警察官の君へ」(省略版)警官の僕には誰にも話せない悩みの種があるので す…(笑)

今負けそうで書きそうで書いてしまいそうな僕は だれの言葉を信じ歩けばいいの…

拝啓ありがとう警官のあなたに伝えたいことがあるのです。 自分とは何でどこへ向かうべきか問い続ければ見えてくる

荒れた警察の海は厳しいけれど明日の岸辺へと夢の船よ進め ああ負けないで書かないで書いてしまいそうなときは 自分の声を信じ歩けばいいの

いつの時代も裏金を避けては通れないけれど 笑顔をみせて今を生きて行こう 拝啓この手紙読んでいる警官が幸せなことを願います…。

柳原さんに歌ってもらえるだろうか?「冤罪の裏に警察裏ガネあり」(寅次郎迷言集より)標榜する 私としては、ぜひ歌っていただきたいのだが…。

 (なかなか楽しい曲です。是非みなさんも。編集者)

8月22(土)〜23日(日)埼玉県の秩父山中、山岳アジト(笑)。国賠ネットワーク交流集会夏季合 宿。報告担当の方にお任せします。

8月29日(土) 岡山大学、「全国市民オンブズマン岡山大会」目当ては、元警視庁巡査部長の黒木昭雄 氏。だが、意外なゲストスピーカー登場。元鳥取県知事の片山善博氏。「反対者がいない会議。他に 思い当たりませんか?…。答えは、『裁判員』ですよ」と!その見識に拍手。さらに「地方財政の窮 乏を招いた責任は誰にあると思うか?…。議会ですよ。地方議会。地方議会議員が皆賛成したんです から。予算支出に」「これからの地方議員は、税金を議論できなきゃダメです」とも。わが意を得た り。「課税体系はいかにあるべきか〜冤罪撲滅を目指して/警察裏ガネと冤罪勃発頻度との関連から 考える(仮案)」寅次郎今後10年の課題。

オンブズ懇親会。仙波さんと大河原さん、専ら本の販売やサイン書きで忙しい。ずっと会場外の受付。 元北海道警原田宏二さんも、御用で中座。ほんのちょっぴりしかお話を伺うことできず。 もっとも、そのかわり(笑)、女性地方議会議員の面々に、我は「某区市町村役所(役場)」が職場 であることを挨拶で。「あ、そこならSさんのところよね〜♪」と。無所属会派ネットワークにびっく り。地元女性議員の名が飛び出たのには驚き。

目当ての分科会、「情報公開上級編」の前半、仙波さんが講演(約20分超)、後半、残り約1時間半、 清水勉弁護士が進行役で黒木昭雄さん、原田宏二さん、仙波さんがパネラー。それぞれ各氏が、裏金 「これほどまでに警察は腐っていたのか、ダメになっていたのか…。この10年、自分は甘かった…」 と激白。「徹底的に追及していく」宣言。その迫力に感銘し思わず拍手。

なお、黒木さんも、仙波さんの告発直後に仙波さんに激励のご連絡をされた、とか。告発警察官同士 の連帯。ますます応援したい♪

仙波さんの本、『報道されない警察とマスコミの腐敗/映画ポチの告白が暴いたもの』、仙波さんと 清水弁護士の激励メッセージつきサインをもらう。帰京後、北陵クリニック事件で服役中の守大助さ んにお贈りした。果たして届くのか?

 (国賠ネット通信と重複する部分あり。編集子)


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● 警察問題に関する5つの提言

市民の目フォーラム
北海道代表 原田宏二

  1.  警察の地方分権化の推進
    民主党は、中央集権制度を抜本的に改め、地域主権国家を樹立するとしている。 現行警察法では、都道府県警察を建前としながら、我が国の警察は警察庁を頂点とする中央集権的な 国家警察となっている。

    警察法のうえでは、都道府県警察本部長等の任免権は国家公安委員会にあるとされるが、警察庁は、 事実上都道府県警察本部長のほか都道府県警察の主要幹部ポストにキャリア官僚を独占的に配置し、 都道府県警察の警視正以上の主要幹部(地方警務官)の人事も掌握している。

    また、警察庁は国の公安にかかる犯罪等の予算を都道府県警察に配分することにより、警察法第5条 第2項の権限を越えて、事件・事故の捜査等、都道府県警察の運営に介入している。

    警察庁は、国家公安委員会を事実上支配し、都道府県警察を直接指揮監督することにより、都道府県 公安委員会の存在を事実上形骸化すると共に、都道府県警察の硬直化と士気の低下を招いている。

    警察は、あまねく全国に警察署があり駐在所・交番があり、現場官庁の最たるものである。地域住民 の安全を守るためには、その地域の実情に見合った治安維持対策が必要である。

    警察庁と都道府県警察の役割分担を再確認するとともに、国家公安委員会(警察庁)の人事権の運用 を見直し、都道府県警察の活性化を図るべきである。

  2.  公安委員会制度の改革
    国家公安委員会及び都道府県公安委員会の機能は、有名無実化している。管理するべき警察庁と都道 府県警察の事実上の支配下に置かれ形骸化している。
    そのために、警察の民主的運営が阻害される結果を招いている。 そこで、次の点に関して警察法を改正し、警察に対するシビリアンコントロールを強化する必要があ る。

    • @公安委員の選任に関する警察の関与を排除し、公選制あるいは議会の公聴制度の導入などに より、その選任の透明化を図る(警察法第39条関係)。
    • A 警察から独立した公安委員会事務局を設ける(警察法44条関係)。
    • B 監察の指示等(警察法第43条の2)、警察職員の法令違反等の報告(警察法第56条第3 項)をさらに強化し、警察施設への立入調査権、書類の閲覧権、職員への質問権等、直接調査権を付 与する。

  3.  「警察刷新に関する緊急提言」の検証
    平成12年7月12日、警察刷新会議の「警察刷新に関する緊急提言」により、情報公開の積極的な 推進、公安委員会の活性化等の警察改革の方向性が示された。

    その結果、警察法の一部が改正され、監察の指示等(警察法第43条の2)、警察職員の法令違反等 の報告(警察法第56条第3項)、警察職員の職務執行についての苦情の申し出(警察法第79条) 等公安委員会の権限が強化された。

    しかし、緊急提言以来、既に9年を経過しているが、警察の情報公開に関する姿勢はむしろ後退して いる感がある。 監察の指示、苦情申出制度も独立した事務局がない現状では、機能しているとは思えない。

    民主党のいう「行政刷新会議」(仮称)において「警察刷新に関する緊急提言」の進捗状況を検証し、 その結果に基づいた警察改革の新しい方向性を検討する必要がある。 なお、その際、都道府県警察の現場経験者の意見を聞くよう併せて提言する。

  4.  冤罪事件の根絶のための刑事訴訟法の改正
    民主党が、取調べの可視化について、取調べ全過程の録音・録画を義務付ける刑事訴訟法改正案をす でに累次にわたって国会に提出していることは承知している。

    裁判員制度が開始される中、冤罪事件の頻発している現状にかんがみ、早急に取調べの全面可視化を 実現すると共に、冤罪の温床になっている「代用刑事施設制度」についても、警察の留置場及びその 管理を警察の管理から分離するなど、自白偏重の刑事司法の改善に積極的に取り組むべきである。

  5.  捜査費予算の抜本的見直し
    平成16年2月に北海道警察から始まった警察裏金疑惑は、16道府県警察に及び総額約12億4, 765万円を国と道府県に返還した。

    しかし、これは氷山の一角である。 裏金の原資になった捜査費(捜査用報償費)は、緊急あるいは秘密を要するため現金経理が認められ ている予算である。 しかし、次のような様々な問題が明らかになっている。

    民主党は、予算編成の基本方針を決定し、省庁ごとに政治家が予算を編成するとしているが、警察予 算についても聖域とすることなく見直しを行う必要がある。

    捜査費の予算額は数十億円であるが、その執行額は平成12年度に比べて平成16年度には、67. 6%も減少し、約55億円の予算のうち52.5%が不要額となっている。 そもそも捜査費は数十億円もの予算が必要なのか。その積算根拠も、その運用の実態も明確ではない。

    • @ 警察は協力者保護のためと称して、「偽名」や「架空名」を使って末端受領者の領収書を作 成した。 そもそも、捜査費の性質上、受領者に領収書の提出を求めることに問題がある。 現場の実態に見合った捜査費の在り方について、抜本的な検討が必要である。
    • A 警察は、会計検査院の実地検査に対して、捜査費の末端受領者を「捜査上支障がある」との 理由で開示していない。 捜査費が、絶対的非開示とされているのは問題である。 税金の使途の透明化と治安維持の要請とのバランスの上に立った会計検査の実施等、捜査費の情報開 示を検討する必要がある。

    併せて、都道府県警察のみならず、地方自治体などにおいても、裏金問題が相次いで発覚している現 状にかんがみ、不正経理防止のため、会計責任者等を処罰する法制度に関しても検討が必要である。


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● 裁判員裁判への提言
◎「行政訴訟」にこそ裁判員制度を! さがみはら市民オンブズマン・事務局長 : 赤倉 昭男

いわゆる「裁判員制度」というものは、2004年5月に国会で成立した「裁判員の参加する刑事裁判 に関する法律」(略称「裁判員法」)に基づく制度である。ここではっきりわかることは、法律名に “刑事裁判”とあるように、裁判員が参加する裁判は刑事裁判に限られていることである。くわしく言 えば、地方裁判所で行われる第一審の刑事裁判のうち、特に重大な刑法240条(犯人が死刑または無 期の懲役/禁固刑になる可能性がある強盗殺人、強盗致死傷など)や刑法241条(強盗強姦、同致死な ど)、さらに刑法108条(現住建造物放火など)と、無期懲役や死刑までは至らないが、故意の犯罪 行為で被害者を死亡させた事件で、傷害致死(刑法205条)、危険運転致死(刑法208条の2)な どが対象である。

裁判員制度に反対する人たちが「あなたは人を死刑にさせられますか」と呼びかけ、一般民間人が裁判 に関わることの困難さを訴えていますが、それはこの法律で求める裁判員の役割が有罪/無罪の判断と ともに、量刑までも判断させるという、プロの法律家にとっても難しい仕事を課すからでしょう。法律 成立5年後の今年5月にスタートした裁判員制度では、すでに東京、さいたま、青森、大阪、山口、 神戸、などの地方裁判所でも行われた。これらの裁判では、裁判員がいかに精神的な苦痛を持って裁判 に臨んでいたかが報道されていた。なぜか。それはあまりにも個人的な人生観やモラル,価値観を問わ れる作業だからではないか。

私は、刑法に関わる犯罪こそ、プロの法律家が法律に従って粛々と裁くべき対象ではないかと思う。 そもそも死刑や無期懲役に相当する極悪非道な犯罪には、ほとんどの裁判員は同情など寄せるはずは無 く、方や介護疲れからの無理心中や不憫な原因の殺害への同情的な市民感覚はプロの裁判官とても同じ であり、それはこれまで行われた数例の裁判員裁判でも証明されている。

 そうした裁判員裁判を考えると、私は、なぜこの「裁判員法」があえて刑事裁判に対象事件を絞った のか不思議でならない。私はここで裁判員法が対象事件を「政治訴訟」に絞ることを提言したい。そも そも憲法17条は次のように述べている。

 「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国または公 共団体に、その賠償を求めることができる。」

 私たち市民オンブズマンが裁判を起こす場合は、主に地方公共団体(県・市町村)を相手にする「国 家賠償請求訴訟」の一部である「行政訴訟」であり、普通は原告である私たちが勝訴する比率は極めて 低く、公共団体側が9割方勝訴するのである。

この種の裁判で被告側が雇うのは、契約しているお抱え (顧問)弁護士であり、元は検事や裁判官で、当然ながら原告側(市民)が納める税金で雇われている。 裁判費用は潤沢である。

 一方原告である市民側は、長期化する裁判を維持することは経済的に至難であり、途中で裁判維持を あきらめるか、裁判所が提案する不利な「和解」案にもやむなく応じざるを得ないのである。本来原告 と被告の間に立って中立/公平な裁きを行うべき裁判所が、体制(国/地方公共団体)側の有利な判決を 行う可能性は、過去において9割もの勝訴を勝ち取っている現状を見れば明らかで、日本は「行政訴訟」 を裁判員裁判の対象とする英断を求めたい。

私たちは行政訴訟の裁判の中で、裁判所が基本的に国や自 治体の見方として審理しているなどとは言えないので、裁判員裁判でこそ、はじめて行政訴訟裁判の実 態を世の中に知らせることができると考えている。

 行政訴訟は、基本的には国民/市民の権利を争うものであり、原告側は刑事裁判と違って、モラルや 価値観の入る余地のない議論を交わす場である。裁判所が、どうしても被 告側と共に権力/国家体制を擁護するという性格から抜けきれない実情を考えれば、純粋に第3者である 市民裁判員の参加は、国民や市民の公平な考え方を取り入れることができる唯一の手段であり、重要な 意味を持つのではないだろうか。

以上


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*****編集後記*****

最近テレビを見なくなってしまいました。時間に追われる生活のせいもありますが、眼が悪くなってテレビ の画面を見ているのが辛くなったからもあります。そういう意味では、パソコンの画面を見ているのも同様 の事が言えます。

「見張番だより」31号の発行が遅れたことの言い訳に聞こえるかもしれませんね。

遅れましたが、この「見張番だより」31号には、プロのライター岡本呻也さんが原稿を寄せてくださいま した。稿料も差し上げられないので申し訳なく思っております。そして、感謝・感謝です。

私達の「警察見張番だより」は、活動を始めた頃は、神奈川県内の会員の方々から原稿を頂き、県内の方々 に配布しているだけでしたが、最近では県外に住んでいらっしゃる方々から原稿をいただき、発送もしてい ます。

今号も、群馬から、北海道から原稿を寄せて頂きました。微力な私達ですが、ネットワークによって 力を得、活動も広がっていくことに感謝しています。

(生田典子)


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