警察見張番だより 第33号
(2010.07.25.)

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***33号もくじ***
● 県警の主張そのままの不当判決! ・・・・・・・ 鈴木 健
● 仙波氏の「警察裏金に関する講演」を聞いて ・・・・・・・ 赤倉昭男

● 大河原事件裁判のその後 ・・・・・・・大河原宗平

● 冤罪の裏に警察の裏金あり ・・・・・・・杉山寅次郎

● 反省出来ない警察 ・・・・・・・ 中村 攻

● 警察官と労働組合 ・・・・・・・ 大森 猛

● 平和行進に友好的だった警察官 ・・・・・・・ 吉田 宏

● 事務局より・編集後記 ・・・・・・・ 生田典子


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 ● 県警の主張そのままの不当判決!

(弁護士 鈴木 健)

  警察見張番が平成20年2月18日付で、「平成18年度警察本部鑑識課の捜査報償費(県費) 中、捜査諸雑費支出に関する一切の資料(現金出納簿及び支出証拠書類)」について公文書公 開請求をなしたのに対し、県警が、
     
  1. 現金出納簿の、個別の執行に係る支払月日、使途状況、収入金額、支払金額及び、差引 残高欄  
  2. 支出証拠書類のうち、捜査費支出伺、支払精算書、立替払報告書、捜査費
        を非公開とした一部公開決定を3月3日になしたのを不服として、同年8月1日、決定の取消 を求める訴えを横浜地裁に提訴した訴訟の判決が平成22年3月17日に言い渡された。結果 は、情報公開制度の趣旨を没却し、県警側の主張を鵜呑みにした、完全な行政追随型の不当判 決であった。

 今回の訴訟の主な争点は、神奈川県情報公開条例第5条(6)において、公開することによ り犯罪の予防、鎮圧又は捜査…その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある と実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報については非公開とできると規定されて いるとしても、個別の支出にかかる情報の全てを非公開とするのは裁量権の逸脱・濫用ではな いかという点である。

 この点、判決は次のようにいう。「本件捜査費支出伺、…本件領収書は、いずれも捜査員に 対する捜査諸雑費の支出又は捜査員による支払若しくは返納と対応して作成され、本件現金出 納簿は、個々の捜査諸雑費の支出等を総合したものであり、これらの本件各文書には、捜査諸 雑費の支出等によって行われた捜査を構成する要素が記載されている。すなわち、本件各文書 に記録されている本件各情報は、いずれも鑑識課における捜査諸雑費の支出(支払)年月日、 支出(支払)又は返納に係る捜査員の氏名、支出(支払)に係る事件名、支出(支払)理由、 支出(支払)金額及び支払先等の個別執行状況を把握し得る情報であるところ、このような情 報は、捜査活動を費用面から表すものであり、一つの執行に関する情報それ自体が犯罪捜査に 関する情報であるばかりでなく、これを事件ごとに一連のものとして時系列でとらえれば、事 件ごとの捜査態勢、捜査方針、捜査手法、捜査の進展状況といった各種捜査情報を鑑識活動と いう観点から反映している情報と見ることができる。

そうすると、本件各情報のうち、本件処分の時点で現に捜査等が継続中である事件に係るもの については、当該情報を公開すれば、当該事件捜査に係る各種の情報が明らかとなり、捜査体 制や捜査活動の活発さなど捜査状況を推測することが可能になるから、捜査の手が及んでいる ことを察知した被疑者等の事件関係者が逃亡、罪証隠滅等をする可能性や、いまだ捜査に着手 されていないことをつかんだ被疑者等が更なる犯罪等を敢行する可能性を否定することはでき ない。

また、本件各情報のうち、本件処分の時点では既に捜査が終了している事件に係るものについ ても、当該情報を収集することにより、鑑識活動という観点から、警察が、どのような事件に 対して、どのような捜査体制で、どのような捜査方針を採って、どのように捜査を進めていっ たのかというような分析を行うことは可能であると考えられる。そして、このような分析は、 新聞、雑誌等から得られる情報や事件関係者等から得られる各種情報と照合することにより、 かなりの精度で行うことができる場合もあり得るから、将来において捜査活動の裏をかくため の措置の研究等がされ、そのことによって、より巧妙な手口による犯罪が敢行される可能性も 全く否定することはできない。」ここに記載されている内容は、県警側の準備書面(1)8〜 9頁で主張されている内容をそのまま引用したに近い内容である。

 そして原告側が、本件現金出納簿には、日付、概括的事件名、警察官の階級及び氏名、金額 が記載されるのみであるから、これらを公開したとしても、事件ごとの捜査体制、捜査方針、 捜査手法、捜査の進展状況など分析できるはずがなく、また、上記記載に係る情報は具体的に どの事件の関係で支出したかを特定できる情報ではないから、被疑者等の事件関係者が、捜査 協力者や自分の関わる事件を特定又は推測することも不可能である旨主張したのに対しては、 「証拠(同様の前回の裁判で県警側の証人として出廷した森藤証人の証言調書及び今回の小瀧 証人の証言)によれば、現金出納簿における事件名については、概括的な事件の性質が記載さ れるものの、ニュースの表題になるような程度の事件名もあると認められるのであるから、事 件によってはその名称のみでどの事件か特定される場合もあり得るし、そうでない場合でも、 警察署名など地域との関連で事件関係者にとって事件が特定されることや、現金出納簿に記載 されている支出日、支出額等と、新聞、雑誌等から得られる情報とを照合することなどによっ て具体的事件が特定される場合も想定し得る。このように具体的事件が特定されれば、前記の とおり、捜査体制や捜査活動の活発さなど捜査状況が推測でき、被疑者等の事件関係者におい て逃亡、罪証隠滅等の対抗措置を講じる可能性がある…など、犯罪の予防、捜査その他の公共 の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあることを否定することはできない。」という。 ここに記載されている内容も、県警側の準備書面(2)2頁とほぼ同内容である。

 今回の訴訟で興味深かったのは、捜査費を執行した費目にどのようなものがあるか挙げられ たいと求釈明したのに対し、鑑識車両の駐車場使用料(コインパーキング料金を含む。)とし て捜査諸雑費を執行するケースがある、と回答してきたことである。  これを受けて原告が、「当該領収書に記載される事項は、駐車場の名称、年月日、入出庫時 刻、駐車料金のみであり、これらの記載内容から、事件ごとの捜査体制、捜査方針、捜査手法、 捜査の進展状況など分析できるはずがなく、捜査員も特定できず、事件関係者が駐車場に報復 措置を執ることはおよそ考えられないから、当該の領収書を公開しないのは裁量権の逸脱ない し濫用であると主張したのに対しては、「現場鑑識活動のため鑑識車両を駐車した駐車場の領 収書に記録されている情報を公開すると、いつ、どこで、どのくらいの時間、鑑識課員が活動 していたかが明らかになり、これらを分析することにより、捜査の対象、捜査体制や捜査活動 の状況が推察され、被疑者等において逃亡又は証拠隠滅に及ぶ可能性や、犯罪を企図する者に おいて対抗措置を講じる可能性を全く否定することはできない」という。これも、県警側の準 備書面(2)4頁とほぼ同内容である。

 さらに原告が、駐車場の領収書のうち場所や日時、入出庫時間が分かる部分を黒塗りにすれ ば県警のいう懸念は払拭されるとともに、金額が分かりさえすれば情報公開の目的は充分達成 できるから、当該領収書を全く公開しないのは裁量権の逸脱・濫用であると主張したのに対し ては、「駐車場の領収書…は、各捜査諸雑費の支払ごとにこれに対応する当該領収書に記録さ れた情報が全体として当該諸雑費に係る現場鑑識活動の実施に関する独立した一体的な情報を 成すものとみるべきであり、このような独立した一体的な情報ごとに本件条例5条6号所定の 非公開情報にそれぞれ該当するものと認められるから、これを更に細分化してその一部のみを 非公開としその余の部分を公開しなければならないものとすることはできない。」とした。要 するに、一枚の中に非公開とされるべき情報が一つでも入っていれば、残りの部分も全て公開 する必要はないということである。「警察見張番」では、かつて県警の飲食費について情報公 開請求をしたことがあり、その際には、レストランや酒屋の領収書が、陰影の部分だけを黒塗 りにして公開された。実際県警もかつてこのような形で公開したことがあると、そのときの領 収書も証拠に提出したにもかかわらず、である。裁判所の判断は、県警の運用から更に後退し たものと評価せざるを得ない。

 いずれにせよ裁判所の判断は、個別の支出にかかる情報の全てを非公開とするのは裁量権の 逸脱・濫用ではないかという点についての回答には全くなっていない。

 県警側の小瀧証人も、単独の空き巣事犯で犯人が既に逮捕されており、被疑者から押収した 靴と現場に遺された靴跡とが一致するかを鑑識するような場合には、逃亡や罪証隠滅のおそれ、 報復措置を採る余地がないことを否定できなかった。しかし、こういった県警側に不利な内容 については、判決は一切触れようとしていない。

 また、本件が結審してから判決日までの間である平成22年2月6日、神奈川県警において、 2003〜2008年度にかけて全108部署合計14億円超の不正経理が行われていたこと が報道された。

 条例第7条は「実施機関は、公開請求に係る行政文書に非公開情報が記録されている場合で あっても、公益上特に必要があると認めるときは、当該行政文書を公開することができる。」 と規定している。以前高知県警で平成14年当時、広く県警本部における組織的不正経理に関 する疑惑があり、そのような場合には「情報公開制度を利用して捜査費の執行状況を事後的に 検証し、当該疑惑の解明を図り、もって警察会計の透明化を促進することに充分な公益上の理 由があるものというべきであり、疑惑の濃淡及び当該情報を非開示とすることにより得られる 利益に明らかに優越すると認められるのであれば、…当該情報の開示を義務づけられる場合が あるというべきである。」と判断された(高知地判平成17年5月27日、高松高判平成18 年9月29日)。この、条例第7条に基づき公開されるべきの主張をし、前記判例も証拠提出 したのであるが、これに対しても判決は全く触れようとしていない。

 「警察見張番」として初めて起こした同種訴訟が敗訴で終了したとき、私は「今の裁判所の 判断枠組みがこのようなものだとすると、内部告発者でも出ない限り、捜査情報は全て非公開 でよいとのお墨付きを裁判所が与えたようなものだ」と述べたが、今回の判決も、正にそのと おりの結果となったといえる。

 今般、神奈川県警を分限免職となった若い警察官の処分取り消しを求める申立を神奈川県人 事委員会に行い、私もその代理人の1人となった。そこで、「警察見張番」としては、情報公 開訴訟はひとまず終了し、この人事委員会審理を支援していく方向で活動することとした。


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● 仙波氏の「警察裏金に関する講演」を聞いて

赤倉昭男(相模原市)

@警察裏金の想像を超える実態に驚く 4月5日(土)の午後5時、JR浜駅西口にほど近い「かながわ県民センター」の301号室は、 異様な空気に包まれていた。神奈川警察見張り番の月例会で、「裏金はこうして作られる」 というテーマの講演会が予定されていたのである。

開会前の緊張感は、この日特別に講師として招かれた元愛媛県巡査部長・仙波敏郎氏が、 「警察における具体的な裏金づくりの手法」と題して、あからさまな警察内部の真実の暴露 をするとの予告があったからだ。

講演会は、冒頭に「警察見張り番」の事務局長・鈴木健弁護士から、この集会の主旨は、今 年2月神奈川県警自ら公表した不正経理額が11億4000万円とされたが、それまで「警察見張 番」が起こした裁判では、経理処理は適正で、監査も通っているなどと無実を主張していた ことに、あらためて警察犯罪の実態に迫る必要があったと説明された。その上で、「警察見 張り番」が県警に提出した質問状(3月5日付)への解答(情報公開)についても一つ一つ報 告された。

予想されていたとはいえ、文書のほとんどが“黒塗り”されたコピー(県情報公開条例第5条 2項による)と、「破棄されて文書不存在」というもので、鈴木弁護士はこの状況について、 「神奈川県警ははぐらかしばかりで、改める気持ちは全くない」と結論づけていた。

 本題の講演に入る前に、仙波氏は「私より裏金に詳しい顔ぶれがいるので、今日はしゃべ りづらい」と、数人の関係者の参加について触れていたが、その言葉とは違い、信じがたい 警察内部の実情を、歯に衣着せぬ言葉で語った。概要を報告したい。

       神奈川県警には、全国警察官25万人の6%にあたる15000人がいる。日本には退職した年金 生活を送る警察官も15万人いて、合計すると40万人もいる。しかし、裏金づくりを公に話し て歩いている警察官は私ひとりだ。全国24都道府県で、すでに86回の講演をした。全国の警 察署を舞台に裏金は毎月1億円も作られている。神奈川県警では、11億円を超える裏金が出 たようだが、この金は“表に出てもよい”裏金で、警察の物品を買ったり、激励会での経費 など、いわば言い訳のできるもの。問題は、県警内54警察署などにいる警視と呼ばれる 200人あまりの幹部管理職が、飲み食いや自宅の建て替えなどに使う裏金だ。5年間で恐 らく100億円にもなるだろう。消防署にもいろいろとあるのではないか。

 5年前の愛媛県警でも勇気ある警官がいた。現職警官の大河原宗平氏で、今日も来ている。 その告白で彼は全国の警察官を敵にまわした。地元警官に暴行したといわれながら起訴され なかった。その代わり、懲戒処分にされ、2000万円の退職金をパーにしてしまった。マスコ ミは警察側の言い分を鵜呑みにして報道していた。そのあとに、私が顔を出した。2週間取 り調べを受けたが、結果は私が定年退職、大河原氏は懲戒免。私は必ず道連れを探し、それ を殺すと公言していた。神奈川県の六分の一の愛媛県警の2500人が“仙波おろし”をしたが、 私の幼なじみで産経新聞記者の東君が、私を支えてくれたが、突然死んでしまった。彼の存 在があればこそ、私は警察機構に立ち向かってこれた。ただ一つ、裏金ゆえに、警察も県庁 も市役所も、そして大企業も人権を無視する。ひとり私だけが、その金を使わないできた。 私は24歳の時、裏金作りに関われと言った署長に、そんなことは日本の警察がダメになると 言った。そのとき、署長は領収書を書けとはいわなかった。それからは書かないで来た。

警察署の犯罪検挙率について話したい。検挙率は10%まで下がった。例えば、100件の事 件で検挙されたのは8件だった。検挙率を上げるのは小学生でも分かる方法がある。犯罪件 数を減少させるために被害届を書かさないことだ。全国では以前240万台にまで上った事件 数が、いまでは170万件に減らしている。

神奈川県警は不正経理額が全国1位で、検挙率ナンバーワンを誇っているのが現状である。 警察は犯罪者を簡単に作り上げてしまう。拘留すれば、20人中9人は「やった」と言う。罰 金5万円払えば出れるぞ、起訴されたら、会社も家族も新聞に載るぞ、とおどかすわけだ。 調書も、頭の部分と終わりの部分は本とのことを書くが、中はデタラメだと思った方がいい。 毎日犯罪を犯しているのは警察とヤクザだと思えばいい。そして、裁判官も県警を擁護する ことを覚えて置いてほしい。

「神奈川警察見張番」の活動は、県民皆さんのための活動です。私しか言えないから言うが、 鈴木弁護士、生田さん、本郷さん、木村さんたちは、私のような野獣のためにも頑張ってく れています。ご支援、本当にありがとう。

             

以上


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● 大河原事件裁判のその後

大河原宗平

<群馬県警《裏金》告発>
 

@はじめに
平成16年2月16日、全くデタラメな「デッチ上げ公務執行妨害」の現行犯人として逮捕され、 その後、群馬県警を懲戒免職にされた群馬県警の現職警官(当時・警部補)であった大河原宗平 は、「懲戒免職の取消」と「損害賠償請求」の二つの裁判を前橋地方裁判所に求めています。 昨年(平成21年)7月31日に100人を超える大応援団が裁判所に詰めかけ傍聴席に入りき れない状況が生まれました。これを期に「ホームページ」も公開され、10月2日には「大河原 宗平さんを支える会」も発足し益々大きな応援をいただいております。

@裁判に対する応援とそれに連動した支援集会-次回裁判は7月9日金曜日の午前11時からで す。この日の裁判は、「春の人事異動で裁判官の構成が変わったため、双方ともまとまった主張 を出してくれ」との裁判所の要請で,準備書面の提出と新たに尋問する予定の証人の申請手続き になると思います。裁判終了後は裁判所に隣接する群馬弁護士会館の会議室で報告集会を予定し ています。

@盛況な応援集会
前回の裁判は4月26日でした。この日の裁判はデッチ上げられた公務執行妨害事件を大河原が 否認しているにもかかわらず、この事件を「不起訴(起訴猶予)処分」にして葬った元検事の櫻 井香子氏に対する証人尋問でした。 櫻井証人は当時の状況について詳細な陳述書を提出しておきながら、大河原弁護団からの審問に 都合が悪くなると「忘れた」などと、苦しい証言をしていました。

@警察に関する学習会
裁判前の4月24日から3日間連続で、3ヶ所に於いて警察問題に関する学習会を開催しました。 このような学習会の開催は群馬県内各地で開催しており、今回で9回目になりました。記念講演 は、警察の裏金問題を実名告発した愛媛県警、元巡査部長の仙波敏郎さんです。

先ず24日は桐生市で開催しました。桐生市は大河原がかつて勤務した土地であり大河原の特技 である剣道を通じて多くの方と交流のあったところです。この桐生学習会には剣道仲間や桐生警 察署の交通部門の協力者、現職市議会議員、中井国家公安委員長の名代として群馬県選出国会議 員の秘書なども参加して大河原を激励してくれました。  

25日の前橋学習会には少年に対する警官の行き過ぎた職務質問や所持品検査に平素から疑問を 抱いている方々が宣伝カーの呼び掛けで学習会の開催を知り大勢が参加してくれたばかりでなく、 大河原が勤務したことのある吉井町からも応援に駆けつけていただき激励の挨拶もいただきまし た。

   26日の裁判とその後の報告集会には、作家の江川紹子さんも参加してくださいました。更に、 裁判傍聴の感想を述べていただき、会場を盛り上げてくださいました。

@次回裁判
次回の裁判は前途のとおり7月9日(金)午前11時からです。 毎回の裁判同様大勢の皆様の傍聴応援をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 (大河原宗平)


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● 冤罪の裏に警察の裏金あり

(杉山寅次郎)

★大河原冤罪国賠から見えること★

 「冤罪の裏に警察の裏金あり」と確信しているボクは、今、元群馬県警警部補の大河原宗平 さんを応援している。裏金で腐敗した警察組織による捜査の結果、続発する冤罪。裏金を正す ことは冤罪を防止することでもある。そうだとすると大河原さんは冤罪防止のために闘ってい ることになる。

殊に大河原さんは、「警察裏金を告発したがために公務執行妨害罪をでっちあげられ、でたら めの懲戒免職という冤罪被害をこうむっているのだ。まさに、警察裏金と冤罪との関係を直接 的に体現しているのが大河原さんなのだ。大河原さんを応援しないわけにはいかない。

2月5日(金)大河原国賠の弁論。当時の阿部清監察監室長、大河原さんの被疑事実を報道各社 にレクチャーした本人だ。その阿部証人が清水弁護士の尋問を受けた。質問に対しあれこれ言 い訳がましく説明を入れる阿部証人は、再三にわたり清水弁護士から注意を受けた。

「答えだけでいいんですよ。イエスかノーかだけでいいんです。理由が聞きたければこちらか ら聞きますから。時間がないんですから答えだけでいいんです。ごめんなさいねぇ〜」と言わ れ続けた。

印象的な場面が2つ、3つ。

「大河原さんが興奮混乱して…というくだり。あなたが報道各社にそう発表したんですか?」 と清水弁護士。

「言ってません」と阿部証人。
「え、言ってない?では誰が言ったんですか?」

阿部証人を除く他の監察監室員がしゃべったというのだろうか?それとも上毛新聞が勝手に書 いたのだろうか?「報道のあり方の問題だ」というような阿部証人の責任転嫁論法によると、 上毛新聞が勝手に書いたということになる。

そこで、オンブズ富山の松永さんが翌日早々、街宣用のナレーション原稿を作り、上毛新聞 社界隈を街宣活動してくれた。

「上毛新聞さん、警察が言わないことを勝手に書いたんですか?それはまずいのではないでし ょうか?今からでも遅くはありません。大河原さんに確認して報道し直してみてはいかがでし ょうか?」と上毛新聞社界隈を走ってくれたというのだから、痛快だ。

『報道されない警察とマスコミの腐敗/「ポチの告白」が暴いたもの』(寺澤有/編著、インシ デンツ刊)で明らかなように、警察と報道各社は、「組織的に」癒着しているのが常態だ。ゆ えに、捜査機関発の報道に関しては真っ当な報道がなされることがなくて当たり前なのだ。そ れが、法廷で垣間見えてきた。阿部元監察室長は、専ら責任を「上毛新聞」になすりつけた。 「上毛新聞」は警察と裏で借りを返してもらったのか、それとも逆に借りがあったのか、未だ に沈黙したままだ。

尋問はさらに続く。

「被疑者が、やってないと否認してるのにそのことを報道に発表しなかったんですか? え、 たいしたことない事件だから?? 現職の警察官が警察官に体当たりした事件は群馬県警では 大したことない?

だって、冤罪を警察がでっちあげちゃうことになっちゃうかもしれないんですよ。結果的には どうあれ、逮捕された時点で、被疑者が自認しているのか、否認しているのか、発表するのが 当り前じゃないんですか?当り前じゃないんですか?当り前じゃないんですか?」たたみかける 清水弁護士。

「わかりません!」

耐えきれずこう答えた。やっとだった。「情けない!」元愛媛県警巡査部長の仙波さんが隣席 でつぶやいた…。

「わからない?ほお〜」清水弁護士。

この後、群馬県警が逮捕した被疑者に関し、被疑者が否認した事例を県警が発表している数多 くの例をあげ、どうして原告大河原さんの時には発表しなかったのか?と迫った。 また、「日ごろから素行が悪かったんでしょ?この大河原という警察官は?そういうことが分 かっていたのなら、なぜ上司の監督責任がこの事件では問われていないんですか?」とも迫っ た(笑)。

 これらを躍起になって否定しようとして介入する国側代理人を勤める女性検事の往生際の悪 い弁論も目立った。

「要するに、組織的に事件をでっちあげているから周りの警察官を巻き込むわけにはいかない、 っていうことなんじゃないですか?」と清水弁護士。
「違います!明らかに…」すかさず答える阿部証人…。

「終わります」と清水弁護士。終わったというのに、「私的な問題ですよ!…」と言い訳がま しく続ける阿部証人。

江戸川乱歩の「心理試験」を思い出した。強盗殺人犯が、明智小五郎との対決にそなえて想定 尋問で訓練した結果、「事件に関係する質問」に対する回答速度が、他の質問に対する回答速 度に比べて速くなってしまっていた」というのを思い出した。まさに、阿部証人の回答がそう だった。

4月24日(土)は桐生市で、25日(日)は前橋市群馬県庁〈昭和庁舎)で「大河原宗平さんを支 える会」集会があり、参加した。

4月24日(土)桐生市役所前の旅行会社、そこの2階会議室で行われた集会。会議室を貸して下 さった社長が力強く挨拶。

「警察上層部 が組織的に裏金を作って公金横領をやってるなんてそんなこと、とても信じら れませんでした…。けど、事実なんですよねぇ〜。みなさんの力で 、大河原さんを復職させ て裏金をなくしていきましょう。全面的に 支援して行きたいと思います」

4月25日(日)群馬県庁(昭和庁舎)での集会は、「私は、神奈川県警の現職警察官です。神 奈川もひどいけど、いくらなんでもデッチアゲ公妨・懲戒免職はないでしょ。それが本当なの かどうか、確かめたくて来ました。ホントだったら日本も終わりですよ(笑)」というような びっくり仰天応援団の出現に時代が少しずつ変わってきたのかなぁ〜と感じた。

2日とも、元愛媛県警の現職警察官にして裏金告発の仙波敏郎さんが、応援ゲストスピーカー として登壇しました。力強く、ますます冴えわたる講演に拍手喝采。
ことに、「某政権党から昨年今年と、確実に当選するポストで立候補の打診があったが断った」 とか、先般、道端セップン騒動でお騒がせの「中井国家公安委員長に呼ばれて内閣府の大臣室 まで行ってきたこと、その際そばにいた大臣側近警察庁キャリア官僚が『固まっていたこと』 など、面白おかしい話に会場は笑いの渦…。痛快!

4月26日(月)、大河原さんを「起訴猶予処分」にした当時の取調べ検事だった櫻井恭子弁護士 が証言台に立った。「でっち上げの公務執行妨害罪」なのに、「有実」が前提の「起訴猶予処 分」にした検事が何をどう語るのか注目された。

「大河原さんは否認していたはずなのに、警察に確認しなかったのか?」という大河原弁護団 の反対尋問に対する回答はこうだ。

「警察の捜査を信頼していましたから…」 法廷から失笑がもれた。弁護士になった今も「警察を信頼している」という言葉にボクは鼻で 嗤ってしまった。最前列のボクの嗤い声が聞こえたから、というわけでもないのだろうが、瞬 間的に振り向きざま傍聴席を睨みつけた櫻井元検事。弁護士の尋問よりも、あの瞬間に最もプ ライドを傷つけられたに違いない。

ところで、法廷には、『勇気ってなんだろう』の著者でジャーナリストの江川紹子さんが新幹 線で駆けつけてくれた。仙波さんが、当日朝思いついて唐突にも電話したところ、ブーブー言 いながらも来てくれた、という。

弁論終了後、いつものように群馬弁護士会館で報告集会があった。仙波さんが江川さんへ感想 を求め、極めて的確な江川さんのコメントを引き出した。江川さんのコメントの概要は次とお り。

        ・・・

第1、元検事の櫻井弁護士が盛んに「客観的、客観的」と言っていたが、それはよく聞いてい ると、「警察の捜査結果、警察の言い分」のことだった。過去幾多の冤罪事件でも、検察が警 察の言い分を鵜呑みにしていること多くあるが、ここでもまた、同じ構造なんだなぁ〜と思っ た。

第2、検事と大河原さんとが、言った言わない、という争いになっているようだったが、録音 録画していれば簡単にわかること。ここでもやっぱり、「取り調べの可視化」は必要なんだな ぁと(笑)。

第3、公益通報者に対するメディア側の不親切。大河原さんがせっかく告発してテレビの特報 番組ができたんだろうに、その取材源である大河原さんを守ってあげてないのではないか。今 後はメディアの公益通報者に対する姿勢も問題だ。

以下、おまけとして。裁判官が新しく代わって、いやに愛想がいい裁判官だったが、愛想がい いからといって判決も良いとは限らない。その辺は清水弁護士をはじめみなさんお分かりだと 思うが(笑)。

締め切りを控えて慌てて帰る江川さんに、仙波さんのお声掛けでボクは高崎まで同行すること ができた。で、ここはチャンスとばかり、「今度、千葉刑務所に守大助さんを一緒に訪ねても らえませんか♪」と申し上げた。

「私なんかが会えるんですか?」
なんでも、江川さん自身、刑務所の処遇改善の申し入れとか記事を書いたことがあったそうで、 奇しくも、その効果を意外なところで実感することになったようだ。

なお、おまけの、愛想のいい裁判官だが、この裁判官の名が「西口元」という名前だったこと をつい先日、大河原さんの事務局会議の後に知った。「西口元」この裁判官こそ、かの神坂直 樹さんが、裁判官をめざすきっかけになった司法研修所時代に巡り合った尊敬できる裁判官だ ったのだ。はたして結果はいかに。

尚、

  • 7月9日(金)午前11時より前橋地裁、
  • 7月10日(土)には伊勢崎市文化会館、
  • 7月11日(日)に桐生市文化会館で
それぞれ大河原さんを支援する集会があった。

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● 反省出来ない警察

(中村 攻)

今から24年前の1986年1月、共産党幹部宅盗聴事件が発覚した。発覚する半年前に神奈川県警 警備部公安一課員が被害者の緒方さん宅から直線距離で100メートルのところにあるアパートを借 りた。賃借名義人は東芝に勤務していた社員。電話使用中に入る雑音に不信をもった緒方さん側がN TTに連絡し、調査したところ、電柱に盗聴用の端子が取り付けられていた。

東京地検特捜部の調べ によって現職の公安警察官5人の名前が浮上したが、当時の警察庁長官は国会で「過去も現在も盗聴 を行ったことはない」と強弁。しかし、間もなく神奈川県警本部長が辞職。警備部長が他省に転出す るという人事移動が行われ、事実上の引責人事だったことを認める。

 緒方さん側は県・国に損害賠償請求を起こし勝訴した。この事件はかかわった5人の警察官、また は一部署の判断で起こされたものでないことは明らかだ。公安警察による指示にもとづく組織的な盗 聴工作であることは間違いない。

<この事件から13年後>
    1999年8月、犯罪捜査において警察の盗聴を認める通信傍受法(盗聴法)が可決、成立。例えれ ば強盗に拳銃を与えるようなことになった。この直前、警察庁長官は記者会見で「こうしたものが認 められれば組織犯罪対策上きわめて有効だ」とし、「プライバシー保護に配慮しつつ、法の適正な運 用につとめたい」などと語った。しかし神奈川県警の盗聴事件については国会で「警察としては盗聴 は過去にもやっておらず、今後もありえないと確信している」とぬけぬけと述べた。過去に犯した犯 罪を真摯に反省できない組織は信用できない。

(参考・青木理著「日本の公安警察」講談社新書)


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● 警察官と労働組合

(大森 猛)

「警察見張り番」に少しでも関わるようになって、仕事の合間に警察と名のつくものやそれに関する ものに以前よりは関心を向けるようになった。

最近では、佐々木譲氏のいくつかの警察小説や同氏の作品を原作とする映画「笑う警官」などを観た りした。映画の方は、北海道警の不祥事を告発する警官をめぐる息づまるような緊迫したストーリー の展開で見ごたえのあるものだった。

先日は、仕事からの帰途、バスの待ち時間つぶしに時々覗いている古本ショップで、松橋忠光氏の有 名な著書「わが罪はつねにわが前にあり」を見つけた。20数年前に出版され、社会に衝撃を与え、 ベストセラーにもなった。何号か前の「警察見張り番」に、仙波敏郎さんの著書「現職警官裏金内部 告発」の感想を書いた際、その「わが罪はつねに―」を勤務先の資料室から借りて、必要な個所につ いて参考にしたものである。

私は、見つけたそれを買い求め、時間をかけてもう一度読み返してみた。仙波さんをはじめ、この間 の一連の裏金、二重帳簿など生々しい事実が暴露されてきているだけに、50年代、60年代のその 原型的構造と松橋氏の葛藤が今日の状況に深くつながっていることを強く感じた。

そのなかで、私はある意味では意外性もあって、新鮮な驚きを持って読んだのは、氏が四つの提言を 行い、その中で、「幹部に“人格”の勉強を」「違法行為の絶対解消」「人事管理の適正化」という いわば当然すぎる提言とともに、第二の提言として「警察社会に労働組合を」と訴えていることであ る。警察組織の硬直化を防止し、不祥事を根絶していくうえでも必要として、根拠や理由も述べてい る。氏は、その翌年出版した「闘った幹部警察官の記録」(共著)のなかで、この提言に対する批判 への反論を行っている。そのなかで、警察庁内部で、警察に労働組合を作ることが検討された時期が あり、それを示す具体的な研究会などの資料を明らかにしていることも興味深かった。(この点はそ の後国会でも取り上げられ、警察庁幹部は「プライベートな研究だ」などと否定している)

警察官の団結権、労働組合問題は国会会議録検索システムによれば、戦後100数十回、国会で取り 上げられている。(その中には、単に用語を列挙しただけのものも含まれる) その中で、正面からこの問題を取り上げ、政府の見解をただしたのが1975年3月26日の衆議院 法務委員会の諌山博議員(日本共産党)の質問である。諫山議員の「警察官になぜ団結権を認めない のか」との質問に対し、当時の警察庁人事課長は、警察官に団結権を保障すると「職務遂行に支障を 生ずる」と答弁した。

しかし、これは、諌山氏がすぐ反論したように、あまりにも一般警察官を馬鹿 にした、信頼しなさすぎる答弁と言わなければならない。また、人事課長は警察職員の処遇改善は、 自分たちできちんとやるから労働組合等いらないなどと言う前近代的な答弁も行っているが、こうし た考えはおそらく今日も変わっていないだろう。

ヨーロッパ、アメリカなどで警察官が労働組合を結成しており、今日では世界の大勢となっている。 警察官の団結権はILO(国際労働機関)87号条約でも保障されている。

警察官に対する団結権の保障は、警察官の生活と権利を守るためだけでなく、警察官の人権感覚を向 上させ、職権乱用や裏ガネ問題の是正、不祥事の根絶など、警察の自浄力を高めることにもつながる。 日本の警察の民主化にとって、欠くことのできない重大な課題として改めて想起するものである。


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● 平和行進に友好的だった警察官

吉田 宏

 私は、今年の5月13日の平和行進(立場〜〜本郷台駅前)に参加しました。途中栄区の公園 で20分間休憩しました。その時一人の警察官が来て「責任者の人は居ますか?」と言いました。

平和行進の参加者が多数いたのですぐには責任者は見つからなかったのですが。続いてその警察 官が「管轄が変わるのでここからは我々が交通整理を行いますので、そのことを報告に来ました。

ただそれだけです。」と言ったので、皆が「よろしくお願いします」と言うとその警察官も「よ ろしくお願いします」と笑顔で挨拶してくれました。

              再び行進が続きましたが、交通量の多い道路でも事故を起こさない」という強い思いが伝わって きて、とても親近感を持つことが出来ました。平和行進の最後の場所で、私が「有難うございま した」とお礼を言うと、その警察官の笑顔が返ってきました。警察官が「平和行進」に対して友 好的だったので、嬉しい思いをしました。今も心の中にその温もりが残っています。

      ◆◇◆

 原田宏二さんが、2005年3月に著した「警察内部告発者」が、ハルキ文庫(角川春樹氏発 行)から加筆をして「たたかう警官」と言う題名で単行本として書店に並んでいます。再び多く の人が、原田宏二さんの「内部告発」を読んで、警察の実情を知ることが出来ますから、本当に 良いことだと思いました。

 ストーカーされた若い女性や、恐喝された男性が、警察に助けを求めたが、結果は警察に助け てもらえずに殺されてしまうという痛ましい事件が何件も起きていますが、そうなる背景に対し て、原田さんが次のように書いているのを読んで、「なる程なあ」と思いましたので以下ご紹介 いたします。(吉田)

 「警察署は国民ではなく、常に警察本部の様子を伺いながら仕事をしている。警察署が警察本 部の下に位置しているからだ。・・・・すべての警察幹部が、キャリア官僚が、支配する警察庁 をうかがいながら仕事をするのだから。悲しいかな、これが警察組織の実態なのだ。もちろん、 自分に与えられた職務に情熱を燃やし、日夜奮闘している警察官たちも数多く存在する」


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***● 事務局より・編集後記***

<事務局より>
第2回「警察見張番」総会を下記の要領で開きます。ふるってご参加ください。

   記

  • とき:2010年7月31日  17時〜19時
  • 場所:神奈川県民センター  304号室
  • 電話  045−281−0708
  • 参加費:若 干
       
<編集後記>

 編集者の私は、相変わらず時間に追われ、時間の奴隷となっている内に、病魔が体内にしのび 込んでしまいました。結果、病院に通いながらの編集でしたので、今号の「見張番だより」33 号は、ちょっと大変でした。

 上記のように、7月31日に「警察見張番」の総会があります。書き残したこと、更に付け加 えたいこと等がございましたらたら、その時に追加発言をしてください。 多くの皆さまのご参加を期待しています。

(生田典子)


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