警察見張番だより 第35号
(2011.04.10.)

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***35号もくじ***
● 群馬県警「裏金」告発 大河原事件 ・・・・・・・杉山寅次郎

● 待ったなし! 今こそ可視化の実現を! ・・・・・・・大森 猛

● その後の正常な組織とは(大組織の腐敗) ・・・・・・・一市民

●編集後記 ・・・・・・・生田典子

●県警の手続違背について ・・・・・・・鈴木 健

●傍聴参加記 ・・・・・・・木村宏道

●投稿 ・・・・・・・渡邉梨花

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 ● 群馬県警「裏金」告発 大河原事件
     いよいよ5月9日に判決!

(杉山寅次郎)

   3月18日(金)判決が言い渡される予定だった大河原宗平さんの裁判は、5月9日(月)午前11時半 に判決期日が延期になった。大地震を理由とする直前での裁判所による変更だ。判決延期になった大河原さ んの2つの訴訟とは、@デッチアゲ逮捕に起因する「懲戒免職処分」の「取消訴訟」と、Aデッチアゲ逮捕 の冤罪被害による損害を賠償請求している「国家賠償請求訴訟」である。

 現職の警部補がデッチアゲ逮捕されるという事態。殊に要人警護係長として中曽根・福田両首相の担当を 務め、後に「警察学校の教官」に抜擢されていた大河原さんがこのような目に遭うということは、警察組織 内部では、裏金作出とその隠蔽能力のほうこそが捜査能力よりも高く評価されるということを図らずも示し ている。このような組織では冤罪が絶えないのも当然だ。

 さて、その大河原さんの裁判の担当裁判長は、西口元氏。この西口裁判官こそ、裁判官への任官を最高裁 から拒否された神坂直樹さんが、司法修習生当時、弁護士志望から裁判官志望へと転換するきっかけとなっ た憧憬の裁判官なのだ。「Nコート」と異名をとるその西口裁判長の下でいかなる判決が出されるのか大い に注目される。

 「大河原宗平さんを支える会」では判決を前に、さる1月22日(土)と3月5日(土)、「3・18判 決前大集会」を行った。

 1月22日(土)前橋市第三コミュニティセンターでは、底冷えのする午後、約100名の市民が参加し熱 い集会となった。元共同通信記者・青木理さんの、国策捜査と警察裏金・冤罪に関する講演や、警察問題に 詳しいジャーナリスト寺澤有さん・大河原国賠弁護団・清水勉弁護士、そして青木理さんとの鼎談が行われ た。

 3月5日(土)は倉渕町で、昼と夜の2回、集会が催された。昼の部では、元愛媛県警巡査部長・仙波敏 郎さんと前阿久根市長・竹原信一さんのお話があった。続く夜の部には、警察ジャーナリスト寺澤有さんが 加わってくれた。

 いずれも濃厚な熱い集いとなった(You Tubeで「大河原 倉渕」で検索!)。翌6日(日)の昼さがり、 「支える会」は、判決傍聴を呼びかけるチラシ配布や街宣活動をJR高崎駅界隈で行った。

 「この国では、すべての警察で裏金作りが行われています。すべての警察のすべての署長がドロボウなん です。群馬県ではこの裏金作りを告発した大河原宗平さんがデッチアゲ逮捕されました。今回、安中署長に なったその人がデッチアゲ逮捕をしたんです。この件について、3月18日金曜日2時から裁判の判決が下 されます。この裁判への傍聴応援をよろしくお願いします!」というアナウンスが繰り返し高らかに流され た。阿久根市前市長・竹原信一さんが現場で録音し流したメッセージだった。

 判決は、5月9日(月)午前11時30分、前橋地裁21号、傍聴券は午前11時抽選開始です。判決傍 聴へぜひともご参集ください。

 なお、1月22日「前橋集会」の詳細については、JANJANニュース(ジャーナリスト三上英次さん の報告)をご覧ください。

 http://www.janjanblog.com/archives/29618

(以上)


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● 待ったなし! 今こそ可視化の実現を!

大森 猛

−布川事件再審裁判判決に寄せて−

 未曾有の巨大地震の被害の惨状が明らかになるにつれ、胸を押しつぶされる日が続く。50万人にも及 ぶ避難されている皆さんにお見舞いを申し上げるとともに亡くなられた方々に深く哀悼の意を表します。

 そのような中で、3月14日、水戸地方裁判所土浦支部は、今日、16日に予定されていた布川事件再 審裁判判決を延期すると発表した。

 「私たちは犯人ではない」−茨城県利根町布川で起こった強盗殺人事件で犯人にでっち上げられた桜井 昌司さん、杉山卓男さんが44年間無罪を訴え続けてきた布川事件の再審裁判。延期された判決で「完全 無罪」の判決が言い渡されるだろうことを確信している。

 41年前には、2人の必死の否認の声に聞く耳を持たず無期懲役の判決を下し、24年前には2人の再 審請求を冷たく却下した同じ水戸地裁土浦支部の法廷での勝利判決を、桜井さん、杉山さんは私の想像を はるかに超える万感の思いで心待ちにされていると思う。

 それにしても、刑確定後9年目に起こした再審請求が地裁でも高裁でも最高裁でも棄却されたにもかか わらず、9年後、再び新たな再審請求を行い、検察の執拗な抵抗を超えて再審決定を勝ち取り、そして今 回の勝利判決を目前にしている桜井さん、杉山さんの「あきらめない。立ち止まらない」立場での40年 余のなみなみならない一念とご努力に対し心からの敬意を表したい。

また「『私たちは犯人ではない』訴 え続けるふたりの言葉の中にある<真実>に対して、確信をもって」(「桜井昌司さん・杉山卓男さんを 守る会」ホームページ)支援運動にとりくみ、当初の細々とした流れから、全国にも広がる巨大な流れを 作ってきた「守る会」の皆さん、日本国民救援会、弁護団はじめ多くの皆さんに熱烈に喝采を贈るととも に、真実が貫徹された、そのことへの深い感謝の念を捧げたいと思う。

 布川事件をひもといておそらく誰もが最初にぶつかる疑問の一つは、逮捕後日ならずしてなぜ「自白」 に追い込まれたのかということではないだろうか。(桜井さんは、別件逮捕後、5日目、杉山さんは同じ

く2日目。)
 二人は「嘘の自白」に追い込まれていく経過について次のように語っている。  桜井さんは、「逮捕されたときの取調で述べたアリバイを『裏付け捜査で違う』と言われ、自分の勘 違いだと思ってしまい、記憶が甦らなかった。そして『おまえが犯人だ』『アリバイが言えないのは犯 人の証拠だ』『お前と杉山を現場で見た人がいる』『お前の母ちゃんも、早く本当のことを言えと言っ ている』などと連日言われ続け」(同)た。

桜井さんがこのままでは犯人にされてしまうのではないかと、 不安な思いを極度に高じさせる中で、「嘘の自白」に追い込んだ決定的な役割を果たしたと思われるのが、 嘘発見器にかけられたことだ。係官から甘い言葉をかけられ、「無実を判って貰えたと安心した」(同) 直後に「『検査の結果、みんな嘘とでた。もうダメだから話せ』と言われ、何を言っても犯人にされて しまうと自暴自棄になり、『嘘の自白』をしてしまった」と語っている。

 杉山さんに対しては、取調官が「桜井がお前とやったと言っている」(同)と言って、桜井さんの署名 の入った調書を見せ、激しい動揺を与え、さらに、取調官は「桜井の兄のアパートに泊まったというお 前のアリバイは、桜井の兄貴が泊まっていないと言っている」と責めて、桜井兄弟に対する不信や怒り、 憎しみを掻き立てていった。そんななかで杉山さんは「俺はやってないんだから、後になればきっと判 って貰える。やらないと言っているだけでは何時までも調べが終わらない」(同)という気持ちになり、 ついに「嘘の自白」に追い込まれてしまった。

 ここでは、20歳そこそこの若者(桜井さんは当時20歳、杉山さんは21歳)に罪を捏造していく悪 質で、恫喝を交えた狡猾な手口がとられている。取調べの過程で、甘い言葉をかけ、希望を抱かせ、無 残にそれを踏み潰し、自暴自棄にさせ、「嘘の自白」に追い込む手口は足利事件の菅家利和さんの取調 などでもとられたものだ。

 足利事件に続く冤罪事件に対する断罪!今、強まっている取調の全面可視化の動きをさらに加速する ものになってほしいし、しなければならない。

 昨年、厚生労働省元局長の村木厚子さんにかかわる郵便不正事件で検察の暴走が明らかになり、さら に大阪地検特捜部の証拠改ざん・犯人隠避事件などへの批判が大きく高まる中で、法務省内に「検察の 在り方検討会議」(座長・千葉景子元法相)が設けられ、改革の検討を始めた。「取り調べ可視化」問題 もその一つの課題として検討されている。

 「検討会議」は昨年11月10日の第1回以来、今日までに12回開かれている。2月24日に開か れた第10回会議において、「取り調べ可視化」に関する「省内勉強会の検討状況」とか「可視化のメリ ットについての指摘」とかの資料とともに、最高検察庁の説明資料として「録音・録画試行指針」が配 布されている。これは、今月の18日から「特別捜査部が取り扱う身柄事件(捜査において、被疑者を 逮捕・勾留する事件をいう。)に関し、・・・被疑者の取調べの録音・録画を行うことを試行する。」(同 「指針」)というものである。

 これまでかたくなに「可視化」に背を向け続けてきた検察としては一定の「変化」と言えるかもしれな いが、重要な問題を含んでいる。

 まず第1に、「録音・録画の対象とする場面」(同)について、「指針」は「検察官において・・・検察 官による取調べのうち相当と認められる部分を適切に選択する。」と述べている。

これでは、取り調べの一部しか対象とならない。またどの部分を録音・録画するのか、選ぶのはすべて 検察官にのみゆだねられている。恣意的に捜査側に有利になりそうな部分だけを記録することも当然予 想される。足利事件、布川事件などを通じて強く求められている「全面可視化」からほど遠く、選択の 仕方によっては全く逆なものにさえなりかねない。

 第2に、その目的(「試行の趣旨」)に、「検察官面前調書が適正な取調べにおいて作成され任意性 ・信用性等に疑念を生ずるものではないことを的確に明らか」(同)にするとされているが、それは、検 察の調書などを有利にするためのものではないだろうか。もともと、「可視化」問題が議論されるように なったのは、検察などの捜査を客観的に公正に検証し、「冤罪」などが入り込む余地を一切遮断するため ではなかったのか。検察への厳しい批判が吹き出している中での今回の「指針」であるにもかかわらず、 そうした観点が欠如していると言わざるを得ない。

 当然、「指針」に対し、各方面から強い批判や疑問の声が上がっている。「検察の最良を前提とした一 部可視化では客観的で中立、公正な調べの記録を残すという可視化の目的は果たせない。取り調べの全 過程を録音・録画する必要がある」(日本弁護士会「取り調べの可視化実現本部」事務局次長 中西祐 一弁護士)(「東京新聞」3月5日)さらに立命館法科大学院の松宮孝明教授(刑事法)は、「事実無 根な自白を強いられた冤罪被害者は多数いる。・・・特捜事件以外の調べにも問題があることは明白だ。 すべての事件、参考人の調べを全面可視化するとともに、自白偏重の捜査を見直すことが基本だ」 (同)

 法務省内でこうした検討が行われ始めた同時期の昨年12月2日、同省近くの弁護士会館で、「待 ったなし!今こそ可視化の実現を 冤罪はこうして作られる」と題する市民集会が開催された。そこ で、足利事件の菅家さんとともに布川事件の二人の冤罪被害者も訴えた。桜井さんは「警察は、殴った り蹴ったりする不法行為をしているから可視化ができない。日本の警察官は、取り調べ技術を磨こう としていない」(「しんぶん赤旗」2010年12月3日)と指摘。杉山さんは、「自白強要で冤罪の 調書が作られた」(同)と、密室での取り調べの怖さを訴えた。

 布川事件の「再審・完全無罪」を勝ち取りつつあるその力が「検察改革の中心課題の一つである 「全面可視化」への扉をも開いていくことを強く願うものである。 (2011年3月16日記)

以上


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● その後の正常な組織とは (大組織の腐敗)

ペンネーム:一市民

 生物社会では集団組織を作ってその中で作業を分担し組織体を構成し外敵や気候の変化等に備えて生活し ている物が多い。蟻塚・蜂の巣・魚類の集団・もっと進化した生物では猿の集団等があり、人間社会も国単 位で集団を作り生活に必要な作業を分担して暮らしている(国内紛争は除く)。

 日本も他国と同じく集団内にさまざまな官公庁や大会社・中小企業・農業等の組織や集団があり必要事項 を分担して国として機能しています。皆さまご存じの通り日本には日本特有の習慣や価値観がありますが、 困った習慣もあります。

 人間の組織・集団は大きくなる程腐敗していくという点で、恐らく原因は人間の管理能力を超えた大きな 組織程腐敗が早いのだと想像しています。

 組織体の中には様々な公式・非公式のパイプが通り情報が流れていますが、流れている情報は当然部外者 には解りませんが一般市民から見ても非常識な情報が流れている場合があると思われます。

 一例としては内部告発した警察の仙波さんの退職日一人も見送りに出なかったのが象徴的です。正しい事 をしたのにその組織体が生命を持つ如く組織として反発したのは一市民としては非常に恐ろしくその組織の 将来が如何なるか多くの市民の目で見ている必要があると思います、内部に甘く外部に辛い組織はもう沢山 です。

 現在の官公庁で問題となる大きな問題は取りあえず2点あり

  1. エリート制度:   ある人が過去の時点で、ある資格を取ったと言う事で現在の能力を表している訳ではないので廃止す べきです。
  2. 過去の法律・判例等   モンゴルのチンギス・ハーンおよびその息子のオゴディ・ハーンが耶律楚材の「一利を興すは一害を除 くに如かず」
と言った言葉を守り、モンゴル大帝国を作った様に過去の、現在に当てはまらない法律・習慣はどんどん削 除すべきで、その後に一利を考えるべきです。 不祥事を起こした場合、民間では左遷される様な事が3か月給与の2割カット等非常に甘いのも問題ですね。

官公庁・政治家等は一般市民の常識に合わない理論(?)が多すぎます。官公庁の組織の腐敗は早急に改善 しないと江戸末期よりもっと怖い黒船が来て日本の独立が無くなる事がありえると考えます。子孫に税金の 付けを回す以上に怖い事です。その為にも警察・検察・裁判官にも頑張ってもらわないと・・・。

以上


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● 編集後記

「警察見張番だより」の発行は、これまでにも毎号何らかのトラブルを乗り越えて発行して参りましたが、 今号ほど、編集が上手く行かなかったことはありませんでした。読みにくい所が多々ありますが、ご勘弁を!  

(生田典子)


@次に、今警察見張番で支援している、神奈川県人事委員会に対する、神奈川県警分限免職処分取消審査請求 の第3回審査期日において陳述された代理人の陳述内容と、傍聴された会員の投稿をご紹介します。
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● 県警の手続違背について

(弁護士 鈴木 健)

ある者を分限処分に付する場合、その処分の適法性ないし妥当性を判断する要素として、被処分者に対して、 適切かつ十分な指導・教養が実施されたか否かが問題となります。適切かつ十分な指導・教養が実施されな いまま、分限処分、とくに分限免職処分に付することは、被処分者に対する公正な処分とは言えず、違法と の評価を免れません。

 神奈川県警察勤務成績不良職員指導・教養実施要項第12条第3項、同第4項によれば、「勤務成績不良 職員が指導・教養を受けたときは、その都度、その内容を指導・教養記録表(第4号様式)の「指導・教養 事項」欄に具体的に記載し、人事管理担当者等に提出する。そして、人事管理担当者等は、指導・教養を行 ったときは、その都度、その結果を指導・教養記録表の「指導・教養状況」欄に具体的に記録し、毎月所属 長に報告する。」と定められています。勤務成績不良職員にどのような指導・教養を受けたかを記載させた 上で、人事管理担当者等が、どのような指導・教養を行ったか記載し提出するのでなければ意味がありませ ん。

 しかるに、人事管理担当の長である佐藤幸司警部が作成した指導・教養記録表のうち、平成20年12月 17日付(乙26)、平成21年1月29日付(乙87添付23)、平成21年2月12日付(乙84)の ものは、先に佐藤警部が「指導・教養状況」欄を適当に記載した上で、請求人に対し、それに合うような内 容を「指導・教養事項」欄に書くように指示して作成したものです。

 すなわち、本日提出した甲1、甲2、甲3は、それぞれ、乙26、乙87添付23、乙84の「指導・教 養状況」欄を佐藤警部が先に記載した上で、請求人に対し、それに合うような内容を書くように指示して渡 されたものに、自ら「指導・教養事項」欄に記載し、相模原南署に提出する前にコピーを取っていたもので す。決済印欄に決済印が押されていないもののコピーを請求人が所持していることから、「指導・教養状況」 欄の方が先に記載されていたことが分かります。

 このような「指導教養記録表」の作成経過を見る限り、佐藤警部補には、真に請求人を指導・教養するつ もりなどなく、いつか請求人を分限処分にするための資料作りをしようとの目的しかなかったことが明白で す。このような者は「人事管理担当者」に全くふさわしくありませんし、なされたことも「指導・教養」と 呼ぶに値しません。甲4は、佐藤警部の後任である菱沼國明警部が乙96の「指導・教養状況」欄を記載し て請求人に渡したものに、請求人が「指導・教養事項」欄を下書きしたものであり、菱沼警部についても、 佐藤警部と同様のことがいえます。

 また、処分者より提出されている指導・教養記録表や報告書等の中には、指導・教養を受けたことにより 実が上がっていることを示す記載も散見されます。

     
  • 平成20年1月29日に行われた教養において、「佐藤課長の教養通りだと私も感じましたので不良職 員指定解除にできるよう努力したいと思います。」と述べています(乙87添付23)。  
  • 平成21年3月13日に西智希警部補が行った面接において、「まずは交番勤務が出来る知識や力をつ けないとな。」との問いかけに対し最終的に「明日から交番に戻ってもいいですよ。」と答えています (乙86)。  
  • 平成21年3月の指導状況について「一つ一つ注意したところ、「これまではこれで上手くいってたん です。」等と申し立てながらも、指示に従い是正した。」と報告されています(乙65)。  
  • 平成21年4月20日に行われた、マンションに対する巡回連絡に関し、「巡回連絡の重要性が少し理 解出来た。」と答えています(乙89)。  
  • 平成21年4月の指導状況について「(巡回連絡につき)面接を重ねるごとに慣れてきたこともあり、 おおむね単独でも行えるようになった。」と報告されています(乙65)。  
  • 平成21年5月の指導状況について「(街頭活動につき)最初はなかなか声かけが出来ずにいたが、民 間交番前で立番をしながら、通行者に声をかけたり、警ら中すれ違った自転車を追いかけて止めたりするな ど、おおむね自分自身の判断で職務質問を行えるようになった。」と報告されています(乙65)。  
  • 平成21年9月24日に行われた教養において、「将来的には勤務成績不良職員を解除し、一人前の警 察官になるよう頑張りたいです」と述べています(乙91)。  
  • 平成21年9月26日に行われた、「一日交番お巡りさん」勤務に関し、「暑い中、ぬいぐるみを着用 し、汗だくになりながら防犯キャンペーンに貢献した。小学生が制服着用の際も積極的に着替えを手伝って いる姿が見られた。」と評価されています(乙92)。  
  • 平成21年12月8日に行われた教養において、「職場にいる以上前向きな考えを持ち元気に仕事を出 来るようにしたい。」と述べています(乙98)。

 しかるに、これらの事実は、指導・教養結果検証報告書、勤務成績不良職員継続申請書、分限に関する申 立書などに、一切反映されていません。このことは結局、上司の命令に黙って従おうとしてこなかった請求 人を、いつか分限免職にしてやろうと目論んでいた処分者が、さして実効性の上がらないような指導・教養 を行ったという形だけを整えたうえで、指導・教養の対象にもならなかったような、請求人が過去に行った 些細な問題行動を持ち出して分限事由とし、分限免職にしたのが実態であることを、優に推認させるもので す。

 請求人が警察官として勤務する上で一貫して持っているのは、おかしいと思うことは率直に言って改善し ていきたいという姿勢ないし考え方です。そのことは、分限理由にされた見分メモの提出拒否、帯革をつけ ての立番勤務拒否、振り込め詐欺被害防止チラシ作成に対する異議がそうですし、その他にも、教養におい て「与えられた仕事であれば一生懸命取り組み無駄な苦労にストレスを感じたら改革したいです。」と記載 したり(乙84)、「交番勤務っていったって自転車を照会するだけですから。何かおかしいと思うんです よね。」と発言していること(乙87添付10)からも明らかです。

 これに対し、ある程度請求者の言い分にも理解を示しつつ、組織の一員としてうまくやっていくために最 低限心得るべきことを諭すような接し方を請求者に対ししてきた警察官に対しては、請求者も心を開いてい ます。西智希警部補の指導や教養に対する反応や、村田彰夫教育参与の教養に対する反応がそうです。村田 彰夫教育参与が記載するように、周りの警察官がみな請求人に対し「全体を通じて、気持が揺れ動いている 現状であり、「暖かく、かつ厳しく」指導し、自分の状況がどの段階にあるのか提示していくことが必要で あると思う。」(乙82)というような姿勢で接すれば、請求人も自分の持つ問題点に対しもっと積極的に 改善するよう取り組んだであろうことは間違いありません。

 しかるに、人事管理担当者である佐藤幸司警部は、請求人に対しそのような接し方をせず、上司の命令に は黙って従えという結論だけを押しつけました。それゆえ、請求人と佐藤警部との直接のやりとりにおいて は、請求人が佐藤警部に対しぶっきらぼうな物の言い方をしている部分が散見される結果となっています。 このことは、「上司の命令はその内容がどんなに不合理であっても絶対に従う」という、警察の旧態依然と した体質に浸かりきった上層部こそが、真に指導・教養して請求人を改善させようなどという気持が全くな く、請求人を精神的に追い詰めることで辞職に追い込もうと目論んだところ果たせなかったことから、分限 免職に追い込むことをはじめから決めていて、本件要項の手続に従ったという体裁を整えたに過ぎなかった ことを示しています。これでは、適切かつ十分な指導・教養が実施されたなどとは全く評価できないことは 明らかです。

 以上より、請求人を分限免職処分にする合理的理由はなく、本件分限免職は権限の濫用であり違法無効で あることは明らかです。

(以上)


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● <傍聴参加記>

(木村宏道)

 私たち“警察見張番”で支援している、森川氏(=神奈川県警察官)の分限処分取消を求め る神奈川県人事委員会第3回口頭審理が、去る2月9日(水)午前11時〜12時の間、横浜 市中区にある自治会館7階音楽室にて行われました。

 森川氏の弁護にあたる鈴木、清水両弁護士は、今回森川氏の分限免職処分が手続き通りに行わ れていないこと、不良警察官に指定された森川氏に対して県警側当局は具体的に実のある指導、 教育がなされていなかったこと、森川氏の言動が改善された部分についての報告が意図的に無 視されていたことなどを口頭陳述しました。

 私は今回傍聴に参加して、事の真相はどこにあったのか、県警当局が森川氏の“振り込め詐 欺について県民向けの大量のチラシを見て、こんなに大量に作って大変無駄である”との発言 や、交際していた女性の名前を上司に報告しなかったりという言動を一方的に“不良警察官” と決めつけ、分限処分(=解雇)をしたのが事の真相ではないかと思えてならない。

 森川氏の見えたことを素直に発言する人は、上には絶対服従の自由のない警察社会にとって、 異端分子と決めつけ、一日たりとも警察内にとどめてはならないとして、分限処分(=解雇) をしたのである。

 このようなことは、現憲法で保障している“自由”を根底から否定する許し難い行為であ ると云えよう。

 私は今後森川氏の職場復帰を勝ち取るため多くの市民・県民と手をつなぎ、様々な行動で奮 闘したいと思います。

(以上)


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● <投稿>

(渡邉梨花)

  先日、森川さんの口頭審理が行われました。
  開始時間まぎわに到着した私は、受付係に会場を尋ねました。ところが、受付係は、知らぬ存ぜぬ の一点ばり。その表情に、何かあるな、と感じた私は観念し、一部屋一部屋確認してゆくハメとなりま した。その理由は後に判明しましたが、ここでも権力側の意図を感じました。

  この日も森川さんは、私にまで丁寧に挨拶してくださり、恐縮いたしました。 不当処分を受けただけでも参ってしまうことでしょうに、訴えを起こすという事が如何に精神的に大変 なことか。私は森川さんに敬意を表します。

  森川さんのみならず、会社の不当労働行為や、薬害・公害、米兵や自衛隊員による犯罪、そして冤 罪等々、枚挙に暇がありませんが、大変な思いをしている方の如何に多いことか。それらすべてに共通 するのは、権力側に依るものであり、そしてそこには金や地位がつきものである、ということです。

  苦しめられている人々と行動を共にすることは、人間として極めて当たり前の事と、存じます。事 件の数は多すぎるほどですが、私たちは、権力側に屈することなく、辛くとも運動を大きくしてゆ かねば・・・と存じます。その為に私も出来るだけのことをさせていただければ、と思っておりま す。

以上


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