警察見張番だより 第37号
(2011.12.17.)

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***37号もくじ***
● 「一日署長」に思う ・・・・・・・岡村共栄

●佐久間先生のお墓参りに行ってきました ・・・・・・・吉田 宏

●布川事件、足利事件の取調べから見えるもの ・・・・・・・木村幸造

●無罪勝ちとり こんなに気持ちが安らぐとは ・・・・・・・桜井昌司

●40数年の長い道のり回想して喜びに浸っています ・・・・・・・杉山卓男

●いよいよ佳境に入ってきた相川事件・森川事件  ・・・・・・・鈴木 健

●<投稿・目撃者>さんより ・・・・・・・

● 見張番2011年総会報告 ・・・・・・・ 鈴木 健

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 ● 「一日署長」に思う

(岡村 共栄)

 

警察のイベントで「一日署長」などというのがある。タレントなどを「一日署長」にして、覚せい 剤撲滅や、振り込め詐欺防止のキャンペーンなどを街頭で行う。警察官の飲酒運転だとか、痴漢だ とか、スキャンダルが頻繁に報道されているなかで、警察署のイメージアップにタレントの笑顔で、 その実態を隠蔽しようという意図もあるのだろう。

ある新聞で野田首相について「一日総理」だなどと揶揄するものがあった。2年前の政権交代では、 野田さんも含めて国民の誰もが彼が首相になるだろうとは思っていなかったろう。降って沸いたよ うに突然総理の椅子に座ったのだから、21世紀の天下国家をどうするか構想を描く余裕もなかっ たのであろう。

「使い走り内閣」ともいわれるが、普天間やTPPにしても、復興や社会保障と税の一体改革にし ても、アメリカと財界の言い分さえ代弁していれば、総理の椅子に座り続けることができるだろう と考えているのではないか。

21世紀の国政の責任者として生存権や幸福追求権など、国民の基本的人権を守り発展させるとい う発想は、どこを見ても出てこない。さわやかタレントの笑顔ならいいが、どじょう顔の「一日総 理」では、国民も半日で辞めてくれといいたくなるだろう。

タレントを使った警察の「一日署長」のキャンペーンもいいが、それに浮かれて市民の基本的人権 を大切に守ることは、忘れてもらいたくないものだ。私たちのウォッチングが必要な所以である。

(以上)


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● 佐久間先生のお墓参りに行ってきました

吉田  宏

佐久間先生のお墓参りを計画して、7月24日に役員5名が13時JR港南台駅集合で、 日野公園墓地に赴いたが管理事務所が休みだったこともあり、場所が特定出来ず実現出来 ませんでした。

何とか実現させたいと、前もって管理事務所に行って、職員に聞いて場所 を確認出来たので、11月12日(土)に計画し、役員5名が参加して、無事にお墓参り をすることが出来ました。

以上


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● 布川事件、足利事件の取調べから見えるもの

木村 幸造

7月、警察見張番2011年総会で布川事件再審無罪勝利報告を聞きました。44年間、無罪を 訴え続けてきた櫻井昌司さんと杉山卓男さん、弁護士の佐伯剛先生の報告を聞いて警察と検察の 取調べが我々の想像以上に不当なものである事が判った。

 自白偏重の警察官、検察官の密室での「自白のみを求める」取調べが冤罪を生む元になってい ることは足利事件でも明白である。警察署で長時間にわたる自白を強要する取調べは、恐怖感を 植えつける以外の何ものでもない。

 知り合いから検察官の取調べを受けた話を聞く機会があった。まったくひどいものだったと言 う。「お前は人間じゃない」「最低の人だ」「ヤロー、テメー、バカヤロウー」「お前ら車を運 転しているが、いつでも安全運転義務違反でしょっ引いていけるんだぞ」。こいつは本当に検察 官なのかと思ったと言う。今も忘れることができないと話していた。

 冤罪事件から市民を守る取調べの全過程の「可視化」、しかも検察の都合のよいところだけを 録音・録画選択をさせてはならない。総ての事件の取調べについて「可視化」が必要である。

<市民のための検察・警察であれ>
 新聞やテレビの社会面に殺人事件、強盗傷害事件、窃盗事件などが報道され、暗い道や人通り のないところはどこも犯罪が起きる危険を感じるようになった。同時に住民の警察への不安が増 え、信頼が薄くなってきている。

  • ▽大分県警警部補麻薬所持の疑い
  • ▽大阪府警の巡査部長 組関係者から現金 内部情報漏らす
  • ▽警部が拳銃を誤発射
  • ▽巡査部長が虚偽調書。
これらは、ごく最近の新聞記事である。

 市民社会の監視・管理でなく、「住み良い地域づくり」をめざして、地域の絆をみんなで育 てる対策が必要である。開かれた警察のしくみが、市民に信頼されるもとになり、正義感を持 って警察官になった若い人たちがいつまでも犯罪を憎み、安全な地域社会をつくっているとい う姿勢を育て、それが持続することになる。

以上


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● 無罪勝ちとり こんなに気持ちが安らぐとは

(桜井 昌司)

皆さん、勝ちました!無罪です。

あの日から日ごとに安らかな気持ちになっています。総てを再審実現にと集中して頑張って来た 月日は、何時も何かに追われているようでした。心の中に修羅を抱え込んでいるみたいに、急ぎ 立てられ、突っ走って来ましたが、それらが消えて安らかになったのです。

こんな安らぎがあったのですね。忘れていました。

全く検察の証拠隠しに触れないなど、判決内容には問題があります。しかも、弁護団には判決要 旨の交付さえも渋った裁判長が、判決言い渡し直後、検察官には密かに判決「草稿」を渡してい た事が暴露されるなど、裁判の信頼性を疑わせる事実も明らかにされました。

これからは国賠裁判で追求しますし、新しい目標を得た思いになっていますが、今後の闘いは、 それはそれとして、今は素直に勝利を喜びたいと思います。

 長いながい43年7ヶ月でした。この勝利は、私を支えてくださった皆さんが存在しなければあ り得ませんでした。ご支援を下さった皆さんに、心から感謝申し上げます。有難うございまし た!

 この闘いの半ばに亡くなられた先生や御支援の皆さんを思いながら、私は自分の幸せを噛みし めています。皆さんの善意を知らなければ、今の私は存在しません。皆さんへのお礼は、今後の 私の生き方で致したいと考えています。

 警察と検察、それに裁判にある問題。それゆえに泣かされている沢山のえん罪仲間の存在を 社会に知らせるために、自分の全能力を使って活動します。何をするか、しでかすか、どうか皆 さん、今後の私をお見守りください。楽しみにしていてください。

 本当に本当に長い間、有難うございました!

(以上)


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● 40数年の長い道のり回想して喜びに浸っています

(杉山 卓男)

強盗殺人犯、その汚名が晴らされる日の朝8時30分、小雨降るなか私は家を出た。行き先は近くの ファミレス「サイゼリア」。この駐車場に沢山の報道陣が私を待っていた。判決を迎えるに当って の心境等を聞かれた。その後、日テレの車で上野に向かった。上野から土浦までの車中では、元毎 日放送の里見さんと一緒になり四方山話しをして過ごした。  土浦駅から裁判所前での取材と進行し、いよいよ判決言い渡しのために法廷に入った。

 「主文、強盗殺人については無罪」。当然の事を当然の宣告、ホッとした。その余の暴行事件等 については、懲役2年、執行猶予3年。若気の至りで犯した罪を反省する。

 その後、判決文の朗読。私がもっとも注目している自白の任意性について、裁判所は「任意性に 疑いがあることを払拭できない」と、全体的にあいまいな判決。この布川事件は何故起きたか、検 察の証拠隠しであることは明々白々なのに、一切触れなかった判決。

 裁判所の誤りについても何も言わなかったことに不満だった。最後に謝罪はいらないけれど「何 か一言あるか」と問いかけて欲しかった。

 裁判所の門のところでは、支援してくれている沢山の人たちが「バンザイ、バンザイ」と喜んで くれていたことが、せめてもの救いだった。

 この40数年の長い道のりを回想して、一応、ほんとに一応、喜びに浸っている。  支援者の皆さん、弁護団の先生方、本当にありがとうございました。そしてお疲れ様でした。

※上記の桜井さん、杉山さんの原稿は、「布川事件守る会ニュース6月15日号」より許可を得て転 載させていただきました(編集局より)。

(以上)


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● いよいよ佳境に入ってきた相川事件・森川事件

(弁護士 鈴木 健)

<相川事件について>
神奈川県警の現役巡査部長相川忠夫さんが、平成23年3月24日、神奈川県勤務成績不良 職員指導・教養実施要項に基づいて勤務成績不良職員と指定されたが、地方公務員法では、不利益 処分がされ、処分事由説明書の交付を請求された場合、15日以内に文書で交付しなければならな いことになっているところ(49条1〜3項)、当該巡査部長が交付を申請したにもかかわらず県 警が交付を拒絶したため、県警を相手取って、違法確認と慰謝料請求を求める訴訟を横浜地裁本庁 に提起した(この事件の内容、提訴に至る経緯について詳しくは、見張番だより第36号に掲載さ れた弁護士清水勉先生の記事をご覧下さい)。

 これまでに、7月28日、9月22日、11月1日、12月8日と4回の弁論が行われたが、県 警側は恐るべきことに、昭和63年と古い東京地裁の判決を持ち出し(事案は労働省のもの)、交 付しなくても違法ではないという論陣を展開してきた。

法律の条文に「交付しなければならない」と書いてあるのに、「交付しなくても違法ではない」 と、法の番人であるはずの警察が主張するというのは、本当に恐ろしい話である。原告側は、@前 記判例の考え方がそもそも誤りであること、A行政手続全体における適正手続の要請から、処分の 客観性を担保させ、かつ不服申立等の事後手続の便宜を図るという趣旨の下、不利益処分に際して 処分事由を提示することを一般的に義務化した行政手続法(14条1項)が平成6年10月1日に 施行されたことからすれば、尚更前記判例の考え方は通用しないことなどの反論を行った。

 次回は、平成24年2月7日(火)13:10、横浜地裁において弁論が行われ、損害論の立証 のため相川さんの陳述書が提出され、相川さん本人尋問の要否が決定される予定である。

<森川事件について>  
去る平成23年11月29日、神奈川県警の森川岳幸警察官が分限免職の処分を受けたのを 不服として神奈川県人事委員会に対し免職処分取消の審査請求をしている事件の第1回証人尋問期 日が開かれた(この際の様子については、次回見張番だよりに掲載する予定です)。この日は、県 警側の証人3名の尋問が行われた。1人は、当時相模原南警察署において森川さんの直属の上司だ った者、1人は、不良警察官に認定された森川さんの人事管理担当者に任命された者、1人は、森 川さんの分限手続に中心的に関わった者であった。

次回第2回の証人尋問期日が、平成24年1月31日(火)10:00より、神奈川県中央農業 会館(地図参照)において行われる(ほぼ丸1日)。

 この日は、県警側の証人として、森川さんが不良警察官に認定された後、直接の指導係として配 置された警察官が出廷する。また、県警内部の問題体質を明らかにすべく、申立人側の証人として 上記相川忠夫さんが出廷し、さらに、森川さん本人の本人尋問が行われる。

 森川さんが警察官として不適格者であったか否かは、この日に決せられる正念場と言っても過言 ではない。会員の皆様におかれても、多数傍聴に来ていただき、森川さんの支援をお願いしたい。

(以上)


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● <投稿・目撃者>さんより 

<投稿>目撃者さんより  
川崎臨港署の交通課の人が電話で「ふざけた応対」について投稿させてもらいたいと 思います。まずは、交通事故を目撃し、直ぐ後に電話で川崎臨港署に電話をして、最初に対 応した川崎臨港署の交換手続きの人が担当してその交通課の○○さんが電話に出た対応が 「はい!○○さんです」!と言われ、自分の名前に、「さん」付けをされて私は不快に感じ て、警察の対応がそれでいいのかと思い今回投稿させてもらいました。ですので警察署員が ふざけた対応について、良くないと感じます。神奈川県民の方々はどのように思われるので しょうか?

<投稿>続報、横浜市民さん
前号において保土ヶ谷警察署員が道路交通法のシートベルト装置義務違反(同乗者) の、いわゆる「揉み消し」をしていると思われる件で、当初神奈川県警本部の広報県民課に 報告を入れ、後日どのように対処するかを申し入れました。その後の経過は次の通りです。
  • @広報県民課は当該の所轄(保土ヶ谷警察署)にて回答を求めて下さい。
  • Aその所轄に今回の事案を説明した結果、広報県民課よりの文章にて確認が取れ担当者 (地域課の警部)が判明したがその日は不在であった。
  • B後日担当者と連絡が取れ話し合った結果、当方の名前等を告知して頂けない場合は何も お話しが進展しませんとのことで決裂。なぜならば当初から匿名で申し立てをしているので 当方の名前等をしるよしがないのである。
以上のことを踏まえて次号にて報告いたします。
<投稿>目撃者さんより
平成23年12月7日 22時30分頃 京急日ノ出町駅付近道路上で消防車や救急車や 警察車輌が4台いるものものしい所を偶然通りかかり、事故か事件だな感じその状況をしば らく見ていると、ある警察官ひとりだけが職務中にも関わらず「ガムをくちゃくちゃ噛みな がら職務遂行」していたのです。その警察官は身長180cm位で年齢は40歳前後に見え る体格のいい男性で、通常である警察官の制服は着用しておらず、上着が紺色の防寒着を着 ていた警察官でした。私はやっぱり神奈川県警には良くない警察官及び職員もいまだいるん だなと思いました

以上


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***見張番2011年総会報告***

 去る7月24日、県民サポートセンター1501号室において、警察見張番2011年総会 が行われました。

 講演は、布川事件再審無罪勝利報告を、弁護団の佐伯剛弁護士と、当事者の桜井昌司さん、 杉山卓男さんにしていただきました(桜井さんと杉山さんの手記については原稿を別に掲載し ましたので、そちらをお読み下さい)。

 総会事項としては、1年間の活動報告及び次年度の活動方針を確認し、決算・予算及び人事 案の承認が行われました。

 今回は、警察見張番発足以来会計を務めていただいた本郷敏子さんに代わり矢島慎豊さんが 会計に就任、本郷さんは普通の事務局として引き続きご活躍いただきます。また、渡邉梨花さ んに新たに役員に就任いただきました。

 先の原稿でも書きましたが、現在警察見張番で支援している相川事件・森川事件ともに手続 が佳境に差し掛かっています。このお二人の手続に勝ち切ることが、今後神奈川県警がよりよ い県警となるためのきっかけとなると考えていますので、ぜひ、お時間の許す方は傍聴に足を お運び下さい。

※この見張番だよりでは、皆様からの原稿を募集しております。投稿は、 ken-suzuki@bashamichi-law.jpまで。

(弁護士 鈴木 健)


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