警察見張番だより第5号の2
(2001.09.06.)

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● 総会に参加して            (佐々木玲吉)

● 特別講演               (寺澤 有) 

● 事務局より

● 編集後記


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● 総会に参加して            (佐々木玲吉)
「警察見張番」2001年度総会が、7月31日(金)6時半から県民ホールで開かれま
した。参加者は約35人でした。司会は、生田典子さん。最初に会の進め方について説明
があり、一部と二部に分かれて始まりました。一部は、警察・検察庁・裁判所・会計検査
院など聖域となりがちな組織の腐敗を追及しているフリージャーナリスト寺澤有氏の記念
講演。二部は、事務局の山田泰弁護士から活動報告・活動方針などがあり、また、事務的
な報告の外に、渡邊泉郎元神奈川県警本部長などの刑事確定記録を閲覧していることにつ
いて、鈴木健弁護士から報告がありました。まだ、途中であるために全体像は発表されま
せんでしたが、県民に還元するためには、どういう方法がいいか、検討中だということで
すから、今後の報告が楽しみです。それぞれの報告の詳細は、「見張番だより」第5号に
書かれると思いますので、私は、寺澤有氏の講演「神奈川県警はかわったか?」のあらま
しを報告します。
          ◇
  昨年3月、相次ぐ警察の「不祥事」に対処するため、日本テレビ放送社長・氏家斉一郎
氏を座長とする「警察刷新会議」が開かれ、7月に提言が出されたが、身内に甘い警察の
隠蔽体質はなんら変わっていない。その後にも後を絶たない警察の「不祥事」を見ればそ
れは証明されている。

  今、外務省の高級官僚による高額な公金横領事件が連続して発覚し、世間を賑わして
いるが、それらを取り締まるはずの警視庁で機動隊員の交通費などをネコババして、年間
12億円もの裏金を作っているのである。(詳細は、「警察見張番だより」第4号を参照)
これらは、全国の警察でも大なり小なり行われていると思う。こうした警察の体質を変え
るためには、「警察を取り締まる警察」が必要である。そして、警察内部の情報は、もっ
ともっと公開されるべきである。そのためにも、こうした「警察見張番」組織は、非常に
すばらしい。神奈川県だけでなく、全国に広まるようにガンバって欲しい。期待している。
          
           ◇
と結ばれました。過大な期待と評価に面はゆく感じると同時に、頑張らなければという思
いがしています。神奈川県も改正した条例が、この秋からは施行されますから、警察にも
公安委員会にも情報公開を請求することができます。私たち「警察見張番」の活動も本格
的になっていくでしょう。

 最後に、「警察見張番」の代表でもある横浜国大教授・北川善英氏から、「終わりのこ
とば」が述べられました。
 「今、わが国のあらゆる機関は金属疲労をおこしている。いずれの職場でも50歳近く
になると、第二の人生・次の職場のために、みな浮き足立っている。そこで、60歳定年
までフルに働けるように、その後も安心して暮らせるようにすることは、大切なことだ」
と言われ、特にキャリア警察官の天下り先に関しても触れられました。

 それぞれの立場から、奥行き深い意見が述べられ、今後の活動の参考になることばかり
でした。

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● 特別講演               (寺澤 有)
寺澤です。「警察見張番」発足1周年の区切りの総会にお招きいただきまして、ありがとう
ございます。

まず「神奈川県警は変わったか」ということですが、私は当初「警察は変わったか」という
演題を主催者側にお伝えしました。ところが警察見張番の活動の本拠地が神奈川県にあると
いうことで「神奈川県警は…」という題になったと思います。
 警察見張番という組織は全国に一つしかありません。この組織をどうか全国に波及させて
いただきたいと思います。
 
市民オンブズマン組織も、名古屋で発足しました。当時私はPL法(製造物責任法)を制定
する運動を行っていまして、名古屋のオンブズマンと一緒に活動していました。当時はオン
ブズマンが組織が全国に波及していくとは思いませんでした。しかしオンブズマンの活動は
大きな成果をあげて市民に評価され、全国的に展開しています。
 
「警察見張番」も全国へ波及させていただきたいと思います。現在警察見張番は渡邊泉郎元
神奈川県警本部長の証拠隠滅事件の一件記録を横浜地検で閲覧しているとのことです。その
ことによって警察の隠蔽体質を世に知らしめることができます。活動が市民に評価されれば
多くの情報が市民から寄せられることでしょう。そして寄せられた情報をもとに、追及して
いく、そういう好循環が期待できます。ぜひマスコミに取り上げられるような大きな成果を
期待したいと思います。
 
地方では警察問題に取り組もうとしても、弁護士が少なく、孤立しがちです。地方に住む人
にとっては警察見張番のような組織は心強い存在になり得ると思います。神奈川県という活
動範囲にわざわざ絞らず、ぜひ全国に視野を広げて活動していただきたいと思います。
 
深刻な警察問題の発覚というものは、ある日突然ドンとマスコミで報じられるというもので
はありません。渡邊本部長の事件も最初は「酒寄という警察官の男女間のトラブル」という
程度の情報が私のところや編集部に寄せられただけです。それを調べてみて、はじめて組織
ぐるみの犯罪だったということがわかりました。そういうケースがほとんどなんです。
「警察見張番」の運営方針をぜひ考えてほしいと思います。
 
本題の「警察は変わったか」ということですが、これに一言で答えるならば「なにも変わっ
ていない」ということです。警察の隠蔽は今も行われています。5月27日の鶴見警察署長
のひき逃げ事件、その前の奈良佐川急便の贈収賄事件をみましても、それははっきりしてい
ます。
 
昔も今も警察の不正と隠蔽は行われています。それではなぜ1999年9月に一連の神奈川県警
「不祥事」が発覚したのか、私なりに考えてみました。警察のやることは度が過ぎるという
共通認識が記者達の間にありました。そういう背景があって、まずあの当時、外務省の資金
流用事件のような大きなニュースがなかったのではないか。次に事件が神奈川県警を舞台に
していたということです。警視庁なら、そのようなニュースを握りつぶしてもらう代わりに、
マスコミに取引として提供できるネタがいくらでもあるのです。三番目に、当時の本部長深
山という人のキャラクターが記者の反感をかった。四番目に、あの当時警察のスキャンダル
はよく売れた。警察を叩けば売れるという状態だった。五番目には、警察はマスコミにあれ
ほど叩かれることを想定していなかったのではないかと思います。警察にはスキャンダル発
覚に対する「危機管理」ができていなかった。とりあえずウソをつく、稚拙な隠ぺい工作を
行った。それがバレて、次々とウソと怠慢が発覚していくという悪循環が起こったのではな
いかと思います。現在の警察は「危機管理」が徹底していまして、隠蔽はより巧妙になって
いるのです。

最後に警察組織の不正、その諸悪の根源は「裏ガネ」だろうと思います。松橋忠光さんが
「わが罪はつねにわが前にあり」(現代教養文庫)に書かれていますが、昔から警察は税金
をネコババしています。それについて警察庁は一貫してシラを切り通しているのです。警察
見張番にはカネの面のチェックもぜひやっていただきたいと思います。

何度も申し上げますが、警察見張番の組織はぜひ全国に波及させていただきたいと思います。
多くの市民が待ち望んでいるのですから。
               (文責・犀川)

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● 事務局よりからのお知らせ
1  次回の「警察見張番」定例会の日程が決まっておりません。おそらく10月下旬に
なると思いますが、会員の皆様には、改めて日時・場所をお知らせいたします。定例会の
持ち方、場所などについても、皆様のご希望・いいアイディアなどがありましたら事務局
の方へご連絡ください。
なお、連絡はファックスでお願いいたします。

2  総会に参加なさった方へ。議事録の中で、新人事の項・事務局の中に杉本三郎さん
のお名前が抜けておりました。お詫びして訂正いたします。


☆カンパ、有難うございました。
徳田洋治さん、芥川保志さん、柴崎敏廣さん、
小島重光さん、丸山ムツ子、佐久間哲雄さん、
村角竜一郎さん、中込由花里さん、露松一さん
からカンパをいただきました。感謝感謝です!

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● 私もひとこと
◆警察庁と警視庁が組織ぐるみで励んでいる年間12億円の裏ガネって、今問題になってい
る「21世紀座」を毎年、毎年建設している金額なんですよね。寺澤氏の静かなスピーチは、
「税金ドロボウ」を許さない、彼の決意を感じました。その後、鈴木氏の「刑事確定記録を
10回も閲覧し、メモをとっている」との活動報告では、「汗をふきふき、黙々と記録して
いる姿」が目の前にチラツキ、思わず頭が下がりました。この資料報告は絶対ナマで聞きた
い!1年ぶりの総会参加は、ナマに意義あり、でした。(M)

◆個人的な問題にも取り組むべきだ。それこそ、警察問題の本質にせまることになる。(H)

◆「見張番」の足腰がもう少し強くなったら、個人的問題も含めて、問題毎に担当グループ
を決めて取り組むことも可能となる。(K)

◆栃木県でも「市民オンブズパーソン」が中心になって「どうなってるの、日本の警察?警
察は本当に市民の味方か」というシンポジウムをひらいています。神奈川が1999年の秋
と2000年冬「これで良いのか、神奈川県警!」というシンポジウムを開き、この「警察
見張番」組織ができたことを考えると、やがて栃木にも「見張番」ができるのではないでし
ょうか。(I)

◆市民オンブズマン全国大会に参加して、各地のオンブズマンが、警察の問題に取り組んで
いることがわかった。例えば、「仙台市民オンブズマン」は、県警本部刑事部などの報償費
関連文書を開示請求し、公開されたことが報告された。まだまだ、墨塗り部分が多いという
ことだが、オンブズマンが情報公開請求を行政にした初期の頃も同様だったことを考えると、
みなが情報公開請求をしつづけることによって、警察も変わってくるのではないか。(R) 

◆ちっとも変わっとらんじゃないか。これが日本の警察組織なんだね。呆れると言うより悲
しいねえ。「隠蔽」とかけて「神奈川県警」と解く。その心は「闇の中」。これじゃあ、ナ
ゾにもなりゃしない。(S)

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編集後記:
 今年は、ことのほか暑い夏でした。熱中症に罹った人もかなりいました。皆様はいかが
でしたか。
 「警察見張番」も一年が過ぎ、活動もいよいよ本番になります。総会でも、いろいろな
方から「新聞を賑わしている問題にも取り組め」 「全国に活動を広げろ」等々の叱咤激
励をいただきました。その熱い思いに、「見張番」もチョット熱中症に罹りそうなところ
もあります。
 この「たより」の編集がほとんど終わり、印刷をするばかりになる頃、神奈川県警は、
またいろいろとやってくれました。
 「見張番」の仕事も増えるばかりです。人手が足りません。サポートをよろしく。

                          (生田典子)

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