警察見張番だより**号の2
(2003年7月17日発行)

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***** もくじ *****

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● 桶川ストーカー事件余談        (本郷 敏子)

● 防災警察常任委員会傍聴記        (生田 典子)

● 常任委員会はじめての傍聴 
        (日本国民救援会神奈川本部 石川 利夫)

● 編集後記


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● 桶川ストーカー事件余談    (本郷 敏子)
◇高裁の傍聴に出かけて
 5月16日、見張番定例会は桶川事件を取り上げ、担当弁護士の中山福二さんをお招き
して、事件の真相と警察の対応についてお話していただきました。
 一審は原告敗訴。6月11日は控訴審の初日。高裁の門前には記者数名とカメラマン。
入口には探知機が置かれ、チェックは空港なみ。10時開廷。812号室へ行くが、人の
気配なし。1Fロビーの警備員は、傍聴者は外で順番待ちでは、と言う。外に出たが、そ
の姿なし。再度探知機をくぐり、中央案内の警備員に聞くと、地裁側の12F事務局へ、
と。エレベーターは、省エネで各F止まり。傍聴券は数枚残っているが、1F特号法廷入
口で、職員が待機しているとのこと。
 高裁側の廊下を走ってエレベーターに飛び込みました。入廷したときは、10時15分
です。傍聴席、マスコミ席はほぼ満席。やっと間に合ったというのに、聞こえてきたのは、
裁判長の「次回はいつにしますか」という日程を相談する言葉でした。閉廷直前だったの
です。私は、例会での予備知識もあり、原告側の陳述を聴きたかったのです。法廷の変更
など事前に問い合わせて行く必要を痛感しています。

◇弁護士会館での報告集会に学生たちが
 原告団側が記者会見中のため、報告集会の会場設営に、若い女性や男性たちが戸惑いな
がら机を縦にしたり、横にしたりしています。
 そこへ、先輩格の大人2・3人が口も手も出しながらアドバイス。やがて、原告団側、
傍聴・支援者側というように会場が整えられました。ほほえましさと、大人のセッカチさ
とが、いい雰囲気でした。この裁判を勝利に導く予感がしました。
 この控訴審の前、5月31日に、「桶川女子大生ストーカー事件の国家賠償請求訴訟を
支援する会」が発足しました。学生さんたちは、発足会場になった上智大学ゼミの学生と
いうことでした。「支援する会」の呼びかけもあって傍聴者も多く、それで急遽会場も特
号法廷に変更されたのだと思います。「警察の違法行為を裁く」支援傍聴を、私も見張番
の会員のみなさまに呼びかけます。

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● 防災警察常任委員会傍聴記   (生田 典子 )
◇そもそもの始まりは
 1999年秋、次々と発覚された神奈川県警の「不祥事」でした。私たちは「これで
いいのか神奈川県警」というシンポジウムを開き、その集会の中でも溢れんばかりに出
てくる県警の「不祥事」に、県の防災警察常任委員会ではこれらの問題をどう取り上げ
どんな議論をしているのか知りたくなりました。そこで、早速傍聴申請をしましたが、
理由も告げられず不許可になったのです。県議会広報誌「こんにちは県議会」にも「開
かれた議会」という見出しをつけているのです。まさか常任委員会の傍聴を許可しない
とは思いもしないことでした。それでも、3分間の冒頭陳述ができることを知り、私も
含めて3人が3分間の陳述準備をしました。が、なんと3人で3分間だったのです。
結局一人が3分間話した方が有効であると判断し、大川弁護士が陳述をしました。議員
たちは聞いていたのかどうか。その際私たちは、出入り口近くの端に立ったままです。
3分が過ぎたら、「ハイ終わり」と追い出されました。悔しいけれど単なるセレモニー
で終わりました。それからは、会期ごとに傍聴を申請し続け、傍聴権侵害だとして横浜
地裁に提訴もし、条例の改正を求める請願も提出しました。
 03年7月3日・8日、やっと傍聴ができるところまでこぎつけたのです。

◇入室するまでが大変
 傍聴ができるようになったと言っても、その前の事務手続きが大変です。朝10時ま
でに、議会事務局へ傍聴申出の用紙を提出しなければなりません。8人の定員を超えた
場合は、籤引きです。しかも籤に当たっただけではただの内定者なのです。委員会が始
まり、委員長が一人ずつ傍聴希望者の住所氏名を読み上げて委員会に諮り、「異議なし」
の声のあと、担当職員が私たちに伝えに来るのです。それまで、傍聴内定者は控室で待
たされます。控室と言っても、8階の男子トイレの横、廊下のような場所です。壁際に
椅子を並べてありますが、両側に座った人の間を通るときは足が当たるほどの狭さです。

 午後だけを傍聴したい場合は、12時半までに議会事務局へ行き、同様の手続きをし
なければなりません。
 7月3日は朝から傍聴を希望しました。幸い定員を超えなかったので、上記の手続き
後入室できましたが、8日は午後からの傍聴を希望したところ、定員オーバー(9人)
となり、籤を引くことになりました。竹ヒゴの先に赤い色がついていたら当たりです。
幸い私は当たり籤でしたが、外れた一人は、今回この広報誌に投票してくださった赤倉
さんでした。申し訳ない!当たり籤の人がハズレの人と交代することは禁じられている
のです。「抽選のときに不在だったら、その資格を失う」とか、やたらに厳しいんです
よ。これは、どこの指令(意識)なんでしょう。

◇部屋の中は・・・
 7月3日の場合、入室は9時45分。3年前に陳述のために入室した部屋です。U字
に並べられた議員席には、おやっ? 議員がいません。傍聴の可否を諮ったあと退出し
たわけ?
 ゆったりとした議員席と向かい合ってぎっしりと座っているのは、県警の本部長・各
部課長とその補佐職員たちです。議員席の脇に県の職員席、その後ろ少し離れて記者席、
そして傍聴席は出入り口のすぐ脇、赤いロープで囲まれた8席です。椅子は繋がってい
るために座り方も固定され、議員の方を見るために体を捩らなければなりません。傍聴
者数は午前中4名、午後6名でした。

◇いよいよ傍聴本番
 県警の大木総務部長からの報告から始まりました。「○○ページをお開きください」
とい言いながら犯罪の件数・検挙率の増減、犯罪の凶悪化、組織化、暴力団と暴走族の
関係、外国人による犯罪などなどを、数字を述べながらかなり細かく説明していきます。
傍聴者には資料が配付されてないため、耳をそばだてて聞いていてもメモをとるのが大
変です。今、神奈川県下の市町村では、ほとんどの議会で資料を配付しています。分厚
い資料の場合でも傍聴中に貸出して、傍聴終了時に返却するという方法をとっています。
私たちは、議員の顔を見るために傍聴を希望しているのではありません(でも、今回、
顔を見るのも態度を見るのも、とても役に立つことがわかりましたけどね)。議員先生
方は、資料を開いてメモしている様子はありません。長い報告が終わるのをひたすら待
っている、という感じです。眠っている人、タバコをすう人、やたらにコーヒーを飲む
人を見ながら、これはセレモニーなのだな、と理解しました。それにしても、なぜ、議
員だけがコーヒーやエビアンを飲めるのでしょう。禁煙・分煙の時代に、なぜ議員は平
気でタバコをすうことができるのでしょう。それにしても30分近くの単調な報告は、
なんとかならないのですかねえ。議員側も、報告側も、報告の仕方を改善しようとは思
わないのが不思議です。学校の授業だったら、学級崩壊が起きていることでしょう。
 最初の報告後、県警本部長からの5〜6分ほどの説明で、直ちに休憩に入りました。
午前中の委員会は、ただ報告を聞くだけだったのです。
 
◇午後の会議こそ議論が・・・
「時間を守らないのが議員」という言葉を聞いたことがありますが、午前も午後も定刻
通りには始まりませんでした。遅れてくる議員が多いからです。
 やっと始まった会議は、まず、午後の傍聴の可否を諮ったあと、自民党議員の質問か
らです。県知事の出したマニフェストに記載されている警官1500人増に関して、し
つこく「それをどう思うか」と迫ります。警務課長が警官数が不足しているので「心強
く感じる」と答えるや、細かい質問になり、地域総務課長、交通指導課長、本部長と長
いやりとりが行われました。聞きながら、これは、県民のために質疑応答をしているの
ではなく、事前に打ち合わせた内容をぶつけて、マニフェストがいかに意味のないもの
であるかを引き出したいだけらしいことが分かりました。答える県警サイドも、ボロが
出ないように分かりにくい表現をし、傍聴している我々はストレスが溜まるばかりでし
た。自民党から順に各会派が同じような質問を繰り返していきます。最後にようやくネ
ット犯罪や子ども110番など身近な問題に触れますが、時間が不足していることもあ
ってか突っ込んだところまでいかないうちに終了です。この質疑応答方式は、あまりに
も時間のムダが多く、また公平ではありません。各議員が自由に発言できず、議論もし
ない委員会ならば、形式行為に過ぎません。これでは、民主的な会議とは言えないでし
ょう。

 この状態は、7月8日の午後の場合も同様でした。「安全・安心のまちづくり」と言
いながらも、3日のやり取りとほとんど同じ質疑応答なのです。手を変え品を変えて質
問し、マニフェストがいかに思いつきのもので、おかしいという結論を引き出したかっ
たようです。
 午後の前半は、防災局の職員と、地震時の高圧ガス、コンビナート、ハザードマップ
などの質疑応答がありましたが、議員は質問するだけです。自分たちでも実際に街を歩
き事前調査し、検討していたら、「あ、そうですか。安全確保によろしくお願い致しま
す」と納得してしまわず、危機管理の弱点などを突くことが出来たのではないでしょう
か。傍聴している私は、「よろしくお願いしちゃって大丈夫なのかなあ」と不安でした。

 休憩後は、3日にすでに質問した内容をまたまた繰り返すなど、マニフェストに絡め
ての質疑応答が多く、「県民の安全を護る部分でこそ、このくらいしつこくやってよ」
と、ヤジを飛ばしたくなったほどです。県民の生活を護るためにどうすればよりよい警
察になるのか、という視点がないんですね。きっと。これでは、防災警察常任委員会が、
神奈川県警のチェック機関には、とうてい成り得ないでしょう。片や党利党略のために
しか質問せず、片や保身のためにしか答えないという「かたち」ができあがってしまい、
それでよしとしている現状を目の当たりにして、議員の存在理由について考え込んでし
まいました。実際に傍聴をすると、本当にいろいろなことが見えてきます。

 ちなみに、答弁する県警本部長が、青年のような若さだったことが非常に印象的でし
た。

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 ● 常任委員会はじめての傍聴 
(日本国民救援会神奈川本部 石川 利夫)

 7月3日(木)は、朝8時半から9時過ぎまで、「保土ヶ谷事件」の宣伝行動をJR横
浜駅前、市庁舎側で行いました。参加者7名で約600枚の「保土ヶ谷事件ニュース」を
配布しました。その後、常任委員会の傍聴のために県庁ロビーに向かいました。私は、防
災警察常任委員会の傍聴を希望。3日の傍聴希望者は、見張番から2名、「保土ヶ谷事件」
原告の久保佐紀子さんと私の4名でした。私たちには資料が配られず、数行の文字が箇条
書きになっているA4の紙が傍聴者席の上に置かれていただけでした。説明の声も聞き取
りにくく、内容を追うのが苦労でした。

 7月8日は、「保土ヶ谷事件」に関して提出した陳情書が審議される、と聞き期待して
傍聴席に座りました。「保土ヶ谷事件」に関しては、「被害者を監察医が司法解剖した証
拠として裁判所に提出した臓器が他人のもの」だとして、マスコミが報道しており、これ
は信ずべき理由があると私たちは考え、県としても事実を調べてしかるべき行政上の処置
をしてほしいと思い、陳情書を出したのです。

 ところが、二日とも委員長の司会で13人の各会派議員が順次質問し、県警の担当課長
や補佐らが挙手して答えるのみ。結局「暴走族」「交番」などから、知事のマニフェスト
に掲げられた警官1500人増問題と予算が質疑の中心でした。私たちの陳情に関しては、
5時を過ぎてからようやく陳情内容にそって議員からの質問になり、佐久間監察室長が
7〜8回応答しただけ。その間、わずか15分。その質疑応答の中で、「司法解剖は医師
の行為で、監察医の行為と違う。監察医は、県知事の委嘱で、県警とは関係ない。また、
係争中の問題には意見を述べられぬ。臓器のDNA鑑定結果については意見を言う立場に
ない」などと述べて、裁判法廷で代理人が言っていることとの食い違いが感じられました。

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編集後記:
 梅雨はまだ明けていませんが、クチナシの花の香りが漂い始め、夏も近いことを感じ
ます。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

「見張番だより」は年度4回発行しています。今回の「たより」は、今年度最終号です
ので枚数が多くなりました。特に本の発行に伴い、一人でも多くの皆さまに読んで頂き
たく、編集の中心として頑張ってくださった鈴木健弁護士にその内容を分かり易く書い
ていただきました。チラシも同封しますので、是非とも回りの方々に配ってください。
 県が常任委員会の傍聴をようやく認めましたので、その傍聴記も載せました。9月議
会もみんなで傍聴にいきましょう。その他、桶川事件に関連して高裁の様子なども想像
していただけたのではないでしょうか。議会も尊大なところがありますが、裁判所も同
様です。最高裁ともなれば更に尊大さが増します。司法改革が叫ばれる中、この高い塀
も変えなくっちゃ、ネ。 
 総会には、大勢のご出席をお待ちしております。
「検察調書があかす警察の犯罪」の読後感想などもお寄せください。
 (生田 典子) 

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