第14号の2

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        ========== 目 次 =========
    ● 保土ヶ谷事件のその後 (小川 国亜) 

    ● 事務局より(新事務局長のご挨拶) 鈴木 健 

    ● 編集後記  (生田)

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 ● 保土ヶ谷事件のその後
(日本国民救援会神奈川県本部事務局長 小川 国亜)
 保土ヶ谷事件について大きな動きがありましたのでご報告いたします。(新聞記事参照)

 <これまでの経緯は>
 保土ヶ谷事件は、1997年7月19日未明、交通事故により意識を失ったため、横浜市
保土ヶ谷区「三ツ沢上町交差点」で停車した車内に倒れていた男性に対して、110番通報
を受けた警察官が車を移動させただけで男性を救護せず放置したため、男性が死亡した事件
です。
その上警察は、監察医と共謀して、男性を解剖しなかったにもかかわらず、「解剖有・死因
は心筋梗塞」として病死扱いで「事故処理」しようとしたものです。
 ご遺族は、警察官を保護責任者遺棄致死容疑で、また監察医を虚偽検案書作成容疑で刑事
告発しましたが、2000年2月に双方不起訴処分となったことから、神奈川県と監察医を
被告とする損害賠償請求裁判(国賠裁判)を起こして闘っています。
 この裁判の中で、被告監察医は解剖したことを証明するため、原告の請求を受けて「摘出
臓器」を提出し、裁判所によるDNA鑑定が行われました。02年4月、「別人のものであ
る可能性が高い」とする中間報告が出され、03年4月には、「別人のものである」とする
鑑定報告が提出されました。また、中間報告と同時期に遺族がおこしていた不起訴に対する
不審判請求で、検察審査会が「不起訴不当」の決定を出し、横浜地検が再捜査を開始しまし
た。

 <横浜地検による再捜査では>
今回の新聞報道は、この横浜地検による再捜査(摘出臓器のDNA鑑定)で、監察医が提出
した臓器は「女性のもので、血液型も一致せず、被害者男性のものではない」とする鑑定結
果が出たことが伝えられたのでした。報道によれば、横浜地検は、監察医から司法解剖の信
憑性など詳しい事情を聴く方針とのことで、私たち「救援会」は、「原告支援者の会」とと
もに、厳正な捜査で真相が究明されることを求めています。
国賠裁判で、被告監察医は「保存臓器に別人のものが混入したかもしれない。解剖はおこな
った」などと主張し、被告警察・県側は「男性が酒に酔っていると思い、酔いがさめれば自
分で帰宅するだろうと考えて、そのままにした。救護義務はない」などという"寝ぼけた"答
弁を繰り返しています。
国賠裁判の次回法廷は、5月14日(金)午後1時30分から横浜地裁5階502号法廷で
開かれます。(傍聴券抽選のため午後1時10分までには裁判所1階入口にお集まりくださ
い)。次回以降は、解剖に立ち会ったとされる警察官の尋問が予定されています。
今後も見張番のみなさんの暖かいご支援を心からお願いいたします。
(小川国亜さんには、昨年12月1日の例会で「保土ヶ谷裁判」について講演をしていただ
きました。編集子)



*

● 事務局より(新事務局長のご挨拶) (鈴木 健)

 「警察見張番」設立当初より事務局長として活躍された山田泰弁護士が今年の3月いっぱい
で退任され、私が4月より新事務局長に就任することになりました。
 なぜ山田泰弁護士が退任されることになったかというと、実は何と山田泰弁護士は、東京地
方裁判所の裁判官として任官されることになったのです。
 すなわち、このところ「司法改革」が叫ばれており、社会経験のない司法試験合格者がその
まま裁判官となり、そのような者だけで裁判所が構成されていたのでは、社会の実情を反映し
た事実認定がなされないのではないかと指摘されていたのです。裁判所もこの指摘を無視でき
ず、昨年より、弁護士会から定期的に裁判官を送り込む制度が出来上がりました。山田泰弁護
士はこの制度に立候補した結果、審査を受けて採用され、この4月に東京地裁に配属されるこ
とになったのです。

 裁判所というところは、依然として面倒なしきたりがあるところで、新規配属先や転勤先等
を事前に公にすることは禁じられているため、山田泰弁護士も、事前に退任理由を会員の皆様
の前で公表することができませんでした。この点、会員の皆様には多大なご心配をおかけした
ことと思います。私たちもつらいところがありました。(そのため定例会でもご挨拶ができな
かった訳です)
 また、裁判官になられたとしても、「警察見張番」の活動は引き続き行っていただけないの
かという希望が役員からもありました。が、上記のように若干軟化してきた部分はあるものの、
裁判所は、裁判官が市民運動などの活動をすることを毛嫌いする傾向にあり、それが将来の人
事の面で不利益となることもあり得ないではないため、形式上一度退会するという形を取られ
たわけです(人事権が強いのは、警察も裁判所もあまり変わらないのです)。

 「警察見張番」としては、まさに「大黒柱を失った」とも評価できる重大事なのですが、山
田泰弁護士のような経歴・経験をお持ちの方が裁判官として活躍されることは、裁判を受ける
我々市民にとって有意義であることに間違いありません。恐らく、どこに行かれても、「警察
見張番」のときと同じように、市民の視点に立って活躍されることと思います。山田泰弁護士
(というか、既に山田泰裁判官)の、今後益々のご活躍をお祈りいたします。

 以上のような経緯から、私が第2代事務局長に就任することとなりました。山田泰弁護士に
比べれば、経歴・経験において相当劣ることは間違いありません。が、恐らく山田泰弁護士が
私くらいの経歴・経験であった頃からも、既に同じようなレベルの活躍をされていたのではな
かろうかと思っています。「自分の身の丈に合った活動を、しかし怠けずにやる」ことをモッ
トーに頑張っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いし
ます。                 
(鈴木健弁護士は、サッカーやマラソンでも活躍するスポーツマン。若くてステキな新事務局
長です。編集子)


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● <編集後記>  (生田)


 桜の花は、時に、人の心を癒し、また時にはもの寂しくもさせます。皆さまはどのように今年
の桜をご覧になりましたでしょうか。
                            
3月31日で、山田泰弁護士は「見張番」から去っていきました。鈴木弁護士が「新事務局長の
ご挨拶」で書いていらっしゃるように、山田泰裁判官の存在は、日本の司法にとってはとてもす
ばらしいことであることは充分に分かっていながら、散りゆく花びらを見ながら私はとても悲し
くてしかたがありませんでした。いかに依存していたかということが分かります。実際、山田弁
護士は、いつも細やかに市民の立場に立って物事を考え、行動してくだっていました。親を失っ
た子どものような気がしますが、元気のいい新鈴木事務局長と共に頑張りますので、皆さまもぜ
ひ応援してくださいね。          (生田典子)


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