群馬県警・警部補に復職請求中の
◆はじめに
私は地元の高等学校を卒業し、18歳で群馬県警察官になりました。修行中の剣道の師範の進
めもあったものの、社会経験もない未成年である私が警察官になって大人社会に溶け込めるも
のかと大変な不安があったことを今でも鮮明に記憶しています。幸い剣道を通じて先輩・後輩
という人間関係の中で警察部外との付き合いも幅広くさせていただく機会に恵まれ、警察社会
以外も見ることが出来ました。救急法も勉強させていただき日本赤十字社の救急法ボランティ
ア指導員も努めさせていただきました。幅広い人間関係に触れれば触れるほど、国民が警察に
何を求めているか、ということも自然に分かってきました。しかし、警察組織内においては、
一生懸命数字合わせのみに取り組んでいるのが実態でありまして、国民が求めている内容との
ギャップの大きさを感じざるを得ませんでした。
そんな警察社会で、国民が求めている要望(例えば、幼児に対する猥褻・誘拐事件や、女性に
対するストーカー行為等)、事件が表面化するといつも大きな社会問題となり警察の責任問題
になりながら、時期が過ぎると警察内部においては、数字に表れないこのような事件の予防活
動には、ほとんど目を向けないと言う実態があります。この点だけを見ても、国民の要望が警
察活動に反映されていない、ということはお分かりになると思います。
警察内部が欲しいのは、交通違反や泥棒の検挙と言う数字に表れるものだけなのです。そして
前年と比較して数字が下がっていないことが喜ばれるのです。私は常々、組織、特に自分より
目上の者や上司に対してこの点にふれ、改善すべく具申してきました。
私の意見に対し個人的には誰一人として「その意見は違う」と言うものはいませんでした。
しかし、いざ実行となると警察組織としてはその意見は「ノー」なのです。こんな正義のな
い警察では、国民の要望には応えられないと痛感する毎日が続きました。
◆警察のチェックは・・・
それでは、警察を外部から監督・指導する組織があるかと言うと、法的にはあるのでしょうが、
全くと言って良いほどその機能は働いておりません。何故なら、警察のお客様になってしまっ
ているからです。とても警察に意見など言えません。
警察が作った資料に目を通し「左様。ごもっともでございます」の対応であります。
警察内部では、皆さま方のように警察予算を監視し、または警察の活動に注文をつけようとす
る団体・個人を「敵視」し、階級の上の者から下の者へ組織的な指導・教養を徹底し、視察・
監視の対象にする傾向があります。私自身、社会生活において警察内部しか知らない人間であ
りましたから、警察上層部からの指導・教養がすべて正しいものと信じて在職中に50歳にな
ってしまいました。
◆組織内のおかしなことに気づいて
しかし、この歳になるといくらボンクラな私でも警察組織内で行われている不正やおかしなこ
とには気が付くものであります。はっきり申し上げれば、私が警察官になって10年目である
昭和57年に、群馬県警で組織的に行われていた「刑法犯の検挙率水増し統計書類作成事案」
を体験し、更に、その翌年から4年間携わった群馬県警本部での要人警護係で「旅費、宿泊費、
列車運賃の水増し請求事案。不公平な昇任試験の実態」等を知り、これほど腐った警察組織を
何とか正さなければならない、と痛感したのであります。こんな組織では国民に申し訳ない。
国民の為に現場で全力で働き警察組織を改善していこうと決意したのはもう20年前のことで
した。しかし、巨大な組織の前に具体的なことは何もできませんでした。
テレビ朝日が、北海道旭川中央警察署における不正経理問題をスクープして大々的に放映し
たのは一昨年の11月23日でした。私はこの番組を見て、「全国警察の不正を正すのは今だ。
20年間待ってやっと来たチャンスだ」と思って、家族のことも私の周辺の知人のことも、何
も考えずに行動に飛び出してしまったのです。ただ「きれいな警察になってもらいたい」との
思いしかありませんでした。これだけ、マスコミが全国放映すれば当然、検察が動いて警察に
捜索が入り、不正経理を行なっていた警察幹部を逮捕し、警察の不正経理問題が一掃されると
思っていたのです。しかし、私の考えは甘かったのです。
今になって分かったことは、検察も警察の不正には捜査の手を出さないということであります。
加えて、警察組織でもこの不正を一切なかったことにして「隠蔽工作」のみに終始する姿勢で
す。これでは、唯一の捜査機関である警察の組織的犯罪行為は、改善されません。それどころ
か、この不正を内部から正そうとしていた私の意見を封じ込めるために、警察組織が私に執っ
た手段は、逮捕状の要らない「現行犯人逮捕」でありました。私も32年弱警察官人生を送っ
てきて、警察にとって都合の悪い相手に対し、如何にして事件をでっち上げるか、ということ
は十分承知しておりました。その手法にやられたのです。
◆その手法とは・・・
警察には「公安捜査隊」という秘密部隊が編成されています。毎年この特殊部隊の訓練が秘密
裡に行われます。これは私服の公安警察が、「殴ったな」などと、突然、大声を出して倒れま
す。周囲にいる私服公安警察が、対象者をでっち上げの「公務執行妨害罪」で現行犯逮捕する
場面づくりの訓練です。
この訓練は、警備・公安事件現場で対象者である左翼勢力等の個人を現行犯人逮捕すれば、捜
索令状の要らない身体送検が強制的にできるという刑事訴訟法の規定を巧みに利用したもので、
身体捜検を実施して「所持品を見よう」と言うのが狙いです。この対象者が、警察または国の
体制側にとって都合の悪い書面や、もし、携帯や所持が禁止されている凶器でも持っていてく
れれば、その事実で更に長く身柄拘束が出来て重い刑罰に処せられるという警察側にとってと
ても都合の良い結果が得られることが狙いです。まして公務執行妨害罪は懲役刑しかない重罪
ですから現行犯逮捕の事実も公判で重く受け止められ、対象者は「悪質者」とでっち上げられ
るのです。何か他の犯罪を裏付ける違法物を持っていてくれれば警察にとってとても都合が良
いのです。
警備・公安警察は、そのために何としてでも身柄確保(ここでは「逮捕」と言っておきます)
が、必要なのです。そこで長年の警察活動で考案されたのがこの手法「現行犯逮捕」です。
とても危険な手法です。
しかし、警察は組織的にこの違法手段を正当な手法として活用してきました。ですから、秘密
訓練がとても大切な訳で、警備・公安(大きな勢力である機動隊も、この中に勿論含みます。)
警察を経験したものにはこの手法が身についているのです。機動隊員は若いうちだけの経験で
すがこれが、機動隊以外の部署へ転勤してもこの手法を知っていますから広範囲で運用されて
行きます。
飲酒検問していたら、運転手が飲酒検問に応じなかった、などと言う場面でも「警察官に突き
当たった。怒鳴りながら殴りかかってきた。」等と勝手に作れば「泥酔の運転者」だと言うイ
メージは完成です。
何故、私がここまで知っているかと言うと私も都合13年間、機動隊・第二機動隊員としての
経験を持っているからであります。ですから、私に対するこのでっち上げ逮捕も「この手段を
巧みに使った」と私にははっきり分かるのです。現場に来ていた警察官らは約10人いました。
詳しくは、今後私の裁判で明らかにしなければならない事実ですのでここで発表は差し控えま
す。
更に警察が組織的に行っている「でっち上げ事件」を上げてみれば、多くの国民に関係するの
が交通違反問題でしょう。飲酒運転でも速度違反でも「でっち上げ」が存在するのであります。
この詳細は、本年8月2日と9日の二週に渡って発売された「週刊 プレイボーイ」に暴露し
ました。参考に見てください。
◆自分が逮捕されて
私の逮捕も群馬県警、いや警察庁の指示でしょう。警察内部の都合の悪いことを言う奴は「逮
捕して、懲戒免職にしてしまえ」だったのでしょう。私は、事実のない「公務執行妨害罪」で
現行犯人逮捕され、約20日間勾留されました。
先に述べた「でっち上げの公務執行妨害罪」は事実ではないのですが、実は私にも落ち度があ
りました。実在しない数字を並べたコピーを自分の使用している車の前部ナンバー標に取り付
けて走行したのです。理由があったのですが、いずれにしてもこれは、私の責任であることは
確かです。後になって気付きましたが道路運送車両法違反(偽造ナンバー使用)というとんで
もない犯罪行為だったのです。なぜそんな愚かなことをしたかというと、幹線道路の至る所に
設置されている「自動ナンバー読み取り装置」(通称 N−システ)による監視から逃れよう
と思ったためでありました。警察組織は、私を何とか組織から排除しようと、私に対し私服に
よる目に見える監視をつける一方、「N−システム」で監視していたのです。あまりにも監視
がきついので、この監視から逃れようと私が考えたのが、このナンバー取り付けだったのです。
私が「警察内部の不正経理問題や職員が私費で負担しているガソリン代や携帯電話料金を負担
するように」と組織に注文をつけていた時期と、情報公開条例等で警察内部文書が公開される
ことが目前に迫ってきている時期と、群馬県警による私の「逮捕」と、時期が一致しています。
私の存在が組織にとって都合が悪くなったのでしょう。
こうして私を「でっち上げの公務執行妨害罪」で現行犯逮捕しましたが、検察は事実のない
「でっち上げ事件」を起訴できず、処分保留で釈放し、次にナンバー偽造事件で「逮捕状によ
る逮捕」(通常逮捕と言います)で引き続き逮捕行為を継続したのです。
このナンバー事件は、私の故意犯でありますから当然事実関係を争うつもりはありません。
「はい。そのとおりであります」という具合で全くこの逮捕は意味を持ちません。それでも
警察は、勝手に捜査報告書を作成して逮捕状を請求したのです。10日間の勾留もされ、罰金
50万円との処罰に処せられました。通常では考えられないほど重い罰金でした。
結局、都合約1ヶ月の勾留期間を経て釈放されましたが、それでも検察は当初のでっち上げの
「公務執行妨害罪」については処分保留だといいます。
20日間も勾留されて「処分なし」の説明では到底納得が行きません。そして、検察はこの事
件を私が知らないうちに「起訴猶予」という処分を密かに出して事件を終結させていたのであ
ります。事実はあったが情状が良いので起訴しない、という判断でもしたのでしょうか。全く
腹の立つ手続きであります。しかし群馬警察は、このでっち上げの「公務執行妨害罪」も含め
て私を懲戒免職処分にしました。当然、私はこの処分を不服として争うことにしましたので、
現在、群馬県人事委員会において身分の回復を求めて審査を請求中であります。
更に、県警は、このでっち上げの「公務執行妨害罪」で相手警察官が怪我をしたとして、私に
治療費まで請求してきました。刑事事件として公務執行妨害罪ばかりか、傷害事件の責任も一
切問われていないのに、です。如何に「公務執行妨害事件」がでっち上げであったか、この事
実でご理解いただけるかと思います。
◆そして今は
この請求事件については、「明るい警察を実現する全国ネットワーク」の支援弁護士さんを中
心に「債務不存在確認請求事案」として前橋地裁に提訴していただくとともに、「でっち上げ
公務執行妨害罪」の逮捕・勾留、不当な新聞報道等による精神的、身体的苦痛を受けたことに
対する国家賠償請求も提訴していただいております。
一方、市民オンブズマン群馬では、私が告発した群馬県警交通指導課における平成8年の捜査
報償費不正支出問題に関し住民訴訟裁判も提訴されております。
皆さまもお忙しいと思いますが、群馬の活動にも目を向けていただき、時間がありましたら裁
判の傍聴もしていただけたら幸甚です。
結びになりますが、以上のとおり警察組織の不合理の一端を申し上げましたが、全国の警察の
現場で働く警察職員(警察官や一般職員を総称します)が、皆さま方と同じ感覚で警察組織を
良くしたいと強く思っていながら、残念ながら現下の旧態依然の階級制度に支配された警察組
織においては、国民に期待される警察組織づくりの道のりは、遠く厳しい状況です。皆さま方
の活動こそが、間違いなく警察の透明化と警察改革を可能にする原動力であると思います。
そのことを強く訴えて、私のお願いに代える次第であります。
私も頑張ります。どうぞ、今後とも宜しくお願いいたします。ありがとうございました。
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