トップ画面に戻る
(2005.012.23.)

* 警察見張番だより 19号
***** もくじ *****

お読みになりたい項目をクリックしてください。

     ● <<見張番の活動を振りかえって>>

     ● <<全国市民オンブズマン別府大会参加報告>>

     ● <<明るい警察組織を目指して !>>

     ● <<明るい警察の実現を目指して 片岡君にエールを!>>

     ● <<神奈川警察見張番の皆様へ>>

     ● <<資料として>>

     ● <<事務局より>>

     ● <<編集後記>>

トップ画面に戻る

目次へ
● <<見張番の活動を振りかえって>>
                             弁護士 佐久間 哲雄
 私たちの警察見張番が発足したのは、平成12年7月21日のことでした。
 前年の平成11年9月、神奈川県警の集団警ら隊内で集団暴行事件、同じ月に証拠品持ち出し、
女性脅迫事件が、次々とメディアで報道され10月には県警本部長が引責辞任しました。更に同
じ月に覚せい剤事犯の隠ぺい事件が報道されました。   
 
 警察庁は、全国的な特別監査に入りましたが、明けて平成12年2月、特別観察に赴いた関東
管区警察局長が監査対象の新潟県警の本部長と温泉で会食・遊興に及んでいたことが暴露されま
した。
 警察に対する怒り・不信は神奈川県民にとどまらず全国に拡がりました。

 政府は、2月に公安委員会の権限強化等の警察法改正案を国会に提出し、警察のあり方を抜本
的に検討するために警察刷新会議を立ち上げました。刷新会議は、警察庁の用意した資料を相手
にせず独自の立場から精力的に作業を進め、7月13日に緊急提言を発表しました。
 警察見張番は、このような情勢を背景にして発足したのです。以来5年半程経過しました。
 ほんとうに徐々にではありますが、私は、警察はよくなって来ていると思います。皆さんはど
んな思いをされているでしょうか。
 緊急提言は第1に、情報公開により国民に開かれた警察に刷新せよと云っています。

 警察見張番では、神奈川県公安委員会の議事録の開示を求め、多量の議事録を手に入れていま
す。10年前のことを考えると夢のようです(神奈川県警を被告とする住民訴訟で、極く些細な
警察の行政情報を開示させるのにえらく苦労しました)。
 いわゆる情報公開法を如何に効果的に使っていくかということは、市民運動で重要なテーマに
なっていると思います。情報公開法は決して充分なものではありませんが、市民の側においても
この法律で規定されている権利をどう使いこなしていくか創意・工夫する必要があります。その
ために様々なところで活動している人々と情報の交換、経験の交流をはかって行きたいと思いま
す。

 警察見張番は、連帯の輪を拡げて役に立ちたいと考えています。私たちは,確実に前進してい
ます。一緒に頑張りましょう。                  
     
         〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

目次へ :
     
● <<全国市民オンブズマン別府大会参加報告>>
                            弁護士 鈴木 健
 去る平成17年9月10日(土)〜11日(日)、大分県別府市のビーコンプラザにおいて、
第12回全国市民オンブズマン別府大会が開催され、私は、警察見張番を代表して参加した。
 …と書くと威勢がいいように聞こえるが、実態は全くそうではない。

 地方で年1回行われるこういった大会に参加することは、社会的意義のある活動であること
は間違いない。しかし、日常の業務に忙殺される中で、主に土日に開催される大会に参加する
ことは、一方で気の重い作業でもある。本音を言えば「休みの日くらい休みたい」という思い
を抱えながら、「牛に引かれて善光寺参り」気分で、何とか現地に足を運ぶのである。

 私の怠慢第1は、朝の睡眠時間を確保したいがため、そもそも初日の会議開催時間に間に合
わない時間に飛行機を取ったこと。
 怠慢第2は、現地に着いて昼食を取ったとき、心境的に休み気分と旅行気分が重なっていた
ことから、思わず生ビールを注文して2杯も飲んでしまい、相当眠くなってしまったこと。
 怠慢第3は、「どうせ警察分科会は2日目なので、今日は福岡まで足を伸ばして、(シドニ
ーFC移籍を決めたカズが出場する)福岡×横浜FC戦でも観に行ってしまおうか」と思い立
ち、別府−福岡間の交通手段及び時刻表を調べにかかったことである。

 結局福岡行きは、雨が降ってきたことと、日程がかなり強行軍であることが判明したことか
ら断念した。が、「今日は疲れたので、とりあえず会場で資料だけはもらって、早めに宿に入
ってゆっくりしよう」と考え、会場へ。この判断が、私にとって僥倖となる。

 会場について資料をもらい、何気なくプログラムに目をやると、「15:00〜15:15 現職警察
官による裏金問題の告発」と書いてあるではありませんか!時計を見ると、何と14:50。つまり
偶然にも私は、仙波さんの講演のわずか10分前に会場入りしたことになるのです。やはり、
日々それなりに頑張っている人間を、神は見捨てませんね。

 そして仙波さんの講演ですが、会場は、異様な盛り上がりを見せていました。それよりも前
段のプログラムはほとんど見ていない私ですが、明らかに今大会一番の盛り上がりであったこ
とは間違いありません。仙波さんの気力あふれる、忌憚のない熱弁に対する万雷の拍手・喝采
と、眩しく焚かれるフラッシュ。私の眠気及び観光気分は、一瞬にして吹き飛びました。

 裏金づくりの具体的内容や、仙波さんがいろいろな嫌がらせを受けながら信念に基づき職務
を全うされている姿の話は、聞く者を惹きつけて離さない、生々しい実態がありました。お話
の詳しい内容は、仙波さんに原稿を書いていただけることになったのでそちらに譲りますが、
私の印象に残ったのは、「弁護士や新聞記者のサポートがあって私はここまでやってこれた」
「私は、広く警察の実態を知ってもらい、よりよい警察を実現するために、呼ばれれば全国ど
こへでも行きます」との言葉でした。ぜひ、我が警察見張番にもお越し頂きたいと考えている
ところです。

 2日目の警察問題分科会では、各地の警察オンブズマン活動の取組と、「明るい警察を実現
する全国ネットワーク」の活動報告がなされた。各地で行われている訴訟の結果も、一進一退
を繰り返しているという状況で、我が神奈川県警相手の訴訟も、各地の成果を取り入れ、一層
気を引き締めて取り組みたい。

 最後に、先ほど「お話の詳しい内容は、仙波さんに原稿を書いていただけることになったの
でそちらに譲りますが」と書いたが、仙波さんに原稿を書いていただけることになったことで、
私のこの原稿がさほど格調高く書く必要がなくなり、漫遊記的な原稿で済ませることが許され
たのである。仙波さんに感謝!
           
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

目次へ :
     
● <<明るい警察組織を目指して !>>
                                        高知県警 元警部:片岡 壮起
<希望をもって>
 私は、高等学校卒業後、高知県警に入りました。それ以来、私の人生はすべて警察に捧げて
きました。高知県警内ではよい評価を受けていたと自負しています。各級昇任試験を経て、採
用後26年目の平成14年に、43歳で難関の幹部登竜門「警部」の階級に昇任しました。警
察署の刑事生活安全課長に就任したのです。
 ところが、これでやっと自分の思っていることを警察の仕事に反映させることができると張
り切っていた矢先(僅か10ヶ月目に)、いきなり、前所属で一緒に勤務していたかつての部
下に係わる贈収賄事件で、県警を代表して責任を取らされる形で依願退職させられてしまいま
した。
                
<この贈収賄事件とは>
 「風俗営業」という表現に悪いイメージを持つ人もいるかもしれませんが、キチンと風俗営
業許可を取り、就労ビザの外国人女性たちのショーがある一方で、売春もなく暴力団に支配さ
れることのない、明朗会計システムの「外国人キャバレー」というのもあります。高知にも、
一般の人々も公務員も、高知県警の上級幹部も多数出入りしていた風俗店があります。その風
俗店に、不法就労外国人摘発の捜査が入るという情報を、元部下であった先輩刑事が摘発直前
に友人である経営者に漏らし、情報漏洩で逮捕されてしまったのです。そして、情報漏洩の理
由付けをするため、元部下は、友人である経営者と付き合う過程で経営者から受けた飲食の奢
り行為は、贈収賄に当たると決めつけられ、情報漏洩に付随した加重収賄で追及を受けること
になりました。私は、その一年半前、その元部下と同じ職場にいた当時、その部下に誘われ、
経営者の酒席に同席したことがありましたので、事件発覚時は参考人として事情聴取は受ける
だろうと覚悟していましたが、この不祥事の処理は私の予想を遙かに超え、私は参考人ではな
く、元部下と一年半前に同席していた事実だけで、被疑者扱いとなり、「無料接待を受けただ
ろう」「収賄をしただろう」と一方的に汚職刑事と決めつけられてしまったのです。  
         
 私の部下がこの店に連れて行ったのは私だけではありませんでした。その店には私より上の
幹部も常連客として入り浸り、中には店の外国人タレントと結婚している者さえいました。そ
の人たちも当然、私と同じように接待されたはずです。私が1年以上前に飲食したことを問題
にするのであれば、ほかの警察幹部たちも問題になるはずです。県警幹部が軒並み問題になら
ないとおかしいのです。

 しかし、高知県警=警察庁は、如何にしてこの事件を小さく終わらせるかということに汲々
とする一方で、部下ひとりだけではなく、ほかのだれかにも責任を取らせた形をとらないと対
外的に面子を保てないと考えました。丁度、具合良く浮上したのが、かつて上司としてこの部
下と一緒に勤務し、この店にも行ったことのある私でした。幹部警察官「警部」に登用されて
いた私に責任を取らせることで終結させようと考えたのでしょう。このような政治判断で県警
は動いていましたから、それまで100%警察を信じて仕事をして来た私には、何がなんだかわ
からないまま事態は進んでゆきました。

 事件の発端になった部下のほか、もう1人の部下が贈収賄事件の被疑者に仕立て上げられ立件
されていきました。これと並行して内部処分が検討され、私に「辞めなければ懲戒免職だ。免
職がイヤなら辞職願を書いて諭旨免職を選べ。すぐに決断しろ」と脅迫マガイの誘導を受けま
した。私は冷静に考える間もなく、辞職願を書かされ、退職に追い込まれてしまいました。今
考えたら、自分でもなぜか分からないほど思考停止状態だったのです。
私は、警察職務を忠実に遂行してまいりましたが、警察の上級幹部が組織の面子と警視クラス
以上の上級幹部の地位を守る為に、これほど汚い手段で警部クラスに責任を取らせるという事
実を全く知りませんでした。誘導に従って「辞職願」を書きましたが、どう考えても不合理で
あり県人事委員会から裁判提起を指導され裁判所に退職処分の取消を求めましたが、県警の申
請どおり棄却されてしまいました。
 
                        
<原田宏二さんに相談して>
 私が1人で悩んでいたところ、丁度、昨年(平成16年)の暮れに、北海道警の不正経理問
題を告発した原田宏二さんが代表となって設立した「明るい警察を実現する全国ネットワーク」
という相談窓口があることを知り、早速、北海道まで相談に行きました。 原田さんの助言で
同ネットワークの弁護士さんの支援をいただき現在この問題は高等裁判所で継続審理中です。

 警察ネットに加盟する警察官経験者の話を聞いてみると、全国的にも組織の不祥事を最高幹
部が責任を取らないで「警部級」を処分し、いかにも「重い処分をした」と公表している事例
が他にもあることを知りました。私は自分の身分回復を裁判で勝ち取りたいと強く願うと共に、
現場で働いている警察官が、国民のために安心して働ける風通しの良い警察組織を実現させる
ため、警察ネットの皆さんと協力して訴えて行きたいと思います。

 そのために、全国警察は、今、国民から不信感が噴出している「裏金問題」を洗いざらい公
表し、責任者は、しかるべき責任を取って国民に謝罪し、明るい警察を立て直す責任があると
思います。その原動力は、ここにお集まりの皆様の監視力が不可欠であります。

皆様のご協力をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

                  ◇◇◇

 原田宏二さん(元北海道警釧路方面本部長)から、片岡さん宛にエールの文が届きました。
原田さんは、今年の夏、わざわざ北海道から横浜まで来てくださり、私達の「警察見張番」で
講演をしてくださいました。現在、「明るい警察を実現する全国ネットワーク」の代表として
活躍なさっています。正義漢の強い暖かい方です。
(「見張番だより」18号参照)

 また、原田さんのご著書「警察内部告発者」を一読なさることをお勧めします。ご自身が実
際に体験なさったことなどが実に具体的に書かれています。また正義感のある警察官の苦しみ
などもよく分かります。一人一人の警察官に問題があるのではなく、警察組織に問題があるの
だということも様々な事例で分かります。

「警察内部告発者」Whistle Blower  著者:原田宏二
  発行:講談社  定価:1700円 
                   (編集子)
        〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


目次へ :
     
● <<明るい警察の実現を目指して 片岡君にエールを!>>
 
           明るい警察を実現する全国ネットワーク: 代表 原田 宏二 

 7月に「警察見張番」の皆さんとお会いしてからもう5ヶ月になります。北は北海道稚内から
南は九州の福岡、大分まで、警察の実態を訴えて走り回りました。あっという間の1年でした。
それぞれの地で多くの方との出会いがありました。横浜お会いした「警察見張番」の生田さん
は、元気いっぱいで知性あふれる方でした。その生田さんが入院されると聞いてまたびっくり。
元気で退院されたとのことで安心しました。そのお祝いを兼ねてこの原稿を書くことにしまし
た。
         * * *

 昨年10月に「明るい警察を実現する全国ネットワーク」(以下「警察ネット」)を立ち上げ、
その2ヵ月後に片岡さんご夫婦が南国土佐の国から訪ねてきました。ちょう今と同じ年の瀬も
押し迫った日で、札幌は粉雪交じりの冷たい北風が吹いていました。
 市川守弘弁護士と私が話を聞きました。初対面でしたが、私には彼の誠実な人柄が良くわか
りました。どうして彼が高知県警を追われてしまったのかは、片岡さんが話しているとおりで
す。
 神奈川県警も警察官の不祥事が続きました。実は、高知県警も片岡さんのことが問題になる
前に不祥事が続いていたのです。私は、片岡さんの話を聞いて何かおかしいと気がつきました。
私は現職時代に汚職事件を専門に捜査する捜査2課長を務めた経験がありました。

 片岡さんが問題にされた収賄事件が本当かどうか疑問を持ちました。ひょっとしたら彼はス
ケープゴードにされたのではないか、そんな気がしました。それで、市川弁護士や清水弁護士
とも相談して、「警察ネット」で彼の身分回復の控訴審を支援していくことになったのです。

 私は、警察が誤りのない完全無欠の組織だとは思いません。自分も38年間間違いばかりでし
た。その最たるものが裏金です。警察官もそうです。決して清廉潔白でも聖人でもありません。
普通の人間なのです。しかし、社会はそうは見てくれません。そこに問題があると思います。
警察も警察官も無謬性にこだわるあまり隠しごとをするようになりました。そうなると国民か
らの信頼を失います。警察は、誤りは誤りと認めなければなりません。それが、国民からの信
頼の原点であると思います。
「警察ネット」は、清廉潔白な警察官だけを支援しようとしているのではありません。現場の
警察官に対する警察の理不尽なやり方を止めさせ、現場の警察官が安心して仕事のできるよう
にしたいのです。

私は、明るい警察を実現することは、国民の皆さんが安心して暮らせる社会を作ることに繋が
ると信じています。「警察ネット」は、片岡さんのほかに愛媛県警の現職警察官仙波敏郎さん
も支援しています。
 神奈川の「警察見張番」の皆さんのご理解とご支援をお願いいたします。

      〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜 次ページへ 〜〜〜〜
目次へ
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送