警察見張番だより19号の2
(2005.12.23.)

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● <<神奈川警察見張番の皆様へ>>

● <<資料として>>

● <<事務局より>>

● <<編集後記>>


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● <<神奈川警察見張番の皆様へ>>
                                         愛媛県警巡査部長:仙波 敏郎

●はじめに 
 南国愛媛も今年最大の寒波の先触れの寒風が吹き、今日(12/16)は雪が舞っています。
雪に不慣れなため、交通事故が続発し、私が勤務する通信指令室への通報が相次ぎました。

 私は、今年9月のオンブズ別府大会に招かれ、警察の裏金問題について話す機会をいただき
ました。限られた時間でしたから全てをお話しすることが出来ず、私としては不完全燃焼でお
りましたところ、神奈川警察見張番の鈴木事務局長からこの原稿の依頼を受けました。一度神
奈川にも来てくれないかというお誘いもうけ、もし実現すれば大変嬉しいと思っているところ
です。

●公然の秘密              
 皆さんもご存知の通り、全国の警察で公金を裏金に変え、幹部たちが私的に流用しておりま
す。しかし、この問題が表面化し、流用された金が、一部であっても返還されたのは北海道、
福岡、静岡、岩手、それに愛媛くらいで、それ以外の都府県では不正の煙すら立っていないと
いうのが実情です。
 今年1月20日、私は松山市の愛媛弁護士会館で記者会見し、この不正を告発いたしました。
現職警察官の告発はそれが初めてだというのでずいぶん騒がれましたが、それからまもなく1
年がたとうとしていますが私の後に続く警察官はまだ一人もおりません。非常に残念なことで
すが、それが警察の腐敗の根深さを物語っているように思います。だからこそ、私たちの手で、
警察官の良心を蝕むこの裏金問題の解決を図らなければならないと思うのです。根絶させなけ
ればならないと思うのです。

 この問題は、警察官なら誰一人知らぬ者のない、いわば「公然の秘密」なのですが、誰も止
められない、口にすることも出来ないのです。なぜなら、全員が好むと好まざるとにかかわら
ず、この不正に関わっているからです。

●はじめの手口は
 まず、裏金作りの手口ですが、裏金作りの最大の原資は、旅費です。通常、出張はJRを利
用しますが、出発地と目的地が決まれば、その間の運賃は自動的に決まりますので領収書は不
要です。宿泊費も日当も階級によって定められていますので、領収書は不要です。旅費が入金
するや否や、会計職員が架空の出張をでっち上げる作業を一斉に行い、裏金化します。領収書
が要らないために作業が簡単で、なおかつ秘密が漏れないという利点があります。
 
 その次の原資が捜査協力者への謝礼です。これは、ついこの間まで相手=捜査協力者の領収
書が必要でした。ところが、実際には、協力者はいない、いても極わずかで、協力者に謝礼を
支払ったことにするため、警察官のみならず、職員、関連団体職員にニセ領収書の作成を依頼
し、これを使って公金を裏金化していました。私はこのニセ領収書の作成を拒否したため、
「領収書を書かないものは組織の敵だ」とののしられて左遷され、昇任試験も「書かない者は
通らない」と言う宣告を受けました。
              
 愛媛の場合、旅費は年間3億円前後の金額に達していますが、実際に旅費として使われるのは
異動に伴う旅費などを含め、3分の1だろうと言われています。また、捜査協力者への謝礼金予
算は5〜6千万円で、内部告発で注目されたため、実際の執行額は急激に減少し、16年度は予算
の3分の1になってしまいました。
 
●悩みながら
 裏金作りの方法は様々ですが、この行為は全て、私文書偽造、公文書偽造、さらには詐欺や
横領という犯罪に結びついています。良心的であればあるほど、裏金作りに関わった警察官は
懊悩します。何とかしなければならないと思いつつ、家族のことを思うと何も出来なくなり、
悩み続けるしかないのです。

 私は、裏金作りへの協力を拒否しました。そのせいで組織から徹底的に阻害されました。い
ろいろな嫌がらせも受けました。昇任もあきらめました。私は告発の1時間後に警察間の魂と
言うべき拳銃を取り上げられ(後に返還)、警察官失格の烙印を押されました。4日後には今
の部署(県警本部・通信指令室の閑職)に配置転換されました。一日中仕事らしい仕事があり
ません。そのくせ、上司からは、何をしたかの日報を書くよう求められます。誰も話しかけま
せん。話しかけると、何を話していたのか と上司から問いただされるからです。そのほか、
中傷の手紙や電話が私の所や支える会にかかりますし、新聞に裏金問題の解明を求める投書を
した人にも、ほぼ同じ文面の中傷の手紙が届きます。(インターネット上にもさまざまの書き
込みがなされていますので、ごらんになった方もあるかと思います。)
 
 この通信司令室はご存知のように110番通報を受信するセクションで、実際は事件現場に
直結した忙しいセクションです。しかし、私の仕事はそれではありません。一日中窓の外に迫
る松山城を眺めて過ごす以外にない、まさに「閑職」なのです。しかし、今、私は告発したこ
とを後悔していません。告発をためらわずにおこなったことを、今は誇りに思っています。そ
して、私は若い警察官に期待します。安心と安全を守るという志をもって警察官となった若い
人達に未来を託します。

●今多くの人に支えられて
 これまでの1年、私は心ある県民、全国からの励ましを受け、それを支えに過ごしてきまし
た。80人を超える大弁護団も支えであり、支援組織「支える会」は私の最大のよりどころで
す。

 もし、皆さんにお招きいただければ、思いのたけをお話させていただきたいと思います。
その日が来ることを楽しみにしております。
 皆さんが、良いお年を迎えられますこと、警察見張番のますますのご発展を祈念いたしてお
ります。
            
「支える会」連絡先
 〒790−0003 愛媛県松山市三番町5−13−10
             tel:089ー933ー0601 
 年会費:1000円 振込先:伊予銀行本店(普)4495394
                仙波敏郎 様 
 郵便振替: 01640−4−129996
カンパ振込先:年会費と同じ。(会報送付の関係上、住所を記入してください)
                           (編集子)

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● <<資料として>>
 全国市民オンブズマン連絡会議が作成した警察裏金・不正支出問題の特設ページ(最終更新
時間:2005年12月14日 17時25分15秒)より。

ニュース
・[05/12/12]札幌地検 北海道警幹部7人全員を不起訴処分
 札幌地検は、12日道警の裏金問題で、民主党の鉢呂衆議院議員らが業務上横領容疑で告発し
 ていた道警幹部7人を全員不起訴処分にした。内訳は6人が嫌疑不十分で、1人が起訴猶予であ
 った。札幌地検は、先日2人の元会計係長を業務上横領などで起訴したが、同種の犯罪行為で
 あっても、現場の個人の犯罪は追及されるが組織的な犯罪は追及できないという対照的な結
 果に終わった。道警の裏金問題は、道警が約9億6000万円を返還し、道議会で7回目の100条委
 員会の設置要求が否決された。今回の札幌地検の処分をもって、道警の裏金問題は、真相が
 解明されないまま、事実上の幕引きになった。札幌地検だけではなく、知事、道議会、公安
 委員会、監査委員などの関係機関の対応は、事実上権力機関である警察の予算執行に特例を
 認めたことになった。警察内部の体質が変わらないままの現状では、警察の裏金システムは
 より巧妙に隠蔽され、いずれ再び問題化するであろう

・[05/12/9]愛媛県警 2001年度捜査費(国費・県費)21万433円が不適正支出と発表
 愛媛県警が発表した、2001年度捜査報償費の調査結果報告書の概要は以下。本文はこちら
 (愛媛県警web)。本来執行し得ない使途に執行 40件210,433円 (詳細は全国市民
 オンブズマン連絡会議のHPをごらんください。)

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● <<事務局より>>

 平成16年11月10日、「平成12年度・15年度警察本部少年課の捜査報償費(県費)
支出に関する一切の資料(現金出納簿および支出証拠書類)」「平成12年度・15年度警察
本部交通指導課の捜査報償費(県費)支出に関する一切の資料(現金出納簿および支出証拠書
類)」を公開請求しましたが、

 その結果:
  @平成15年度については、
  ・捜査費総括表のうちの、前年度からの繰越額及び年度末の残額
  ・現金出納帳のうちの、年度合計の収入金額、支出金額、差引残高のみ公開、後は全て非
   公開
  A平成12年度については、
  ・捜査費総括表は全て公開でした。そこで情報公開請求及び訴訟提起しました。現在のと
   ころ、「県警側が非公開とした報償費に関する情報が、非公開とすることが許されてい
   る、神奈川県情報公開条例5条第1号の個人情報あるは5条第6号の捜査情報に該当す
   るか否か」について、書面による主張の攻防がなされている最中です。
裁判日程:
  平成18年2月 6日(月)午前11時30分    横浜地裁502号法廷
             (お時間のある方は傍聴してください。) 

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編集後記:
 かつて日本は「水と安全はタダ」の国と言われていたことが信じられないような殺伐とした
毎日です。その05年も残り少なくなってきました。みなさまお一人お一人にとっては、どん
な年だったのでしょうか。
 遅くなりましたが、今年最後の「見張番だより」をお送りいたします。今回は、私の急病と
いうこともあって、原稿依頼はすべて鈴木健弁護士にお願いいたしました。
 今回の「たより」19号は、高知県警の元警部片岡さんや、愛媛県警で現役の仙波さんから
ご投稿いただきました。ありがとうございました。
 お二人の生々しい体験と現状には驚きと、「なぜ」と思わずにはいられませんね。よりよい
「警察」になってもらうためにも、ぜひ皆で応援しましょう。 また、「見張番」の例会には
実際に来ていただき、お話を伺いたいとも思っています。

 今年は、季節も狂って12月中に2月並の寒波が襲ってきています。みなさま、どうぞご自
愛ください。私も春には元気になれると思っています。  どうぞ、よいお年を!
                   (生田典子)


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