警察見張番だより20号の3
(2006.03.26.)

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***** もくじ *****

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● 警察見張り番例会の報告

● 事務局より

● 編集後記


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● 警察見張り番例会の報告
                                    木村 幸造
 3月7日の例会には、遠く高知県より講師として片岡荘起さんに来浜していただきました。
また、支援者として東京弁護士会の清水勉弁護士、埼玉県より大内顕さんが来られ、とても市
民には理解できない不祥事続きの警察の現状のお話を聞き、参加者は警察の在り方について、
考える会となりました。その会で話されたことを、簡単にまとめて報告いたします。
          ◇
1 初めに、生田司会者の挨拶
昨日は啓蟄、冬ごもりの虫たちが這い出てきましたが、昨年病に倒れた私は、虫たちのように
ずっと冬ごもりをしておりまして、今日退院後初めて、電車に乗り横浜まで這い出てきました。
とても初々しい気持ちで司会をさせていただきます。

2  佐久間弁護士のご挨拶 
「一週間の間に三つの警察署に出向く機会があった。被疑者と接見時、二つの警察署で「先生、
こちらへどうぞ」と案内され、40年前に三崎署で、ある被疑者と接見した時のことを思い出
した。そして警察が変わりつつあるように感じた。限られた人員で様々なことを消化していか
なければならないためか、交番の前に警官が立たなくなった。
交番はいつでも市民が訪ずれることが出来るよう、扉を開けておくのが良いのではないか。市
民に親しみやすい警察になるのが良いと思う。裁判所は、最近市民に開かれた裁判所に変わっ
てきた。それに比べて、警察は出遅れているのではないか。急に何もかも、というのでなくて
もやれるところからやればいい。原田さん(元北海道警察釧路方面本部長)が、警察官は決し
て聖人君子で構成されているのではない。警察官も過ちを冒す、と言われたが、私もそう思う。
むしろ市民をもっと信頼して、内部を明らかにした方がかえって市民からの信頼が生まれるの
ではないか。警察官は危険な仕事もしなければならないこと
もある。殉職されることもある。大変な仕事でもあることを市民は理解している。もっと市民
を信頼し、市民の参画ができても良いのではないだろうか。やれるところから私たちも提案し
ていきたい。よろしくお願いします。」

3 鈴木弁護士(警察見張番事務局長)これまでの活動経過報告。

4 片岡壯起さん(元高知県警警部)の講演演題「信頼される警察」

<だまし討ちの処分>
 3年前に高知県警OBになった片岡です。何で、こんなに若いのにOBなのかというと、かつて
の部下であった先輩のT巡査部長に、友達が経営する外国人キャバレーに誘われ、奢ってもら
ったことが、何故か収賄容疑に問われ、退職に陥れられたからです。

警察の取締り対象の風俗営業者(外国人キャバレー経営者)は、先輩の古い友達であり、又、
捜査協力者として運用していた1人で、そこの客層にはよく、警察官も学校の先生たちも大勢
おりました。誰しもが違反のない優良店と信じていた店であり、その営業は10年以上も問題
なく続いていました。それが、突然、1年以上前に、先輩に連れられて店に行き、友達と紹介
された経営者と同席したことを問題視され、私は収賄容疑を受け、事件送致されたのです。確
かに、当時、私はT巡査部長とこの店に出入りした事実はありましたが、収賄容疑を受けるよ
うな覚えはありませんでした。
何故、収賄と決めつけられたかと言うと、実は、T巡査部長が、友達であり捜査協力者であった
キャバレー経営者に対し、捜査情報を漏洩し、更に私の知らないところで、飲食の無償接待を
受けていたことが発覚し、数回同席していた私にも疑惑の目が向けられたのです。
T巡査部長は事件発覚後、情報漏洩で逮捕され加重収賄罪も認定されて起訴されました。
T巡査部長の逮捕に平行し、私も収賄容疑で任意取調べを受けましたが、容疑を受ける覚えが
なかったので否認しました。

すると、私の否認はT巡査部長の立件の弊害になると判断したのか、事実関係が分からない初
期段階から、「収賄を認めないと逮捕する、認めれば刑事処分は起訴猶予、内部処分は停職で
すんなり終わる」と恫喝と懐柔工作を受け、心ならずも収賄を認めてしまいました。一人数万
円余の収賄金額でした。ところが、形だけでも収賄を認めると、今度はそれを理由に「辞職願
いを書かないと懲戒免職にする、起訴する」と迫られ、しかも雛形の依願退職書を見せられ、
そのまま、書くしかない状態でした。その結果、世間向けの停職6ヶ月処分を受けると同時に
辞職承認を受け、退職させられてしまいました。
退職後、私はこの騙し討ちの処分に納得がいかず、このままでは、汚職警察官の汚名を着たま
ま一生を送ることになる、何とか名誉を回復したいと思いました。

<高知県人事委員会と高知地裁へ提訴>
 先ず、依願退職の取り消しと、6ヶ月の懲戒処分の取り消しを求めて、高知県人事委員会へ
行きました。受理されたものの「長ければ10年かかる。裁判でやった方が早い」と言われ、
よく分からないまま、飛び込みで山原弁護士に頼みました。真実を暴露するため、取調官との
やり取りを秘匿録音したものを、証拠提出しましたが、思いは届かず、一審は敗訴してしまい
ました。現在これを不服として、高松高裁に控訴し、原田宏二さんが代表をしている「明るい
警察を実現する全国ネットワーク」の支援を受けて争っています。

<信頼される警察をめざして>
 警察は、「正義の実現者」として世間からは高く評価されていますが、実は裏金問題で指摘
されるように、ダークサイトが存在します。警察は、なにか問題になると「適正執行です」
「適正捜査です」と連発します。しかし、それは実態のない、まやかしです。
私は、何かの運命に巻き込まれてしまいました。全国的に見れば、私同様の警察官がかなりお
り、泣き寝入りをしているのではないか、と思います。
警察は、間違ったことをしても、内部でおさえる隠蔽体質を持ち、組織的には階級社会で、ま
さに軍隊と同じです。白いものを白と言われて都合が悪い時は、ヤクザと同じで、人事権を使
って飛ばすこともします。

 現場の警察官は「気が優しくて力持ち、弱い者を助ける」という気持ちで、市民の目線に立
っています。警察組織の上層部にいる者は、市民のための警察というよりも、自分のための警
察なのです。私は、警察官の仕事が好きで、誇りを持っていました。警察を良くするためなら、
自分の経験を何でも話したいと思っています。
ありがとうございました。

 5 清水勉弁護士(明るい警察を実現する全国ネットワーク事務局長)片岡さんは、ひたす
らマジメに働いてきた。派閥に属さず、出世が遅れた。そのせいで、何か問題が起きた時、簡
単に事柄を鵜呑みにしてはならない現場であることに気が付かなかった。事が起きれば、首を
切られることが分かっていなかった。片岡事件は、「事件の無い」事件であるのだ。警察は、
軒並み偽証している。後に、警察・検察の画策がわかってきたのだが、片岡さんは、トカゲの
尻尾切りにされてしまった。私たち「警察ネット」では、片岡さん・大河原さんのような人に
は、警察現場に帰って働いてもらいたい。辛いだろうが、がんばってもらいたい。おかしいと
分かってきたら、社会は認めてくれる。そうすれば、警察組織も簡単に、首を切ることが難し
くなる。

6 大内 顕さん(元警視庁会計担当)
トカゲの尻尾切りとは何か?身内のことでマズイことが発覚されそうになると、誰がどこまで
知っているかを見極めて、それによって、どのくらい切ればいいか、ま、世間的にカッコがつ
くか、と判断して行う処分のことで、丁度いい所にいる者がその対象となり、切られている。

7 司会者
今日は、いろいろなことを学ばせていただきました。また、この続きの学習会を開きたいと思
います。ありがとうございました。
         ◇
片岡さんは、まだまだ話し足りないようでしたが、9時会場退室の時間がギリギリに迫り、閉
会しました。中身の濃い例会でした。
                                               以上

                          
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● 事務局より

文書非開示処分取消請求訴訟 経過報告
           
                                                       弁護士 鈴木 健
1 文書非開示処分取消請求の対象
  「平成12年度・15年度警察本部交通指導課の捜査報償費(県費)支出に関する一切の
資料(現金出納簿および支払証拠書類)」と、同内容の「平成12年度・15年度 警察本部
少年課の捜査報償費(県費)支出に関する一切の資料(現金出納簿および支払 証拠書類)」
について公文書開示請求をなしたのに対し、「@現金出納簿(現金出納帳)の月日欄、摘要欄
、金額欄、差引残高欄、A支出証拠書類のうち、捜査費総括表の金額 欄、捜査費支出伺、支
払精算書、支払報告書(平成12年度分のみ)、捜査費交付書兼支払精算書、支出伝票、領収
書」を非開示とした処分

2 論点その1−「捜査報償費」は、現実には幹部の飲食費等に流れており、謝礼を支払った
証拠としての領収書等は、実際には協力者に支払われていないのに、支払われたかのように偽
造された虚偽のものである。非開示処分は、情報公開条例が認めた非開示処分の本来の目的を
実現するためにのみ認められるべきものであり、本来の目的以外の目的のためになされた非開
示処分は違法である。

  →この点、県警は、「捜査報償費」は、本来の目的のために使用されていること、また、
条例第10条第1項が「実施機関は、公開請求があったときは、当該公開請求があった日から
起算して15日以内に、当該公開請求に対する諾否の決定を行わなければならない」と規定さ
れていることからすれば、記録されている情報が真実かどうかは、諾否の決定の要件ではない
との驚くべき主張を展開

   →捜査報償費が本来の目的に使用されていないことについて、証人請求を終了。次回3月
20日午前11時の弁論において、証人採否の決定が行われる。
              

3 論点その2−条例第5条1項に規定する、個人情報該当性
   第5条 実施機関は、行政文書の公開請求があったときは、公開請求に係る行政文書に
次の各号のいずれかに該当する情報が記載されている場合を除き、当該行政文書を公開しなけ
ればならない。
    (1)個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、若しくは識別され得るも  
  の又は特定の個人を識別することはできないが、公開することにより、個人の権利利益を
害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
      ウ 公務員等…の職務の遂行に関する情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務  
  遂行の内容に係る情報

   →平成17年8月4日付情報公開に関する連絡会議申合せによれば、
 各行政機関は、その所属する職員(補助的業務に従事する非常勤職員を除。)の職務遂行に
係る情報に含まれる当該職員の氏名については、特段の支障の生ずるおそれがある場合を除き、
公にするものとする。なお、特段の支障の生ずるおそれがある場合
  とは、以下の場合をいう。 
1) 氏名を公にすることにより、情報公開法第5条第2号から第6号までに掲げる不開示情
報を公
にすることとなるような場合
2) 氏名を公にすることにより、個人の権利利益を害することとなるような場合

  とされていることから、県警が、非開示情報は条例第5条1項の個人情報に該当するとの
抗弁は立たないと思量

4 論点その3−条例第5条6項に規定する、公安情報該当性
 条例第5条(6)公開することにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行
その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき
相当の理由がある情報

 →捜査費の個別執行状況に関する情報は、捜査活動を費用面から表すものであり、これを事
件ごとに一連のものとして時系列で捉えれば、事件ごとの捜査体制、捜査方針、捜査手法、捜
査の進展状況といった各種捜査情報を反映している情報と見ることができ、これらの情報を公
開すれば、当該事件捜査に係る各種の情報が明らかとなり、捜査の手が及んでいることを察知
した被疑者等の事件関係者が逃亡、罪障隠滅等をするおそれがある。
  
また、既に事件捜査が終了している場合であっても、個別執行情報を収集することにより、こ
れらの捜査手法等に応じて犯罪を敢行するなどの対抗措置が講じられるおそれ、すなわち、捜
査活動の裏をかくための措置の研究等がなされるおそれ
がある。
   
   →ここまで広げて考えたのでは、およそ捜査情報は全て非公開とできてしまい、情報公開
条例が規定された趣旨がそのようなものであるはずがないと反論

5 主に上記のような内容で、書面のやりとりはほぼ終了。
  いよいよ証人採否の段階に来ており、当方では、平成12年度・15年度警察本部交 
通指導課と平成12年度・15年度警察本部少年課の各課長、及び、裏金問題を告発されて
いる、元北海道警の原田さん、元警視庁の大内さん(お二人とも、例会に出ていただいた)
を申請した。

  3月20日の弁論期日において、課長を1人(誰にするかは、県警本部内で検討すると
のこと)と、大内さんが採用される見込みとなった(原田さんは既に、仙台地裁で証言され
ており、その証人調書を書証として提出しているため)。

6 次回弁論は、4月17日(月)午前11時(横浜地裁502号法廷)。ここで、実際 
の証人尋問日が決定する(恐らく、6月あたりになる可能性が高い)。 以上

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● 編集後記 

<編集後記>
  今年は、殊の外寒い冬でした。2メートルを超える雪が積もっている地域、屋根の雪下
ろし作業で亡くなる方々のニュースを聞くたびに胸を痛めました。体を壊し冬ごもり状態だ
った私は、その地域の方々と一緒に春の訪れを待ち焦がれていました。
 立春が過ぎる頃から、沈丁花やミモザが花を開き始め、ついに桜も満開の笑みを私達に見
せてくれています。
                      
 Spring is a new beginning・・・It is a season
of new life of nesting birds and of us.

 そして春は希望の季節でもありますね。
「たより」19号に投稿をしてくださった高知県警の元警部片岡さんが、今年最初の見張番
の例会で講演をしてくださいました(本号P11参照)。
片岡さんは、理不尽な事柄と闘いながらも決して希望を失わず、前向きに生きていらっしゃ
ることに感銘を受けました。
 Spring is a gentle farewell to yesterday and the birth of new hope.

  私たちの日常も、突然「理不尽さ」に襲われることがあり得ますが、いつもnew hopeを
持って問題解決の道を探りたいと思います。There is a way where there is a willですね。
                             (生田典子)
                   
  


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