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(2007.06.14.)

* 警察見張番だより 24号の1
 <24の1>   <24の2> 
***** もくじ *****

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<24の1>
     ● 民主主義とは?………………………………………………北川 善英

     ● 文書非開示処分取消請求訴訟………………………………鈴木 健 

     ● 告発のその後…………………………………………………東  玲治

     ● 長久手町の籠城発砲事件……………………………………原田 宏二

<24の2>
     ● 今こそ聴こう「心の声」を!………………………………杉山寅次郎 

     ● 事務局より&編集後記………………………………………生田 典子

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目次へ :
● 民主主義とは?
―憲法改正国民投票法と議会制民主主義―

横浜国立大学教授 北川 善英

 民主主義”の根本に関わる問題を置き去りにしたままで、憲法改正国民投票法が成立した。 直接民主主義(国民投票)は、本当に間接民主主義(議会制民主主義)よりも優れたものなの だろうか?

 衆院と参院で二度にわたって審議する議会制民主主義と比べると、国民投票は、現在と将 来の国民にとって重大な事項を一回の投票で決定するという点で、きわめてリスク(誤り、過ち) が大きい。

他方で、国家・社会の重大な事項について、主権者国民が自ら決定することは、 国民主権原理からすれば当然のことである。となると、憲法改正国民投票法の制定にあたっ て、“一発勝負”に伴うリスクをできる限り小さくする工夫が不可欠となる。その際、基本的な観 点は、「国民の自由な意思表明の保障」が貫かれることである。 

与党(自民党・公明党)・野\党(民主党)も、マス・メディアも正面から取り上げなかった論点がある。

@憲法改正案に対して、
国民は一括して賛否を問われるのか、個々の規定ごとに賛否を問われるのかが曖昧・・・ 一括投票ならば、国民は賛成する規定と反対する規定にそれぞれ意思表明をすることを否 定される(客は自由に注文できるといいながら、客の好きな主菜と嫌いなデザートと飲みたく ないドリンクを押しつけるレストラン!)。

A有権者資格として
50日間の居住要件(どこに居住していようと国籍を保持している国民に 変わりはない、投票日が春ならば多くの学生・サラリーマンは投票権を失う)。

B国家・社会の
最高法規である憲法の改正は、有権者の過半数の賛成があってはじめて正当性が与え られる(最低限投票率を設定するかどうかの問題ではない)。
C国会議員で構成される
国民投票広報協議会・・・国民に発議(提案)した当事者ではなく、第三者で構成するのが健全な 常識。D政党にだけ割当てられる無料の放送・新聞広告・・・政党はその割当時間・スペース を諸団体に譲ることができるが、改正によって大きな影響を受ける諸団体・個人にも当然に割 り当てられるのが本来のあり方ではないだろうか。

            

    こうしてみると、憲法改正国民投票法は、「国民の自由な意思表明」を十分に保障していない 、欠陥だらけの法律であることがわかる。

 議会制民主主義という制度は、必ずしも国民の意思を正確に反映する制度ではない。その 理由は簡単である。選挙の際、有権者は、候補者が任期中に国会で賛否を問われる法案の すべてに白紙委任して投票するわけでもないし、できもしない。

人間性やパッケージ化された 政策に対して、あるいは、年齢や顔に対して投票するのである。国民の意思が法律・政策決 定過程に正確に反映されるためには、国民が、憲法が保障する様々な権利・自由(とりわけ、 言論の自由、集会・デモの自由)を行使して、その意思を自由に表明するというルートが重要 となる。

 人権と民主主義の母国であるフランスでは、高校生・大学生向けの憲法・人権の入門書は、 次のように述べている―「憲法・人権保障には二つのルートがある。一つは制度的なルート( 議会制民主主義、三権分立制度など)であり、もう一つのルートは非制度的なルート(市民が 自らその権利・自由を行使すること)である」。


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● 文書非開示処分 取消請求訴訟
―― 控訴理由書のポイント――

弁護士 鈴木 健

                    
第1 はじめに
  
警察見張番が、神奈川県警察本部長を相手取って起こした文書非開示処分取消請求訴訟の 横浜地裁1審判決が、不当な全面敗訴判決であったことは、既に会員の皆様にも伝わっているか と思います。警察見張番はこの結果を不服として、東京高裁に控訴いたしました。以下では、2006 年12月1日の例会でお話しした1審判決の内容、及び、2007年1月23日に提出した控訴理由書 のポイントにつき、説明させていただきます。
第2 取消請求の対象
  
今回の訴訟の対象とした、文書非開示処分取消請求の対象は、「平成12年度・15年度警察 本部交通指導課の捜査報償費(県費)支出に関する一切の資料(現金出納簿および支払証拠 書類)」と、同内容の「平成12年度・15年度警察本部少年課の捜査報償費(県費)支出に関する 一切の資料(現金出納簿および支払証拠書類)」について公文書開示請求をなしたのに対し

「@現金出納簿(現金出納帳)の月日欄、摘要欄、金額欄、差引残高欄、A支出証拠書類のうち、 捜査費総括表の金額欄、捜査費支出伺、支払精算書、支払報告書(平成12年度分のみ)、捜査 費交付書兼支払精算書、支出伝票、領収書」を非開示とした処分、でした(具体的には、別紙1の ような状況)。

                        

第3 本件訴訟の(大きな)論点
  
本件訴訟で争われた論点のうち、主なものは次の3つです。
     
  • @本件各文書に記載された警部補以下の警察官の氏名等が、条例第5条1項に規定する個人 情報として非開示事由に該当するか  
  • A本件各文書に記載された内容が、条例第5条6項に規定する、公安情報として非開示事由に 該当するか  
  • B捜査報償費が、本来の目的に使用されているか
第4 本件各文書に記載された警部補以下の警察官の氏名等が、
条例第5条1項に規定する個人情報として非開示事由に該当するかについて

  1.   条例第5条1項は、次のように規定しています。
        第5条 実施機関は、行政文書の公開請求があったときは、公開請求に係る行政文書に 次の各号のいずれかに該当する情報が記載されている場合を除き、当該行政文書を公開しなけ ればならない。
      (1)個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、若しくは識別され得るもの又は特 定の個人を識別することはできないが、公開することにより、個人の権利利益を害するおそれがあ るもの。ただし、次に掲げる情報を除く。     イ 慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報

  2.   1審判決は、本件各文書に記載された警部補以下の警察官の氏名等が、本件条例5条1項 に該当するか否かについて、次のような思考過程で、該当性を認めました。

       @本件条例5条1項の趣旨は個人のプライバシー等の権利利益保護にあると解されるから、 ある情報が本件条例5条1項本文に該当するかどうかの判断は、特定の個人を識別することがで きるかどうかという観点から客観的、定型的に行うのが相当であり、本件各文書に記載された警部 補以下の警察官の氏名等は、本件条例5条1項本文に該当する。

       A本件各処分時において、警部補以下の氏名等を公開する慣行が存在していたとか、公に することが予定されていたと認めることはできないから、本件各文書に記載された警部補以下の警 察官の氏名等は、本件条例5条1項ただし書イには該当しない。

  3.  しかし、まず、本件条例が、県民の知る権利を尊重し、県政を県民に説明する責務が全うされ るようにすること(1条)を目的として制定されたことに鑑みれば、個人のプライバシー保護を隠れ蓑 にして、県政を県民に説明する責務を回避することが可能となるような解釈が採られてはならず、こ のような条例の制定趣旨からするならば、本件条例5条1項本文該当性の判断をするに際しては、 当該事情を公開することによる利益と個人のプライバシー保護の利益とを比較考量するべきである ことを述べました。そうだとすれば、警察の予算執行にかかる職務遂行の私事性は皆無といえるほ どであるのは疑いないから、個人のプライバシー保護を問題とする必要はなくなります。

  4.  次に、我々が、本件各文書に記載された警部補以下の警察官の氏名等が、本件条例5条1項 ただし書きイに該当し、非公開とされてはならないと主張した根拠として提出したのが、「平成17年 8月3日付情報公開に関する連絡会議申合せ」です(資料2)。

     これによれば、
     各行政機関は、その所属する職員(補助的業務に従事する非常勤職員を除く。)の職務遂 行に係る情報に含まれる当該職員の氏名については、情報公開法に基づく開示請求がされた場 合には「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」「情報公開法5上1号但し 書きイ)に該当するものとして、特段の支障の生ずるおそれがある場合を除き、公にするものとする。

    なお、特段の支障の生ずるおそれがある場合とは、
    @氏名を公にすることにより、情報公開法第5条第2号から第6号までに掲げる不開示情報を公に することとなるような場合、
    A氏名を公にすることにより、個人の権利利益を害することとなるような場合、とされています。 警察庁は国家公安委員会に属し、同委員会は上記申し合わせの当時者たる内閣府に属するから、 本件条例の実施機関たる神奈川県警本部長も上記の公式解釈に従うべきである、と主張したのです。

     これに対し1審判決は、「連絡会議申合せ」につき、本件各処分がされた平成17年3月24日か ら4か月余りを経た同年8月3日に国の各府省間で情報公開法に係る事務処理上の取扱方針とし て行われたものであり、時期的にみても、また組織が異なることからしても、上記申合せが本件各処 分についても一定の拘束力を有すると解することはできない、と評価しました。

     しかし、この申し合わせがなされた経緯については、「総務省は、総務副大臣主催による「情報公 開法の制度運営に関する検討会」を開催し、法施行後4年を目途とした見直しについて有識者に よる専門的な検討を行い、その結果を「情報公開法の制度運営に関する検討会報告(平成17年 3月29日)として公表しました。」と記載されています。

    このような検討会において議論され、一定の 申合せがなされるということは、すでに検討会の開催に先立つ時期において、ある問題状況が認 識され、それが検討会において問題提起され、検討会委員や申合せ当事者にとっても認識が一 致しているからこそ具体的な申合せ事項として公表されるに至るのが通常であり、むしろ、本件各 処分のされた同年3月24日時点において、職員の職務遂行にかかる情報に含まれる当該職員の 氏名については公にすべきだとの解釈が既に一般的なものであったと見るべきなのである、と主張 しました。
    1審判決のような判断は、「裁判所の認識が最も世間から立ち後れている」と言われる典 型例だといえるでしょう。  

          
第5 本件各文書に記載された内容が、
条例第5条6項に規定する、公安情報として非開示事 由に該当するかについて
     
  1.  条例第5条6項は、次のように規定しています。   (6)公開することにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の 安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある 情報  
  2.  1審判決は、本件条例5条6号該当性を理由とする非公開処分の違法性の判断は、当該処分 に裁量権の逸脱ないし濫用があるかどうかによって行うのが相当であるとした上で、現金出納帳等 を公開した場合の事件関係者等による捜査状況の推測や捜査員等へのはたらきかけの具体的蓋 然性についての判断は実施機関に裁量が認められるところであり、捜査への支障等は生じないとす るだけの具体的な根拠は見いだせず、本件各処分における実施機関の判断に裁量権の逸脱・濫 用があるとまでは認めることはできない、としました。

     

  3.  しかし、不開示処分により当該文書の内容を知り得ない神奈川県民が、非公開処分に裁量権 の逸脱・濫用があること、具体的には不正支出や、書類への事実と異なる内容の記載を具体的に 摘示することはおよそ不可能です。1審判決のような解釈を採るとすれば、内部告発者でも出ない 限り、捜査機関が保有する情報に関して情報公開がなされることはおよそあり得なくなりますが、県 民の知る権利を尊重し、県政を県民に説明する責務が全うされるようにすること(1条)を目的として 制定された本件条例が、このような程度にしか情報が公開されないことを想定して制定されたはず がありません。1審判決の解釈は「警察は秘密にしようと思えば何でも秘密にできる」ことを認めるよ うなものであり、本件条例が制定された趣旨を没却するものと解さざるを得ません。

     したがって少なくとも、5条6号が非公開事由として「相当の理由」を求めているのであるから、非公 開とした処分に「相当の理由」があることを実施機関において主張・立証する必要があると解すべき であり、その判断については、守秘義務について問題とされる実質秘性の3要件(非公知の事実で あって、実質的にもそれを秘密として保護する必要があり、かつ、記載された事実が適法であること) を充足するかによって判断すべきであることを主張しました。

     

  4.  加えて、県警側証人である森藤証人(元交通指導課課長代理)は、証人調べの中で、現金出 納帳の摘要欄には、捜査員の氏名と事件名が記載されるだけで、被疑者の名前は記載されず、事 件名も「暴走族の事件」「死亡ひき逃げ事件」といった、概括的な事件の性質が記載されるのみであ ることを認めました(資料4は警視庁銃器対策課のものだが、これとほぼ同じであることを認めた)。こ のように、捜査員の氏名と概括的な事件名が記載されるだけであれば、一つの課で扱う概括的事件 名などそうたくさん種類があるわけではないから、ある支出情報を開示したとしても具体的にどの事件 関係の支出か特定することはできず、捜査活動の状況が推察されるおそれはないし、また、現金出 納帳には捜査協力者の具体的情報は記載されないのであるから、現金出納帳を開示したとしても 「捜査の進捗状況や捜査方法を推測したり、捜査員や協力者へのはたらきかけを行ったりする可 能性」はないはずなのです。しかるに、1審判決はこの点につき何も触れようとしないので、その点 を批判しました。

第6 捜査報償費が、本来の目的に使用されているか
     
  1.  ここがメインの論点です。警察見張番としては、捜査報償費が本来の目的に使用されておらず、 裏金に回っている事実を主張立証すべく、

    @北海道警察その他の県警において、捜査費等が不正支出されていた事実が明らかとなって いる。この点、各都道府県警察は、組織、予算といった面について警察庁の監督下にあり、他の都 道府県について捜査費等の不正支出の事実が明らかとなっている以上、神奈川県警察についても 同様の扱いがなされているはずである。非開示処分は、情報公開条例が認めた非開示処分の本来 の目的を実現するためにのみ認められるべきものであり、本来の目的以外の目的のためになされた 非開示処分は違法である。

    A捜査費の支出は、月毎の事件の数や規模によって変動するはずであるが、本件公開請求に より公開された平成12年度の交通指導課及び少年課の捜査費総括表(県費)によると、同年度の交 通指導課及び少年課の捜査費(県費)は、各月の受入額と支出額がほぼ一致しており(資料3)、捜 査費が本来の用途に支出されていないことがうかがわれる。   ことを述べ、元警視庁で会計課勤務経験のある大内さんを証人申請し、ご証言いただきました。

            

  2.  これに対し1審判決は、まず大内さんの証言につき「同人は自ら捜査費の支払をしたり支出証 拠書類を作成したりしていたわけではなく、捜査費が裏金に回されているとか、本来の目的に使用 されていないといった供述は、警視庁の捜査員からの伝聞に過ぎない。」などと不当に低い評価を しています。

     しかし大内さんの証言は、警視庁の会計課会計監査室による事前監査に立ち会った際の内容を もとになされているのであり、現場の警察官から立ち話で聞いた程度の内容とは訳が違うこと、そし て会計責任者として現金の入った封筒を警視庁に取りに行き、あらかじめ課ごとに決められた金額 をそれぞれの封筒から抜き取る等の作業には直接関わっているのであるから、単なる「又聞き」のレ ベルではない信憑性のある証言であると評価すべきであることを主張しました。

  3.  次に1審判決は、森藤証人の証言につき「捜査費の受入額と執行額が均衡している点につい て、取扱者である課長が、捜査官幹部等からの捜査状況の報告を受け、必要と見込まれる捜査費 の検討がつくからであること、緊急時の捜査費用については、課長の判断で既に着手している捜査 の費用を転用することで賄っていることをそれぞれ証言している。/このように、森藤の証言は、原 告が捜査費の目的外使用を疑わせる事実として主張している、捜査費の受入額と収入額の均衡に ついてそれなりに説明しているといえる」などという、驚くべき評価をしています。

     一口に捜査費といっても、起こる事件の内容や規模によって必要となる捜査費の多寡に違いが出 るはずであることは誰が考えても分かることであり、捜査費が正しい目的に使用されているという前提 で考えたとき、森藤証人のいう「転用」であらゆる捜査費が賄えるということは到底考えにくいし、また、 そもそも捜査費は、緊急を要する場合や秘密を要する場合で、通常の支出手続を経ていたのでは 支障がある場合に現金経理が認められているものである。

    とすると、仮に秘密を要する場合の捜査費は転用可能だとしても、緊急を要する場合の捜査費は 転用できないはずであり、「転用」によって捜 査費の帳尻が合わせられるようなものであれば、逆に「緊急を要する」ことはなかったのではないか との疑いが出てきます(森藤証人も、在任中捜査費の追加支給がされたことなどないことを認めてい ます)。

     むしろ、仙台地判平成17年6月21日が指摘した、「情報提供者及び捜査協力者からの情報提供 ・捜査協力は、情報の信憑性、情報の価値、捜査協力の有用性、危険性などにおいて千差万別で あり、それによって情報提供者・捜査協力者に対する謝礼の支払額も異ならないと十分な協力が得 られないのが通常と考えられる。

    接触費も、接触の態様等によって支払額が異なってくるのが通常と 考えられる。/それにもかかわらず、前示1(34)ア@(注:情報提供謝礼等に係る報償費の1件当た りの支出金額が課ごとにみるとほぼ定額であること)のような傾向がうかがわれるのは、報償費の支払 の実体が存在することに疑問を抱かせるものである。」という考え方が、一般社会の常識であることを 述べました。

  4.  その上で、それにも関わらず1審判決のような判断がなされたのは、三権分立の理念の下、行 政(警察)の問題ある運用を質すという裁判所の職責から逃げ、証拠不十分で警察見張番を負かそ うとの結論を最初から決めた上で、本件条例の解釈にしても神奈川県民にとって到底主張立証不可 能な構成を採り、証拠評価についても、県警に有利でありそうな証拠に関しては意図的に積極的に 採用する一方、警察見張番に有利な証拠に関しては目をつぶるという、「決め打ち判決」であったか らに他ならない、と指摘しました。

第7 終わりに    
東京高裁での第1回口頭弁論期日は、2月28日(水)午前10時(817号法廷)と指定されまし た。係属係である第20民事部が、「三権分立の理念の下、行政(警察)の問題ある運用を質すとい う裁判所の職責」を全うしようとの、使命感ある部であることを期待したいものです。
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● 告発のその後
―警察裏金問題を告発した―

愛媛県警鉄道警察隊・仙波敏郎巡査部長を
支援する「仙波さんを支える会」;東 玲治

 神奈川・警察見張り番の皆様、お変わりございませんか。皆様のお招きを受け、仙波君と私・ 東が見張番総会でお話させていただいたのは昨年7月28日でした。早いもので、あれから間 もなく1年が経とうとしています。そこで、仙波君の告発問題のその後について簡単にご報告し たいと思います。

         昨年お話しましたように、告発記者会見直後に「見せしめ」的配転を受けた仙波君は、県人 事委員会が「配転は不当」という裁決を下したことにより、元の職場である鉄道警察隊に復帰し、 元気にしています。相変わらず、陰湿な嫌がらせは続いていますが、彼はいたって元気で、 つい先日は不審尋問で常習的窃盗犯を逮捕しました。

通常なら、金一封つきの管区警察局 長表彰くらいの評価を受けても良いお手柄でしたが、県警は四国管区警察局に表彰を進達 せず、担当課長表彰にとどめましたが、仙波君は気にもしていません。彼には、現場が合うよ うです。

              告発から2年と4ヶ月になり、世間の関心は薄れつつあります。世間の関心はうつろいやす いものではありますが、マスコミがこの問題を表面的にしか取り上げようとしない、それは他の どの問題においてもそうなのですが、そのせいもあって、関心は急速に薄れてきました。

もしかすると、最も早く関心を失ったのはマスコミであったかもしれません。彼らが、新しい情報を 伝えようとしない限り、彼らによって多くの情報を得る世間の関心が長続きしないのはいたし方 のないことかもしれません。そういう意味では、マスコミの飽きやすいところは警察当局にとって 好都合なことと言うべきでしょう。

 仙波君、そして僕たち・支える会は、全国から支援申し出のあった80人超の大弁護団の力 を借り、粛々と裁判に取り組んでいます。

詳細は省きますが、仙波君自身が原告となって2件、僕たちやオンブズえひめの弁護士たち が原告となって起こした住民訴訟2件、合計4件の裁判を争っています。僕たちは今その裁判 に集中しているところです。

皆様に真っ先にお伝えしなければならないことは、このうち仙波君が原告の国家賠償法に基 づく損害賠償訴訟(国賠訴訟)の一審判決が年内にも言い渡される見通しとなったことです。 判決の日は確定していませんが、6月19日に最終弁論が行われることになったため、年内判 決がほぼ確定したと言って差し支えはないでしょう。

この裁判は、告発記者会見直後に、県警が行った配転と、警察官失格の烙印を押すに等し い拳銃没収の処分ないしは措置の不当性を争うものですが、そのことのみならず、弁護団は この裁判で警察の裏金問題の実態を明らかにすることに精力を注いできました。その立証の ため、北海道警OBの原田さん、斎藤さんのお2人に貴重な証言をいただいたこともあります。

配転などの不当性を争うこの裁判は、県人事委員会への処分取り消し請求事件と同じ構造 のものですから、おそらくは勝つだろうと、素人考えですが、僕は思っています。負けはない 。問題はどのような勝ち方をするかだと考えています。最も悪い勝ち方は、表面上の配転指 示をした直属課長の責任を問い、不当だとする場合です。これではほんとに勝ったことには なりませんし、仙波君が「クビ」をかけて敢行した「告発」の意味が半減してしまいます。

そうではなく、弁護団も僕たちも、そして誰よりも仙波君が望むのは、配転は警察の犯罪を暴 いたことに対する報復であり、他の警察菅・職員への見せしめであったこと、さらには、県警 本部長や上部機関である警察庁の意思によるものであることが判決で明らかにされることで す。

         今年1月、検察庁の裏金問題(調査活動費、略して調活費)を暴こうとしてテレビ出演の朝に 逮捕された元・大阪高検の三井・部長検事の事件で大阪高裁は、三井・元検事が暴力団関 係者に情報を漏らして見返りを得たことについては有罪としながらも、三井・元検事が口封じ のための不当捜査だとして訴えてきた点について「被告(三井・元検事)の直接体験の限度 において、(調活費の)不正流用の事実があったといわざるを得ない」と判決の中で指摘し ました。

その後、大阪の市民オンブズ「見張り番」が、大阪地検の開示公文書に、三井・元検事の直 属上司であった加納・元大阪地検検事正が検事正時代の平成11年からよく12年までの10 ヶ月間に、実に1700万円あまりの調活費を受け取っていたことを明らかにし、この人物が退 官後、大阪府の顧問弁護士に迎えられたうえ、折からの府庁裏金問題の調査委員になって いるのはおかしいと解任を求めるといういきさつがありました。

誰が考えてもおかしなことですが、太田房江知事は頑なに解任を拒み続けました。きっと、 見えない何かがあったに違いありません。

三井逮捕は検察の口封じと見て間違いないでしょう。しかし、その逮捕は奏功しました。三 井逮捕で、検察の裏金問題追及の勢いはそがれ、闇に葬られてしまいました。高裁判決が 指摘した「不正流用」すらたいして大きく取り上げられることはありませんでした。

           三井・元検事は超えてはならない一線を越えてしまったのかもしれません。しかし、小さな 悪事は裁かれても、検察庁という最強の捜査機関が犯した最悪の犯罪は裁かれることなく やみに葬られてしまいました。三井事件をきっかけに、検察庁の調活費が激減したのはご 承知の通りです。

裁判はことほどさように、不確かなものではあります。しかし、仙波君の国賠訴訟が、負けは ないという状況にあるのも間違いがないと僕は思います。問題はどのような勝ち方をするか だというのも、ほぼ確かなことだと思っています。

日本の裁判所は、警察も含めた行政にあまい傾向があるそうです。その意味では多くを期 待してはならないのかもしれませんが、仙波君の法廷での証言は迫力に満ち満ちていまし た。それが判決に正しく反映されてしかるべきです。

司法は誰のため、何のために存在するのか、それが問われているのだと思います。


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● 日本警察を象徴する 長久手町の籠城発砲事件

市民の目フォーラム北海道代表:原田 宏二

 4.25の警察関連NEWSで「長崎市長射殺事件暴力団の武装解除に失敗した警察」と題して 「平成4年以降に警察庁の取った銃刀法の改正等の施策では暴力団の武装解除はできなかっ た。それどころか、警察の暴力団事件の捜査力の著しい低下を招く結果を残した。警察庁は、 その事実を率直に認め、現場の捜査能力の向上を図るべきである。そのこと無しに暴力団の武 装解除は絵に書いた餅に過ぎない」と指摘した。

          それから1ヶ月も経たない5月17日、今度は愛知県長久手町の住宅街で元暴力団組員の男 がけん銃を発砲して女性を人質に籠城する事件が発生、男に撃たれて警察官ら4人が死傷し た。 

 元暴力団組員の男は、約29時間後に説得に応じて投降したが、撃たれて倒れている警察官 が現場に5時間あまりも放置され、その様子がテレビなどで繰り返し放映され、警察の不手際に 批判がわき起こっている。

 曰く、現場指揮は的確だったのか、装備面に改良の余地はなかったのか、もっともな問題提 起なのだろうが、この事件は起きるべくして起きた事件だ。日本警察の真の姿を象徴していると 言える。 そして、愛知県だけではなく全国どこででも起きる可能性がある事件なのだ。

 日本警察は、警察法のうえでは都道府県警察でありながら、そのトップの警察本部長はキャリ ア官僚で占められ、人事、予算面を警察庁が牛耳る事実上の国家警察である。世間の耳目を 集める事件は全て都道県警察本部から警察庁に報告されるシステムができあがっている。  この事件では、警察本部長以下50人は県警本部内で指揮に当たり、現地捜査本部には刑 事部長以下170人が動員されていたという。

 伝えられたところでは警察庁からも担当者が現場に入っていたらしい。  捜査はその責任を明らかにするため、内部規定(犯罪捜査規範)で警察本部長か警察署長 が指揮することになっている。

 この事件は、明らかに警察本部長指揮事件である。警察本部長はキャリア官僚だ。愛知県警 本部長はどんな指揮をしたのだろうか。そこに警察庁が介入していたとしたら、誰が事実上は 指揮していたのだろうか。

 こうした人質籠城事件では、現場の状況は刻々と変化する。報告では伝わらない現場の動 きや緊迫した状況もある。いかに通信手段が発達したとしても、現場でなくては掴み切れない こともある。

現場の報告を待って指揮していたのではタイミングがずれてしまうこともある。即断即決が求め られることが多い。思い切った現場指揮官への指揮権委譲の決断も必要になる。

 現地捜査本部には、刑事部長が派遣されていたとされるが、大きな府県の刑事部長はキャ リア官僚である。愛知県警の刑事部長は北海道警察と同じように警察庁のキャリア官僚だと聞 いた。キャリア官僚は、現場での捜査の経験はほとんどない。 そうしたキャリア官僚に的確な指揮ができたのか。警察は、本来現場官庁である。現場のことは 現場に任せることが必要だ。

 現在の日本警察は、上へ上へと報告が上げられるシステムが作られ、現場の幹部が自らの責 任で判断しなくなっている。そして、判断を求められたキャリア官僚が決断を躊躇する。こうした ことで指揮者不在の状況が生まれる。

そうなると捜査本部は単なる烏合の衆と化す。今回の事 件でもそうした弊害はなかったのか。 現地捜査本部には、機動隊の最高責任者の警備部長 等の関係部長や現地の警察署長、課長など大勢の幹部が集まっていたろう。大阪府警の機動 隊(SAT)も応援に来たという。  ことわざにも「船頭多くして船山へ上がる」とあるが、混乱の中でこうした状況になっていた可能 性もある。

 今回の事件では、110番通報で最初に現場に出動した交番勤務の巡査部長がいきなり撃た れて倒れた。生死不明のまま約5時間にわたって現場に放置された。おそらく現場では、一刻 も早く救出すべきだとの声があったに違いない。何故か警察本部長の決断が遅れた。巡査部 長を見捨てたと批判されても仕方があるまい。しかも、ようやく決断した救出作戦で更に犠牲者 を出すという最悪の事態になった。

 警察が組織への批判をおそれて、現場の捜査員を切り捨てた事例は数多くある。警察庁主 導で進められた平成4年以降の「平成の刀狩り」では、多くの現場の捜査員が組織的な違法捜 査の責任を取らされて警察組織から追いやられた。

トカゲの尻尾切りである。組織が必ず守っ てくれると信じ、命じられるままに危険な仕事に従事した現場の警察官は、見捨てられてはじめ て組織の本当の姿を知る。組織防衛のためなら、現場の警察官を平気で見捨てるのが警察組 織の原則である。今回の愛知県警の対応は、衆人環視の下でそのことをはっきり示したと言え る。

 警察が暴力団の壊滅を最重要課題に取り上げてから久しい。警察白書(平成18年版)よる と全国の暴力団員は8万6,300人でこの10年間は、ほぼ横ばいだ。このうち指定暴力団の 山口組、稲川会、住吉会の3団体が全体の73%を占めている。

 平成4年3月の暴力団対策法施行以降、暴力団の寡占化が進み、その活動は潜在化する 傾向にあるという。一説では年間数兆円の巨額の資金が課税されないまま暴力団に流れてい るとされる。暴力団は依然としてその勢力を堅持している。けん銃使用事件は毎年全国で200 件前後発生している。

 それに対して平成8年のけん銃押収数が1,549丁であったのに対し、年々減少し続け、平 成17年には489丁と三分の一に激減している。 つまり、日本警察は暴力団の武装解除に失敗しただけではなく、暴力団壊滅作戦にも失敗し ているのだ。

              最近の一連の暴力団員等によるけん銃発砲事件は、末端の暴力団員等によって行われた 事件に過ぎない。巨大な山口組などの指定暴力団に取っては痛くも痒くもない。指定暴力団 の武器庫は健在である。

同じような事件が、何時、どこで起きても不思議ではない。そして、今 回の愛知県警の不手際は、銃器使用事件に不慣れな日本警察の実力を示したものであり、ど この都道府県警察でも起こりうるのだ。政府は事態を重くみて、銃刀法の罰則の強化など銃器 犯罪対策の検討に乗り出したと伝えられている。

 しかし、これまでの暴力団対策や銃器摘発対策の失敗の要因を徹底的に検証し、警察組織 のあり方まで踏み込んだ抜本的な対策を取らない限り、再び、絵に書いた餅に終わるだろう。  ちなみに、愛知県警では平成8年8月に裏金疑惑が発覚している。その時の警察本部長は 現在の漆間巌警察庁長官である。

 このことについては、ホームページの「警察裏金問題の基礎知識〜裏帳簿 裏金の心髄こ こにあり」に詳しく書いたので参照して欲しい。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


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