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警察見張番だより 24号の1
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―憲法改正国民投票法と議会制民主主義― |
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横浜国立大学教授 北川 善英 民主主義”の根本に関わる問題を置き去りにしたままで、憲法改正国民投票法が成立した。 直接民主主義(国民投票)は、本当に間接民主主義(議会制民主主義)よりも優れたものなの だろうか?衆院と参院で二度にわたって審議する議会制民主主義と比べると、国民投票は、現在と将 来の国民にとって重大な事項を一回の投票で決定するという点で、きわめてリスク(誤り、過ち) が大きい。 他方で、国家・社会の重大な事項について、主権者国民が自ら決定することは、 国民主権原理からすれば当然のことである。となると、憲法改正国民投票法の制定にあたっ て、“一発勝負”に伴うリスクをできる限り小さくする工夫が不可欠となる。その際、基本的な観 点は、「国民の自由な意思表明の保障」が貫かれることである。 与党(自民党・公明党)・野\党(民主党)も、マス・メディアも正面から取り上げなかった論点がある。
こうしてみると、憲法改正国民投票法は、「国民の自由な意思表明」を十分に保障していない 、欠陥だらけの法律であることがわかる。 議会制民主主義という制度は、必ずしも国民の意思を正確に反映する制度ではない。その 理由は簡単である。選挙の際、有権者は、候補者が任期中に国会で賛否を問われる法案の すべてに白紙委任して投票するわけでもないし、できもしない。 人間性やパッケージ化された 政策に対して、あるいは、年齢や顔に対して投票するのである。国民の意思が法律・政策決 定過程に正確に反映されるためには、国民が、憲法が保障する様々な権利・自由(とりわけ、 言論の自由、集会・デモの自由)を行使して、その意思を自由に表明するというルートが重要 となる。 人権と民主主義の母国であるフランスでは、高校生・大学生向けの憲法・人権の入門書は、 次のように述べている―「憲法・人権保障には二つのルートがある。一つは制度的なルート( 議会制民主主義、三権分立制度など)であり、もう一つのルートは非制度的なルート(市民が 自らその権利・自由を行使すること)である」。
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―― 控訴理由書のポイント―― |
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弁護士 鈴木 健
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―警察裏金問題を告発した― |
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愛媛県警鉄道警察隊・仙波敏郎巡査部長を 昨年お話しましたように、告発記者会見直後に「見せしめ」的配転を受けた仙波君は、県人 事委員会が「配転は不当」という裁決を下したことにより、元の職場である鉄道警察隊に復帰し、 元気にしています。相変わらず、陰湿な嫌がらせは続いていますが、彼はいたって元気で、 つい先日は不審尋問で常習的窃盗犯を逮捕しました。 通常なら、金一封つきの管区警察局 長表彰くらいの評価を受けても良いお手柄でしたが、県警は四国管区警察局に表彰を進達 せず、担当課長表彰にとどめましたが、仙波君は気にもしていません。彼には、現場が合うよ うです。 告発から2年と4ヶ月になり、世間の関心は薄れつつあります。世間の関心はうつろいやす いものではありますが、マスコミがこの問題を表面的にしか取り上げようとしない、それは他の どの問題においてもそうなのですが、そのせいもあって、関心は急速に薄れてきました。 もしかすると、最も早く関心を失ったのはマスコミであったかもしれません。彼らが、新しい情報を 伝えようとしない限り、彼らによって多くの情報を得る世間の関心が長続きしないのはいたし方 のないことかもしれません。そういう意味では、マスコミの飽きやすいところは警察当局にとって 好都合なことと言うべきでしょう。 仙波君、そして僕たち・支える会は、全国から支援申し出のあった80人超の大弁護団の力 を借り、粛々と裁判に取り組んでいます。 詳細は省きますが、仙波君自身が原告となって2件、僕たちやオンブズえひめの弁護士たち が原告となって起こした住民訴訟2件、合計4件の裁判を争っています。僕たちは今その裁判 に集中しているところです。 皆様に真っ先にお伝えしなければならないことは、このうち仙波君が原告の国家賠償法に基 づく損害賠償訴訟(国賠訴訟)の一審判決が年内にも言い渡される見通しとなったことです。 判決の日は確定していませんが、6月19日に最終弁論が行われることになったため、年内判 決がほぼ確定したと言って差し支えはないでしょう。 この裁判は、告発記者会見直後に、県警が行った配転と、警察官失格の烙印を押すに等し い拳銃没収の処分ないしは措置の不当性を争うものですが、そのことのみならず、弁護団は この裁判で警察の裏金問題の実態を明らかにすることに精力を注いできました。その立証の ため、北海道警OBの原田さん、斎藤さんのお2人に貴重な証言をいただいたこともあります。 配転などの不当性を争うこの裁判は、県人事委員会への処分取り消し請求事件と同じ構造 のものですから、おそらくは勝つだろうと、素人考えですが、僕は思っています。負けはない 。問題はどのような勝ち方をするかだと考えています。最も悪い勝ち方は、表面上の配転指 示をした直属課長の責任を問い、不当だとする場合です。これではほんとに勝ったことには なりませんし、仙波君が「クビ」をかけて敢行した「告発」の意味が半減してしまいます。 そうではなく、弁護団も僕たちも、そして誰よりも仙波君が望むのは、配転は警察の犯罪を暴 いたことに対する報復であり、他の警察菅・職員への見せしめであったこと、さらには、県警 本部長や上部機関である警察庁の意思によるものであることが判決で明らかにされることで す。 今年1月、検察庁の裏金問題(調査活動費、略して調活費)を暴こうとしてテレビ出演の朝に 逮捕された元・大阪高検の三井・部長検事の事件で大阪高裁は、三井・元検事が暴力団関 係者に情報を漏らして見返りを得たことについては有罪としながらも、三井・元検事が口封じ のための不当捜査だとして訴えてきた点について「被告(三井・元検事)の直接体験の限度 において、(調活費の)不正流用の事実があったといわざるを得ない」と判決の中で指摘し ました。 その後、大阪の市民オンブズ「見張り番」が、大阪地検の開示公文書に、三井・元検事の直 属上司であった加納・元大阪地検検事正が検事正時代の平成11年からよく12年までの10 ヶ月間に、実に1700万円あまりの調活費を受け取っていたことを明らかにし、この人物が退 官後、大阪府の顧問弁護士に迎えられたうえ、折からの府庁裏金問題の調査委員になって いるのはおかしいと解任を求めるといういきさつがありました。 誰が考えてもおかしなことですが、太田房江知事は頑なに解任を拒み続けました。きっと、 見えない何かがあったに違いありません。 三井逮捕は検察の口封じと見て間違いないでしょう。しかし、その逮捕は奏功しました。三 井逮捕で、検察の裏金問題追及の勢いはそがれ、闇に葬られてしまいました。高裁判決が 指摘した「不正流用」すらたいして大きく取り上げられることはありませんでした。 三井・元検事は超えてはならない一線を越えてしまったのかもしれません。しかし、小さな 悪事は裁かれても、検察庁という最強の捜査機関が犯した最悪の犯罪は裁かれることなく やみに葬られてしまいました。三井事件をきっかけに、検察庁の調活費が激減したのはご 承知の通りです。 裁判はことほどさように、不確かなものではあります。しかし、仙波君の国賠訴訟が、負けは ないという状況にあるのも間違いがないと僕は思います。問題はどのような勝ち方をするか だというのも、ほぼ確かなことだと思っています。 日本の裁判所は、警察も含めた行政にあまい傾向があるそうです。その意味では多くを期 待してはならないのかもしれませんが、仙波君の法廷での証言は迫力に満ち満ちていまし た。それが判決に正しく反映されてしかるべきです。 司法は誰のため、何のために存在するのか、それが問われているのだと思います。
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市民の目フォーラム北海道代表:原田 宏二 4.25の警察関連NEWSで「長崎市長射殺事件暴力団の武装解除に失敗した警察」と題して 「平成4年以降に警察庁の取った銃刀法の改正等の施策では暴力団の武装解除はできなかっ た。それどころか、警察の暴力団事件の捜査力の著しい低下を招く結果を残した。警察庁は、 その事実を率直に認め、現場の捜査能力の向上を図るべきである。そのこと無しに暴力団の武 装解除は絵に書いた餅に過ぎない」と指摘した。それから1ヶ月も経たない5月17日、今度は愛知県長久手町の住宅街で元暴力団組員の男 がけん銃を発砲して女性を人質に籠城する事件が発生、男に撃たれて警察官ら4人が死傷し た。 元暴力団組員の男は、約29時間後に説得に応じて投降したが、撃たれて倒れている警察官 が現場に5時間あまりも放置され、その様子がテレビなどで繰り返し放映され、警察の不手際に 批判がわき起こっている。 曰く、現場指揮は的確だったのか、装備面に改良の余地はなかったのか、もっともな問題提 起なのだろうが、この事件は起きるべくして起きた事件だ。日本警察の真の姿を象徴していると 言える。 そして、愛知県だけではなく全国どこででも起きる可能性がある事件なのだ。 日本警察は、警察法のうえでは都道府県警察でありながら、そのトップの警察本部長はキャリ ア官僚で占められ、人事、予算面を警察庁が牛耳る事実上の国家警察である。世間の耳目を 集める事件は全て都道県警察本部から警察庁に報告されるシステムができあがっている。 この事件では、警察本部長以下50人は県警本部内で指揮に当たり、現地捜査本部には刑 事部長以下170人が動員されていたという。 伝えられたところでは警察庁からも担当者が現場に入っていたらしい。 捜査はその責任を明らかにするため、内部規定(犯罪捜査規範)で警察本部長か警察署長 が指揮することになっている。 この事件は、明らかに警察本部長指揮事件である。警察本部長はキャリア官僚だ。愛知県警 本部長はどんな指揮をしたのだろうか。そこに警察庁が介入していたとしたら、誰が事実上は 指揮していたのだろうか。 こうした人質籠城事件では、現場の状況は刻々と変化する。報告では伝わらない現場の動 きや緊迫した状況もある。いかに通信手段が発達したとしても、現場でなくては掴み切れない こともある。 現場の報告を待って指揮していたのではタイミングがずれてしまうこともある。即断即決が求め られることが多い。思い切った現場指揮官への指揮権委譲の決断も必要になる。 現地捜査本部には、刑事部長が派遣されていたとされるが、大きな府県の刑事部長はキャ リア官僚である。愛知県警の刑事部長は北海道警察と同じように警察庁のキャリア官僚だと聞 いた。キャリア官僚は、現場での捜査の経験はほとんどない。 そうしたキャリア官僚に的確な指揮ができたのか。警察は、本来現場官庁である。現場のことは 現場に任せることが必要だ。 現在の日本警察は、上へ上へと報告が上げられるシステムが作られ、現場の幹部が自らの責 任で判断しなくなっている。そして、判断を求められたキャリア官僚が決断を躊躇する。こうした ことで指揮者不在の状況が生まれる。 そうなると捜査本部は単なる烏合の衆と化す。今回の事 件でもそうした弊害はなかったのか。 現地捜査本部には、機動隊の最高責任者の警備部長 等の関係部長や現地の警察署長、課長など大勢の幹部が集まっていたろう。大阪府警の機動 隊(SAT)も応援に来たという。 ことわざにも「船頭多くして船山へ上がる」とあるが、混乱の中でこうした状況になっていた可能 性もある。 今回の事件では、110番通報で最初に現場に出動した交番勤務の巡査部長がいきなり撃た れて倒れた。生死不明のまま約5時間にわたって現場に放置された。おそらく現場では、一刻 も早く救出すべきだとの声があったに違いない。何故か警察本部長の決断が遅れた。巡査部 長を見捨てたと批判されても仕方があるまい。しかも、ようやく決断した救出作戦で更に犠牲者 を出すという最悪の事態になった。 警察が組織への批判をおそれて、現場の捜査員を切り捨てた事例は数多くある。警察庁主 導で進められた平成4年以降の「平成の刀狩り」では、多くの現場の捜査員が組織的な違法捜 査の責任を取らされて警察組織から追いやられた。 トカゲの尻尾切りである。組織が必ず守っ てくれると信じ、命じられるままに危険な仕事に従事した現場の警察官は、見捨てられてはじめ て組織の本当の姿を知る。組織防衛のためなら、現場の警察官を平気で見捨てるのが警察組 織の原則である。今回の愛知県警の対応は、衆人環視の下でそのことをはっきり示したと言え る。 警察が暴力団の壊滅を最重要課題に取り上げてから久しい。警察白書(平成18年版)よる と全国の暴力団員は8万6,300人でこの10年間は、ほぼ横ばいだ。このうち指定暴力団の 山口組、稲川会、住吉会の3団体が全体の73%を占めている。 平成4年3月の暴力団対策法施行以降、暴力団の寡占化が進み、その活動は潜在化する 傾向にあるという。一説では年間数兆円の巨額の資金が課税されないまま暴力団に流れてい るとされる。暴力団は依然としてその勢力を堅持している。けん銃使用事件は毎年全国で200 件前後発生している。 それに対して平成8年のけん銃押収数が1,549丁であったのに対し、年々減少し続け、平 成17年には489丁と三分の一に激減している。 つまり、日本警察は暴力団の武装解除に失敗しただけではなく、暴力団壊滅作戦にも失敗し ているのだ。 最近の一連の暴力団員等によるけん銃発砲事件は、末端の暴力団員等によって行われた 事件に過ぎない。巨大な山口組などの指定暴力団に取っては痛くも痒くもない。指定暴力団 の武器庫は健在である。 同じような事件が、何時、どこで起きても不思議ではない。そして、今 回の愛知県警の不手際は、銃器使用事件に不慣れな日本警察の実力を示したものであり、ど この都道府県警察でも起こりうるのだ。政府は事態を重くみて、銃刀法の罰則の強化など銃器 犯罪対策の検討に乗り出したと伝えられている。 しかし、これまでの暴力団対策や銃器摘発対策の失敗の要因を徹底的に検証し、警察組織 のあり方まで踏み込んだ抜本的な対策を取らない限り、再び、絵に書いた餅に終わるだろう。 ちなみに、愛知県警では平成8年8月に裏金疑惑が発覚している。その時の警察本部長は 現在の漆間巌警察庁長官である。 このことについては、ホームページの「警察裏金問題の基礎知識〜裏帳簿 裏金の心髄こ こにあり」に詳しく書いたので参照して欲しい。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 |
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